『エフゲニー・オネーギン』  オペラ関係

今日は、夕方から銀座に出かけました。

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今日の歌舞伎座

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目的地は、ここ。
東劇METライブビューイングの2013〜14シーズンが開幕。

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半年ぶりに来たら、新兵器が導入されていました。

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青い席が選択可能な席。

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以前は紙の座席表で、
取った席は赤鉛筆で塗っていました。
進歩です。

鑑賞前に腹ごしらえ。
築地の立ち食い寿司です。

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ここは「こばらセット」というのがあって、
小腹が空いた時に最適。
築地ですから、ネタもいい。

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さて、METライブビューイング、
今シーズンの10作品のうち、
第1作目は、チャイコフスキー「エフゲニー・オネーギン」

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METライブビューイングが始まった最初の年にもやり、
今回が2度目のおつとめ。
ただし、新演出

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この演出がいい。
装置がしっかりとした出来で、
ロシアの芝居を観ているよう。
群衆シーンの人間の処理も良好。

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演出のデボラ・ワーナーは、
元々シェイクスピアやブレヒト、イプセンなどの芝居の演出家だからうなずける。
デボラが体調不良で降板した後、
フィオナ・ショウが、そのコンセプトを引き継いで演出した。

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タチヤーナを歌うのは、アンナ・ネトレプコ

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今回指揮をするワレリー・ゲルギエフ
(サンクトペテルブルクのマリンスキー・オペラの指揮者)
が見いだした歌手で、
幕間インタビューでゲルギエフが
ネトレプコのことを「努力の人」と言っていたのが印象的。
第3幕の公爵夫人になってからが貫祿充分。
それにしても毎年太くなる。

オネーギンを歌うのは、マリウシュ・クヴィエチェン(右)、
親友のレンスキーを歌うのは、ピョートル・ベチュワで
二人とも適役。
ポーランド出身だから、
この公演、指揮者と主役三人が
バルト海近辺の出身者ということになる。

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第2幕のタチヤーナの命名日のお祝いの場から
オネーギンとレンスキーの対立、決闘、
第3幕のサンクトペテルブルクでの
オネーギンとタチヤーナの再会と、
息をつく間もないほど緊張が続き、
音楽も盛り上がる。
決闘前のレンスキーのアリアが哀切。

チャイコフスキーの音楽は美しく、叙情的で、
それもそのはず、
このオペラ「叙情的情景3幕」という頭が付く。

失われた過去への追憶、
取り戻せない青春の日々への悔恨があふれ、
ロシアのオペラの中だ、
この作品が一番好きだ。

ブログを検索したら、
前回(7年前)の感想が出て来た。
興味のある方は↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20070226/archive

中には変な演出で観たのもあって、
二期会公演のとんでも演出の感想は、↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20080914/archive



『デッドマン・ダウン』  映画関係

〔映画紹介〕

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全く予備知識なしに観たら、
これが拾い物。

舞台はニューヨーク。
犯罪組織のボス、アルフォンスのもとで
働くヴィクターは、
最近の抗争で、
ボスの命を助け、
信頼を高めていた。
アルフォンスの組織では、
最近幹部が殺され、
その犯人探しにやっきになっていた。

ヴィクターは、
ベランダが向かいあう隣のマンションに住む
ベアトリスと知り合いになる。
彼女は交通事故で、顔に痛々しい傷跡を残していた。

ベアトリスと会ったヴィクターは、
ヴィクターが幹部を殺す現場を目撃したと告げられ、
その証拠の映像も見せられる。
ベアトリスは警察に通報しない代わりに
顔の傷の原因となった交通事故を起こした張本人にもかかわらず、
3週間で放免になった男を殺害するよう
ヴィクターに依頼する。

(これは、予告編でも明かしているから、
書いてもいいと思うが)
ヴィクター自身も、
妻子を殺した敵への恨みを晴らすために、
名前や経歴を変えて、
密かに復讐の計画を進めてきており、
ヴィクターとベアトリスは次第に心を通わせるようになる。
そして・・・。

まあ、よくあるストーリー、
よくある展開と言えばそのとおりだが、
そこは、人間がどう描かれているかで、
妻子を失って復讐に燃える男の哀愁や
美しい顔と心を傷つけられて、
やはり復讐に情熱を燃やす女の悲哀が伝わって、いい感じだ。
ヴィクターを演ずるコリン・ファレルが意外と良い味を出しており、
ベアトリスを演ずるノオミ・ラパス(オリジナルのデンマーク版「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」で初代リスベットを演じた)も
このような屈折した役をやらせるとうまい。
ボスのアルフォンスは、「ランナウェイ/逃亡者」にも出ていたテレンス・ハワード
「アマデウス」のサリエリを演じてアカデミー賞主演男優賞を取った
F・マーレイ・エイブラハムも出ている。

巧者の監督は誰かと見れば、
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」で注目を浴びた
デンマーク出身の鬼才、ニールス・アルデン・オプレヴ
なるほどうまいはずだ。
ノオミ・ラパスとのコンビか。

冒頭からスリリングな展開で
一瞬も目を離せない。
演出、撮影、編集のうまさだろう。
ニューヨークを舞台に、
復讐にからむ男と女の物語の佳作である。

5段階評価の「4」


タグ: 映画

ロシア旅行記J 夏の宮殿  旅行関係

3連休の中日なので、
カミさんと娘と一緒に
新浦安のホテルで

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ランチブッフェを楽しみました。

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私は休みは関係ありませんが、
娘が勤めていますので。

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主に家族連れで、
中には、ハッピー・バースデーの歌声も聞こえます。

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平日は時間無制限ですが、
土日は100分制。

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沢山の料理が並びます。

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こんな感じで、結構美味しかったです。

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さて、ロシア旅行記の続きです。

6日目のお昼は、ロシア名物、ピロシキを食べました。

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キリベツなど、野菜が入ったピロシキ。

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ロシアの道路標識。

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ロシア文字ですから、
外国人は運転出来ません。

湖があり、

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並木道があり、

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ここは、ペテルゴフ

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ピョートル大帝の夏の宮殿があるところです。
もちろん世界遺産の一つ。

1714年に建築。
サンクトペテルブルクに現存する
最古の石造り建築です。

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これは、宮殿付属の教会。

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ツァーは、宮殿に入らず、庭園だけ。
総面積1000ヘクタールを越えます。
ピョートル大帝自ら宮殿建設の場所を決め、
造園プラン、建物の配置、噴水の配置を設計したといます。

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庭園には、150もの噴水があります。

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ネプチューンの後ろ姿。

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これらの噴水は、全てポンプを使わず、
水圧だけで噴き上げています。
ロプシンスカヤの丘から
水路を通って自然に流れ出て来る仕組みです。
ここが高い経費を要する給水設備を造ったヴェルサイユとの違い。

これは、ローマの噴水

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滝型の噴水も。

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ここは、いたずらの仕掛けのある噴水で、

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人が通ると、椅子の背後から水が飛び出て驚かします。

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ピョートル大帝という方は、
遊び心のある人だったらしい。

この方がピョートル大帝。

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噴水には名前がついています。
この噴水の名前は「太陽」

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こんな噴水もあります。

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かつては、貴族などしか庭園には入れませんでしたが、
今では市民と観光客の憩いの場です。

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モンプレジール(私の楽しみ)という名前の離宮の

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後ろには海が広がります。

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バルト海です。

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庭園の緑を歩きます。

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アダム噴水。イヴ噴水というのもあるらしい。

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橋の下にこんなものも。

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海に向かう運河。「海の運河」と呼ばれます。

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背後は「サムソンの運河」。

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ここから宮殿は一直線。

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これが大カスケード

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中央にある像は、「ライオンの口を引き裂くサムソン」

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彫像は、スウェーデンに対するロシア帝国の大勝利の寓意。
百獣の王は、スウェーデンの国章に描かれたもの。

普段はこの階段にも噴水が出ています。

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その様子を、写真集から。

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上から見たところ。

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斜めから。

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近くにある噴水。

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屋根の上にある

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双頭の鷲は、
どこからも双頭に見えるよう、
実は頭が3つあるらしい。

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結婚式があったようです。

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ここにも。

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もうじき黄葉。

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バスはサンクトペテルブルクに戻ります。

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市内で訪れた聖ニコライ教会

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その鐘楼。

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きれいな教会ですが、中での写真は禁止。

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最後に行ったのが、スモーリヌィ修道院

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ここでも花嫁に遭遇。

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祖父らしき方の胸の勲章が誇らしげ。

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お幸せに。

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最後の晩餐はこのホテルのレストランで。

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ここのホテルは東京時間が表示されていました。

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ビーフストロガノフは、
日本でのものと若干違います。

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さあ、いよいよ次は最終回、帰国篇です。


『ローズマリーの息子』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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アイラ・レヴィンの名作
「ローズマリーの赤ちゃん」の続編。
となれば、
この作品を紹介するには、
前作「ローズマリーの赤ちゃん」のあらすじを書かなければなりません。

舞台はニューヨーク
ブラムフォードのアパートに
俳優のガイ・ウッドハウスと
ローズマリーの若夫婦が引っ越して来た。
二人は隣室のローマンとミニーのキャスタベット夫妻と知り合う。
やがて夫のガイは、夫妻の許に入り浸るようになり、
その頃から彼に幸運が向いてくるようになる。
ライバル俳優の突然の失明。
次々と転がり込んでくる主役クラスの仕事。

そんなある日、
キャスタベット夫妻が持ってきたムースを食べたローズマリーは、
突然の睡魔に襲われる。
朦朧とした意識の中で、
彼女は自分が別の場所に運ばれ、
服を脱がされ、
不気味な黄色く燃える目をしたモノが、
彼女に覆い被さってきた。

おぞましい悪夢にうなされたその夜、ローズマリーは妊娠した。

その日から、彼女の身に奇怪なことが起こり始める。
頻繁に襲ってくる腹部の異常な激痛。
突然生じた生肉への嗜好。
彼女に何かを知らせようとした友人ハッチは、
ある朝突然植物人間になり、
意識が回復しないままに怪死を遂げる。

ある日、ローズマリーは一冊の本を受け取る。
ハッチが死の直前、
束の間意識を回復した時に、
彼女に渡すよう友人に託したものだ。
そこに書かれていたことを読んだ時、
不安は疑惑に変わり、
そして恐怖へと凝縮していった。
どうやらキャスタベット夫妻とその仲間たちは悪魔崇拝者で、
ローズマリーのお腹の赤ちゃんを生贄にしようとしているようなのだ。
夫ガイは、役者としての成功と引き換えに
自分の妻を差し出したらしい。

彼女は彼らの許から必死の脱出を試みるが、
連れ戻され、出産する。
死産であったと知らされたが、
隣室からは赤ん坊の泣き声が聞こえる。
秘密の扉を発見した彼女は、
庖丁を片手に隣室に侵入する。
そこで見たのは、悪魔崇拝者たちに囲まれた赤ん坊だった。
そして、赤ん坊の目は悪魔の目をしていた。
しかし、ローズマリーはその赤ん坊を受け入れる決意をする・・・。

ニューヨークを舞台に
悪魔崇拝者が住む一角を扱って、
じわじわと来る恐怖を描いた作品として、
発表された1967年にベストセラーとなった。
特に妊娠中の不安が妄想か現実かで引っ張る
作り方がサスペンスを生んでいた。

1968年にポーランド出身の鬼才、
ロマン・ポランスキーの監督で映画化された。
ミア・ファロージョン・カサベテス主演。
「エスソシスト」や「オーメン」が登場する遥か前のことで、
オカルトを題材とした映画のはしりとなった。
また、ポランスキーの演出が見事で、
特にローズマリーが妊娠する夜の
夢とも幻想とも現実ともつかない描写は歴史に残る名場面だった。

そして、本作品。
1997年の作だが、
舞台はローズマリーが赤子を産んでから33年後
1999年になっている。

赤子を産んだローズマリーは、
悪魔崇拝者のグループに囲まれて
悪魔の息子であるアンディを育てていたが、
密かに転居しようとしていたために、
グループに呪いをかけられて、
昏睡状態に陥っていた。

グループの最後の一人が死亡したために
呪いが解けたローズマリーは27年ぶりに目を覚ます。
そして、
自分の息子がマスコミの寵児になっていることを知る。
33歳になったアンディは、
「神の子供たち」という平和運動組織の指導者として、
世界中の人々から敬愛されていた。
この組織はやや宗教色のついたNGO(非政府組織)で、
世界の紛争の解決に一役を買っていた。
ローズマリーはアンディと再会を果たし、
「アンディのママ」として世間の注目を浴びる存在になり、
「神の子供たち」の運動に参加する。

しかし、ローズマリーはアンディに確認しなければならないことがあった。
悪魔崇拝者たちに育てられた過去だ。
しかし、アンディはグループから離れ、
半分悪魔の子である自分自身を
半分人間の子として克服したという。
確かに、6歳までの間の母親の教育を受けて、
しっかりとした真面目な青年として育ち、
キリストを思わせる風貌で、
世界の政治家と交流し、
影響力を発揮していた。

おりしも2000年を迎えるに当たり、
アンディの提唱で、
2000年のグリニッヂ標準時間に合わせて
世界中でロウソクを点灯する行事が迫っていた。

と同時に、その組織の周辺で不可解な事件が起こり始める。
アンディは本当に「人間」として「悪魔」の部分を克服できているのか、
ロウソク点灯の世界的イベントに、何か罠はないのか、
ローズマリーの疑心暗鬼は際限なく広がっていく・・・

というわけで、
前半の3分の1、
ローズマリーの覚醒とアンディとの再会、
ママとして世間の寵愛を得るあたりまでは実に面白い。
その後、組織をめぐる話で中だるみがあり、
最後の4分の1ほどは
ロウソク点灯イベントが迫る中、
サスペンスが高まる。

事件から33年後ということは、
アンディの歳がイエスが十字架にかかった33歳と同じ。
そして、千年紀の最後を迎え、
区切りの2000年の新年を迎える、
という二つをからませたアイディアは秀逸。

しかし、肝心の部分の描写は意外とあっさり。
この部分こそ、
読者が一番読みたがった場面ではないかと思うのだが・・・

そして、ラスト
う〜ん、これは禁じ手だろう。
その上、前作まで覆してしまうような結果には、
多くの読者が納得しないはずだ。

本作は、映画プロデューサーの要請で執筆を始めたというが、
結局は映画化されなかった
さもありなん。




ああ、ああ、山本議員  

今日の新聞を見たら、
山本太郎参議院議員の行為について、
「請願法」から見ても問題、
というのが出ていた。

請願法第三条:
請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。
天皇に対する請願書は、
内閣にこれを提出しなければならない。


この条文から見て、
請願法違反、だという。

本人は「園遊会で手紙を渡すことが禁じられているとは聞いていない」
と言っているから、
この「請願法」の存在も知らなかったのだろう。
私だって知らなかった。

ということは、
山本議員の行動は法律違反
ということになる。
国会議員が公衆の面前で堂々と法律違反をしたのだ。


田中正造との比較も取り沙汰されていた。

田中正造の直訴というのは、
1901年(明治34年)12月10日、
第16議会開院式から帰る途中の天皇に、
足尾鉱山の鉱毒事件の解決を訴えるため直訴を決行した事件で、
この日、黒紋服、黒袴を身につけて衆議院議長官舎に潜んだ田中は、
午前11時頃、
開院式からの帰路にある天皇の馬車が桜田門に近づいた時、
白足袋のまま、その列めがけて飛び出して行った。
両手に「謹奏」としたためた直訴状を握り、
「お願いがございます。お願いがございます」
と、声を振り絞って天皇の馬車めがけて突進した。
騎馬兵が手に持った槍でこれを遮ろうとして、
慌てて馬を反転させ、勢い余って落馬した。
これをよけようとした田中もつまずいて倒れ、
あとは大勢の警官が倒れた田中を取り押さえ、
天皇の馬車はその横を何事もなかったかのように通り過ぎた。
とっさの出来事であり、
天皇はその小さな出来事には気づかなかったという。

政府はこれによる世論の沸騰を危惧し、
田中の行為をただの一老人の発狂として、
翌朝何の罪も問わずに釈放した。

田中は、直訴に先立つ10月23日に議員を辞職し、
決行前日、妻に離縁状を書き送って、
類が及ばないようにしている。
山本議員にそれだけの覚悟はあったか。


話は変わるが、
天皇陛下に手紙を書いた男の話が映画になっている。
週刊現代に連載した棟田博の原作を、
野村芳太郎が監督した
「拝啓天皇陛下様」がそれ。

山田正助(略して山正。渥美清)は
もの心もつかぬうち親に死別し
世の冷たい風に晒されてきたから、
三度三度のオマンマにありつける上、
何がしかの俸給までもらえる軍隊は、
全く天国に思えた。
意地悪な二年兵のビンタに耐えられたのも、
それが理由だった。
入営した日に最初に口をきいてくれたからというだけで
棟本(長門裕之)に甘えきりになった。

昭和7年の大演習の折、
山正は天皇の“実物”を見た。
期待は全く裏切られたが、
この日から山正は天皇が大好きになった。

戦争が終るという噂が巷に流れ出すと、
山正は軍隊=天国から送り出されまいと
あわてて「拝啓天皇陛下様」と、
たどたどしい手紙を書き始める。
丁度通り合わせた棟本に発見され、
危く不敬罪を免れた。

まもなく戦況は激化、
満州事変から太平洋戦争へと戦線は拡がり、
山正はその度に応召し、
勇躍して戦地に向った。

そして終戦、
軍隊がなくなった山正には
ただ住みにくい娑婆が待っているだけだった。
懐しい棟本を訪れ、
ヤミ屋をしたりしていたが、
同じ家に住む未亡人に失恋した日から山正は姿を消した。
そして再び姿を見せた時、
山正は女房になってくれるという女性を連れて来て
棟本を喜ばせた。

しかし、雪の降る夜、
酔っぱらった山正は、
トラックにはねられ、死んでしまう。

ゆらゆらと歩いていく山正の後ろ姿に、
「拝啓天皇陛下様。
今夜、貴方の最後の赤子が戦死いたしました」
という文字がかぶさる。
(うろ覚えです。間違っていたらごめんなさい)

1963年、渥美清が演技派として認められた作品。
「男はつらいよ」(1969)に先立つこと6年である。

「拝啓天皇陛下様」の予告編は、↓をクリック。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=4EB0AXXDthI


最後に、
山本議員の今度の行為の問題点について、
皇室問題に詳しい高崎経済大学の八木秀次教授(憲法学)に聞いた内容が
よくまとまっているので、
借用し、転載する。

――今回の山本議員の行為をどう見ますか。

 まず話を持っていく先を間違えています。
天皇陛下はそういう存在ではありません。
現在の天皇は「政治的中立」であるということが理解できていない。
彼は国会議員なので
国会の中で訴えていけばいいのです。
田中正造を気取ったのでしょうが、非常に滑稽に見えます。

 そして場所も間違えています。
園遊会は政治的な事を言う場ではありません。
実際、手紙を渡しても、
天皇陛下から侍従長に手渡されスルーされてしまった。
現行憲法における天皇陛下の位置付けが分かっていないのでしょう。
天皇は国政に関与できません。
まるで専制君主制のイメージを持っている印象を受けます。

 今の憲法における天皇は、
政治に関与しないことで国民を統合していく。
そこを期待されています。
それを、無理に「反原発」という
国民の間でも賛否が分かれている問題に
引きずり込もうとした。
憲法が分かっていないから、
こんな失礼なことができたのでしょう。
国会議員の取る行動ではありません。

 彼は国会議員だから、
ちゃんと手続きを踏んで、
信念を政策に実現できる立場が与えられています。
例えば、福島の方がやむにやまれず、
陛下に辛い現状を伝えるのとはわけが違います。
質問主意書を出したり、
メディアを使って訴えるとか、
いろんな手法があるにも関わらず
「直訴」するというところが理解できません。

――皇室の政治利用だとの見方もあります。

 皇室の政治利用とは、
政治的主張などを「天皇の権威によって権威付ける」ことですが、
そういう意味で、
山本議員の行動は政治利用「未遂」と言えるかもしれません。

 明治憲法下で、
昭和天皇は2回だけ政治的意思を示したといわれています。
二・二六事件と終戦のときです。
しかし、今はその余地はありません。
そこの部分が現行憲法では強められました。

 現行憲法下でも、
例えば天皇は国会を召集します。
しかし国政に関する権能はありません。
天皇は国民統合の象徴で、
いかなる政治的立場にもつかず、
いかなる政治的意思も持たないことで、
現在の天皇制は守られています。
それは、国民が党派に分かれて対立していても、
天皇はいかなる政治的立場にも立たないからこそ、
国民を統合できるからです。

――国や地方自治体に意見や要望を行うには「請願」というやり方があります。請願法では、天皇に対する請願書は内閣に提出しなければならない、と規定されています。

 今回の行為が「請願」だという考え方もあるようですが、
請願とは一般国民が行うことです。
国会議員は国民から請願を受ける立場であり、
政府を飛ばして天皇にお願いするのはおかしな話です。


こんな勘違い男が国会議員として多額の歳費をもらっている。
国民は泣くに泣けない。






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