『奇跡のリンゴ』  映画関係

〔映画紹介〕

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この映画、予告編をさんざん見せられて、
「無農薬のリンゴ栽培に挑戦し、
貧乏暮らしと艱難辛苦の末に、
成功させる実話」
と分かってしまい、
何だか観る気が失せて、
敬遠していた。

だが、あまりの評判の良さに遅ればせながら、観た。

予想とおりの展開の映画だった。
しかし、泣かされてしまった

青森県弘前でリンゴ農園に養子に入った木村秋則は、
農薬散布で妻・美栄子の身体が蝕まれていることを知り、
無農薬栽培に挑戦する。

しかし度重なる品種改良の結果、
農薬無しには栽培出来なくなっていたリンゴを
無農薬で育てるというのは、至難の業だった。

虫が発生し、
その虫を手で取ってビニール袋一杯にして
そのビニール袋が山になる。
1年目、2年目、3年目と失敗が続き、
周囲からは「変わり者」と白い眼で見られ、
組合からは爪弾きにされ、
義父の財産も食いつぶし、
収入もゼロになり、
冬の間、東京に出稼ぎに出て、
貯めた日当の入った荷物を若者に奪われたりする。

精根尽き果てて、
あきらめようと思うが、
娘に
「そんなんだったら、
なぜ私たちがこんな貧乏していたのかわからない」
と諭される。

ついに自殺を決心し、
ロープを持って山に分け入り、
そこで、1 本の木に出会う。
肥料や農薬を撒かないのに、元気に育っている。
土をすくってみると、
畑のものとぜんぜん違う。
そこで気付く。
今まで土の上のことしか見ていなかったが、
大事なのは土の中なのだと。
そこから土作りが始まる。
山と同じように、
他の植物を一緒に植えればいいのではないか。
大豆をばら撒き、鳩が集まり糞をする。
そして・・・

義父役の山崎努が出色の演技。
特に、ラバウルで敗走中に、
ナスを栽培した時の話は
涙なしに観ることは出来ない。

また、菅野美穂の演技も素晴らしい。
幼なじみのよしみから、
木村の性格をしく知り、
貧乏にも耐え抜くけなげさをよく演じた。
離婚を言われて、
お茶漬けを食べながら泣くシーンは胸を打つ。
阿部サダヲの演技には泣けなかった。

予想した通りの展開の成功物語だが、
大変ていねいに作られているので、
自然に共鳴しを誘う。
監督は中村義洋

銀行が利息の支払いを待ってくれたり、
友人が電気代を立て替えてくれたり、
周囲の視線が変わり、
善意で見守るようになるのも心を打つ。

ただ、終盤崩れるのは残念だ。

ある朝、リンゴ園一杯に花が咲き、
それを友人に言われて見に行くシーンは長いし、
誇張が目立つ。
「4、5日畑に行ってない」
とは言っているが、
花は1日2日で咲くものではなく、
それ以前の蕾の時期を見ているはず。
そうなれば、花開くのが楽しみで毎日でも畑に出るだろう。

演出上の問題とはいえ、
嘘はよくない。
亡くなった父親がリンゴを握りしめているのも、
いつ渡したんだということを含めて、
作為が目立つ。

このあたり、
白い花が咲いた農園に立つ夫婦の姿で十分だったろうし、
その後の出荷のシーンも長い。

と、ケチはつけたが、
日本映画らしい丁寧さで描き、
久しぶりにさわやかな涙を流した映画だった。

5段階評価の「4」




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