円高と代表選と帝国ホテル  

先週金曜日の急激な円高の進行は、
日本の通貨当局者の発言を
ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えたことが原因らしい。

「通貨当局者」とは、
財務省の中尾武彦財務官で、
「円を特定の水準に誘導するための
持続的な為替介入を実施する計画はない」

とインタビューで答えたことが報道された途端に
ニューヨーク市場で円が急騰した。

このところ、
米ドル/ 円相場を支えていたものの1つは介入警戒感であったのに、
中尾財務官の発言により、
この心配がなくなったわけで、
だから、円が買われた。

前に仙谷官房長官(当時)が、
82円までは円高を是認する、という意味の発言をして、
みんなの党の渡辺代表から「仙谷さんは本当に馬鹿だ」
と批判されていたが、
中尾財務官の発言も
ゲームで手の内をさらしたのと同じで、
馬鹿と言えば、この人も相当な馬鹿だ。
大体どんな権限があって、
日本国の通貨政策をマスコミに発言できるのか。

最近、福島原発の問題を
「人災ではなく、あれは菅災だ」
と言った人がいて、
うまいことを言うと思ったが、
日銀の鈍い姿勢といい、この財務官といい、
円高は「官災」かもしれない。


民主党代表選挙は
本命の前原さんがいやいや出て来るらしい。
いやいやというのは、
今回は静観して、
次を狙っていたからで、
しかし、野田さんの人気のなさから
出馬せざるを得なくなった。

前原さんは増税反対だし、
大連立も反対、
反小沢だし、
国民の目線に近い

前に代表だった時の失敗は、
永田偽メール事件への対応が悪かっただけだし、
もう一度やってみてもおかしくはない。
外国人献金問題があるが、
菅さんのやり方とは悪どさが違う。

選挙の基本は、
「出たい人より出したい人を」で、
あんまり小細工をしたり、
先のことでの戦略に縛られるより、
今の国難に自分が一肌脱ぐという
義侠心を持っていただきたいものだ。


今日、組合に帝国ホテル
かなり上の方がご来訪になり、
事務局長の懸念が一つ晴れた

というのは、
組合の新年賀詞懇親会は、
「曜日にかかわらず1月6日」と決まっており、
今年と来年は帝国ホテルの光の間を確保したが、
再来年以降の確約がまだいただけていなかった。
次の事務局長にバトンタッチする際の懸念材料だったのだが、
その確約が、今日取れたのだ。
これで新年賀詞懇親会については、
安心して引き継ぐことができる。


ごく最近、
3月11日の大地震の際、
他のホテルは軒並み帰宅難民をホテルから閉め出したが、
帝国ホテルは社長命令で大宴会場を開放し、毛布を提供し、
のみならず1500人を超える難民に
朝はスープとパンを振る舞った、
という話を聞いた。
あの時、新宿のホテルがそういうことをした、
という話は聞いたが、
あの格式高い帝国ホテルでそういうことがあったとは知らなかった。
あまり報道されなかったから。

その話を聞いて、
似た話を思い出した。

テレビ東京の「カンブリア宮殿」は、
村上龍が一流の財界人から話を聞くという
なかなかの番組で、
そのことは前に紹介↓したが、

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20100818/archive

その時に書き落としたもので、
窪山哲雄さん
(「伝説のホテルマン」といわれ、
石ノ森章太郎の「HOTEL」の東堂マネージャーのモデル。
ホテル洞爺を再生させた人)
が、
ニューヨークのウォルドルフ・アストリアの総支配人であった
フランク・G・ワンゲマンという人の挿話を紹介していた。

この人は、すごく厳しい人で、
非番の日にホテルの近所で
ネクタイをしていなかった
ホテルの幹部にたまたま出会って、
その場でクビにした。
ホテルから10キロ以内の範囲では、
誰と会うか分からないから、
ある程度の立場の人間は
ちゃんとした格好をしていないといけない、
という理由。

その厳しい人が、
ニューヨークの大停電の時、
ホテルをホームレスたちに解放した。
そして、
宴会場から持ってこさせた
ローソクに火をつけて
一人一人に渡していた。
ボタボタとロウが高い絨毯に落ちているにも関わらず。

目撃者だった窪山さんが、後日、
「どうしてそんなことをしたのか」と訊いた。
普段は格式を重んじてやっているところだから、
そういう人が来たって、
すぐ追い払うじゃないか、と。

すると、ワンゲマンさんの答えはこうだった。

「何かあった時のホテルとはいうのは、
公のものに戻らなきゃいけないんだ。
だから、あれはウォルドルフ・アストリアではない。
みんなが安全のために来るところである。
そういう時はどんな差別もいらない」


帝国ホテル社長の小林哲也さんは、
この話を窪山さんから聞いたか、
どこかで読んだかしたのだと思う。
もし、窪山さんの薫陶なしに
それができたとすれば、
既に体質的にそれを持っているわけで、
それはすごいことだと思う。

今日詳しく聞いた話では、
あの3・11の日、
日比谷公園が避難所になっており、
そこから帰宅難民者が続々トイレを借りにきていた。
帝国ホテルはそれを拒まず、
休憩所として宴会場を提供し、
自然にああいう形になったのだという。
社長や支配人の指示がなくても
社員たちは毛布を出してきて、
携帯電話の充電器を集めて来て、
寒空からやって来た帰宅困難者を守った。
女性たちは化粧のために洗面所を利用し、
それにも積極的に対処した。
その後、沢山の感謝の手紙が帝国ホテルには寄せられたそうだ。

ホテルほど一流二流の区別がはっきりしているところはない、
というのが事務局長の持論。

設備だけでなく、
人間が接待する場所だから、
人間力がものを言う。
二流ホテルに泊まると、
ホテルマンたちのレベルも二流だとよく分かり、
泊まった自分の格が落ちてしまったような気になる。
一流ホテルに泊まると、
料金が高くても、
「心地よいもてなしを受けた」という
充足感は他に比べられない。

聞けば、
帝国ホテルの社員は、
入社すると、
トイレ掃除から始めさせられるそうだ。
やはり超一流の企業は違う、と思う。


法政大学の教授だった小川孔輔(こうすけ)さんのサイトに、
帝国ホテル・小林社長へのインタビューで、゛
「良きホテル人の3条件」というのが載っている。
小林社長の言う、
「ハード、ソフト、人材」の3要素の話の中で、
次のように書いている。

三番目の人材について、
ホテル業界に向いた人間の条件を小林社長に尋ねてみた。
回答は以下の通りであった。
良きホテル人の三条件と呼ぶことにしよう。

 1 基本的に人間が好きであること
    接客業であるから当然である。人が嫌いでは・・・
 2 勉強をいとわないこと  
    採用に当たっては、その時点の能力( 頭が良いとか)よりは、
    その後の成長を見るので。ぴかぴかに磨ける素材が欲しい。
 3 人間として誠実であること
    性格について「めい・げん・そ」(明元素)を求めるとのこと。
    ホテルパーソンは、明るく、元気で、素直なことが大切。
 
3条件は、わたしが学部ゼミ生を採用する時の基準と同じである。
小川ゼミは「宗教的だ」(竹内先生!)とか
「体育会基準」(某先生)とも言われている。
が、わたしは、覇気のない人間、
元気のない人間、
理屈や文句ばかり言う人間( 一見頭はよさそう)は信用しない。
採用しないように、学生たちには頼んである。
なぜなら、からだが動かない人間は、
仲間ができないし、将来的に人間として伸びないからである。
学者の業績を見てもそれがよくわかる。
若いころ、学校秀才だったはずの研究者が、
40歳をすぎてからぴたりと業績がとまってしまうケースがある。
本人の努力や能力の限界もあるが、
それ以上に大きな要因は、
良き研究者仲間(ネットワーク)を得られないからである。
原因は、彼・彼女の人柄にある。
ホテルマンと同じ気質が、
研究者の成功要因についてもいえるのである。
つまるところは「人間力」である。
ビジネスパーソンも成功与件は同じかも知れない。


知っている人は知っているのだが、
事務局長は結構ホテルに興味があり、
外国に行くと、
ホテルを見るのが楽しみ。
ハワイやラスベガスのように
沢山の特色あるホテルがある場所は楽しくて仕方ない。
だから、毎回ホテルを変える。

数あるホテルの中でも帝国ホテルは素晴らしく、
先日の全国大会で泊まった大阪もそうだったが、
やはり超一流だと思う。
毎年「日経ビジネス」が発表する読者が選ぶホテル・ランキングで、
帝国ホテルだけが外資ホテルにまじって
ベスト5に入っているのもうなづける。


ところで、ホテル王の話で、
「ケインとアベル」という小説があり、
これは事務局長が人に勧める3冊の本の一つで、超面白い。
しかし、行事のことでいろいろなホテルマンに会うけれど、
この本を読んでいる人など皆無。
でも、やはり小林社長は読んでいるそうだ。
さすが。

「ケインとアベル」の良い感想が出ているブログは↓。

http://blogs.dion.ne.jp/hamalog/archives/9137289.html

最後に今日は、
↓の帝国ホテル120年史をいただいてしまった。

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300ページの大部で、簡単に読める本ではないが、
組合の応接間に置いて、
時々楽しみに眺めることにします。







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