『盤上の夜』  書籍関係

〔書籍紹介〕

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先の直木賞候補作

盤上遊戯、卓上遊戯を巡る物語。

たとえば、表題作「盤上の夜」は、囲碁
両手両足のない棋士、灰原由宇(はいばらゆう)と
これに寄り添う相田淳一九段の
奇妙な生活を描く。
「第1回創元SF短編賞山田正紀賞受賞作」
とあるように、
架空の対局を描く、半分SFと認定されているようだ。

「人間の王」は、
チェッカーというゲームを巡る天才の話。

「清められた卓」は、麻雀
第9回白鳳位(はくほうい)戦という架空の試合が
どのようなものだったか、
なぜ封印されたかの謎に挑む。

「象を飛ばした王子」は、
古代インドのチャトランガという盤上遊戯。
紀元前を発祥とする、
将棋やチェスの起源と考えられるゲームだ。
インドの小国の王子が
この遊戯にのめりこむ。
実は、この王子、ゴータマ・シッダールタの実子。
最後には仏教を開いた後の釈尊まで登場する
架空の歴史文学。
この連作の中では、
一番スケール感がある。
                                           「千年の虚空」は、将棋
奇妙な共同生活を送った兄弟とその恋人の
政治とコンピューターのからむ対局を描く。

「原爆の局」は、
最初の「盤上の夜」の由宇が再び登場し、
1945年8月6日、
原爆投下の日に広島で打たれた棋譜を巡って物語が展開する。

というわけで、
5つの盤上ゲームを巡り、
一人のジャーナリストが取材して回る形の連作で、
ひたすら知的好奇心を刺激する。
話は全て架空だが、
架空とは思えないリアリティがある。
間違いなく才能のある作者だが、
まだ作品としては結実していない感がある。
しかし、知的ゲームを楽しみたい方は、どうぞ。





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