『希望の地図』  

今日も電車がすいていて、びっくり。

総代会の準備を進めつつ、
この1カ月にしなければならないことを
一つ一つこなしていっております。


〔書籍紹介〕


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前に、石井光太「遺体」を紹介↓しましたが、

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20120202/archive

これは、もう一つの東日本大震災被災地の現場報告。

「遺体」と違って小説形式を取っているが、
登場するのは、
現地で復興に取り組む、生身の人たちだ。

復興というと、
瓦礫の処理や、建物の再建や
産業の再開のことばかりに目を奪われがちだが、
この本に描かれるのは、
それとはまた一味違う復興の姿が描かれている。

津波で泥をかぶってしまった写真の復元作業をする
「写真救済プロジェクト」のボランティアたち。

「何もかも津波でなくなってしまいましたが、
思い出だけは残っています。
でも、その思い出も、
記憶だけではいずれ薄れて、
なくなってしまいます。
だからこそ、
思い出をこれからも写真という形で
残しておきたいんです」

(気仙沼市役所の職員の言葉)

被災地の人々に情報と元気を与え続ける「りんごラジオ」のアナウンサー。

「私たちのリスナーは山本町の町民です。
人口一万五千人足らずの町民に、
震災関連の必要な情報を伝え、
元気づけるニュースや話を伝える、
その軸足だけは
絶対に揺るがしてはいけない、
と肝に銘じているんです」

(アナウンサーの高橋さんの言葉)

立ち行かなくなった水族館に残って、
黙々と再開へ向けて準備する
「アクアマリン福島」の職員。

津崎さん自身は
周囲の「早く逃げないと」の声にもかかわらず一人で水族館に残った。
なぜ──?
「飼育職員の最後の責任というのは、
死んだ魚を水槽から出すことなんですよ」
これもまた、プロとして
他の誰にもやらせるわけにはいかない仕事だった。

「死んだ魚を拾うことが
復興への最初の仕事なんだと、
自分に言い聞かせていました」


会社が大変なのに、
逆に雇用を約束した醸造会社の社長。

社長としての河野さんの初仕事は、
正社員からパートまで
総勢三十数名の従業員全員の
雇用を確約することだった。
「それも、準社員だった人たちまで
『いまのままでは身分が不安定だから』と
正社員にしてるんだ。
リストラで会社の生き残りをはかるのとは
まったく正反対の発想なんだよ」


東日本大震災という絶望的な状況の中で、
それを希望につないでいこうとした
様々な人たちの姿を
次々と描いていく。
以下、心に触れた部分を抜粋すると・・・


「働く気力を失うことが、
そのまま生きる気力を失うことになると、
ほんとうに、
なんのために生き残ったんだっていう話になるよな」

「がんばれる人だけが、
がんばってください。
無理のできない人は
無理する必要はありません」

「どこで生まれるか子どもは選べないわけだ。
だからある場所で生まれた以上はね、
これはもうはあ、
誰にもどうにもできない絶対的な繋がりだと。
したら、そこで生まれた以上は
その地域を愛すというのが・・・
そういう責任みたいなものを、
俺は感ずるんだよね。
ここに生まれたんだから、
この土地がもうだめだから捨てようと思うよな気持ちは
よくないと思うね」

「別の避難所に移ってもらうのが申し訳なくて、
『皆さん、どうかご理解ください』とお願いしたんです」
返ってきたのは怒号でも嘆きの声でもなかった。
広野町の人々は
感無量の様子で
「お別れ会をやりましょう」と言ってくれた。
さらには、
「お世話になったお礼に」と総出で草むしりまで・・・。


(全国で支援を訴え、再開した舞台に立った
フラガールのことを)
「彼女たちはみんな強くなりました。
強い中にも、優しさがあるんです。
震災で悲しい思いをしたぶん、
みんな成長してくれました」


(三陸鉄道を再開した時、無料にしたことについて)
「だって、沿線のみなさんは
みんな被災しているんですよ。
お金なんてもらえるわけないじゃないですか」

「上に立つ私が
『だいじょうぶ、なにも心配しなくていい』
と言うしかないんです。
その一言で救われることって、あると思うんです。
だいじょうぶな根拠は
あとからつくればいいわけですから」

「小さくても質のいい会社がたくさんあれば、
子どもたちが就職のために
ふるさとを離れる必要ななくなるんですから」


(津波の後で奥さんから言われた言葉)
「あなたがいままで
みんなに迷惑をかけながら生きてきたのは、
このときのためだったのよ・・・
って言われたんですよ。
だから、いまこそかんばりなさい、って」

「津波で亡くなった人たちは、
やっぱり無念だったと思うんですよ。
もっと生きたかっただろうし、
この町をよくしようという夢も持っていただろうし・・・
だから、仇討ち、弔い合戦をやるしかないんですよ、
生き残った私たちは」

「二人はその責任の重みから逃げなかった。
取材中に愚痴や泣き言なんて
一言も出なかっただろ?「
「逆に、自分はこんなにがんばっています、
っていう自慢もしなかったよな」
「やらなきゃいけないことをする、
誰かのせいにするんじゃなくて、
ただ自分がやるべきことをやる・・・
カッコいいよな、三人とも」



きりがないからやめるが、
全編重松清らしい、やさしさに満ち、
東日本大震災の被災地や被災者のことを忘れてはいけない
という思いで
涙なしには読めない本。
おススメします。






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