『起終点駅(ターミナル)』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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桜木紫乃の短編集。
全て北海道が舞台。

「かたちないもの」
化粧品会社につとめる笹野真理子は、
かつての上司で関係のあった竹原基樹の納骨のために函館を訪ねる。
竹原は、出世の頂点で身を引き、
函館に帰って、10年が経っていた。
納骨式の立会人の角田吾朗は神父で、
その後、東京に真理子を訪ねて来る。
真理子は角田の口を通じて、
函館に帰った後の竹原の生活を知る・・・。
去って行った男の
内面を想像して、
胸が痛くなるような佳編。

「海鳥の行方」
道報新聞の釧路支社に配属された山岸里和は、
デスクとの人間関係に悩んでいた。
取材の後、防波堤を歩いていた里和は、
釣りをしている無職の男・石崎と知り合う。
記事になる予感を感じて里和は石崎と接触する。
やがて防波堤で足をすべらせた石崎が死に、
石崎の本名を知った里和は、
同時に石崎の過去も判明し、
記事にするために
石崎の故郷を訪ねるが・・・
たまたま知り合った男の人生に触れる一篇。

「起終点駅」
鷲田完治は国選弁護しか引き受けない変わり者弁護士だ。
今度も覚醒剤事件の被告人・椎名敦子の弁護を
執行猶予で終わらせた。
その鷲田に暴力団の組長が接触して来、
敦子の共犯で覚醒剤を持ち逃げした男のことを尋ねてきたのだ。
鷲田のところに敦子が尋ねて来る。
失踪中の問題の男を探してほしいというのだ。
そして、敦子は鷲田の家に頻繁に訪ねて来るようになる。
鷲田には離婚して交流のない息子から結婚式の招待状が届く。
しかし、鷲田には、応じられないわけがあった・・・
老人の弁護士と被告人の交流を描いた心に残る作品。

「スクラップ・ロード」
失業中の飯島久彦は、
粗大ゴミをあさりに来たトラックの中に父親の姿を発見する。
既に失踪宣告も受理されており、
「死人」同然の父親の後を追った飯島は、
スクラップ置き場の奥の建物に住む父親を知る。
その建物には代々の住人がおり、
父親もじき死に、
次の住人となる女性も一緒にいる。
父親は「廃品」同然に生きていたのだ・・・
失踪した父親との再会を通じて、
人生の悲哀を味わう小編。

「たたかいにやぶれて咲けよ」
「海鳥の行方」と同じ主人公・山岸里和が登場。
特別養護老人ホームに住む
高名な歌人の取材をするが、
やりこめられて、記事に出来なかった。
その歌人・中田ミツは、
「たたかいにやぶれて咲けよひまわりの種をやどしてをんなを歩く」
という歌を残したように、
「エロス」を看板に掲げていた。
ミツの訃報に触れた里和は再び老人ホームと、
ミツの姪・斉藤昌子のもとを訪ねる。
ミツから受け継いだ喫茶店「KAJIN」を経営する昌子は、
ミツと一緒に暮らしていた近藤に会ってみることを勧める。
近藤に会った里和は、エロスの歌人の知らなかった側面を知る・・・
歌人の業を描いて、重みのある作品。

「潮風の家」
久保田千鶴子は、30年ぶりに故郷を訪ねる。
千鶴子を迎えるのは、
昔お世話になった星野たみ子一人。
30年前、千鶴子の弟が殺人事件を起こして自殺し、
千鶴子はその町にいられなくなったのだ。
たみ子は昔、吉原で女郎をしていた経歴がある。
千鶴子はたみ子の前で、
過ごしてきた30年を語るが・・・
故郷を失った女の行き場のなさを描いて悲痛な話。


直木賞受賞作「ホテルローヤル」同様、
暗さに満ちあふれた作品群だが、
多少の救いはある。
描写の細々したところに、
この作者の才能があふれている。
「ホテルローヤル」のような「たくらみ」はないが、
素直に描いている分、好感が持てた。

「潮風の家」の主人公の千鶴子は、
老人相手の宅配食事の仕事をしているが、
その老人の描写で面白いところがあった。

男はひとりでいると、
いろいろと内側に向かって
自分を掘り進めてしまうようだった。
あるときから先、
反省を始めてしまうのだ。
その点
女はたくましかった。
食事の支度をしなくていいぶん、
歌だ踊りだ韓流だ旅行だと、
習い事もそうだが
日々自分を楽しませることを忘れない。

「どうせ少ない残り時間だもの。
これから先は儲けだと思うの」

双方を見ると、
男の悩みの底の浅さが目立った。
人に言える程度の悩みに始終とらわれている。
あれこれと過去を思い煩うひとときが、
彼らにとっていちばん心落ち着く時間なのかもしれない。
男性客のほうが
長く玄関先で話したがることを考えれば、
つじつまが合った。


なるほど。

                   

モスクワにて  旅行関係

成田から9時間30分でモスクワへ。
意外と近い。
2日目、
ノヴォデヴィッチ修道院、
雀が丘、モスクワ大学、
コローメンスコエ
を午前中回り、
午後はクレムリン、
赤の広場、
聖ワシリー寺院へ。
クレムリンの中の寺院群に
いたく感動。
ソ連時代によく保存しておいたものです。
文化的価値を認めた
誰か偉い人の指示だと思いたい。
聖ワシリー寺院は
その造形美に感嘆。
中にも入りました。
写真をお楽しみに。
3日目の今日は、
ウラミジールとスズダリを訪れます。




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