デ・ジャブと『未来を生きる君たちへ』  

世の中はまだお盆休みのところが多いらしく、

と昨日も書きましたが、
今日もまだそのようで、
全国団体など、電話に出ません。
同じビルの中の
他の上部団体の方に確かめに行ってもらったくらいです。
それに比べてわが組合は(芝浦の食肉市場は)
働き者ですな。
昨日からやっています。

明日の臨時三役会のために資料を作りつつ、
デ・ジャブ(既視感)にみまわれました。

牛肉の買上げ、焼却、
保管料、補助金、申請、
現品確認、説明会・・・・
10年前を見るかのようです。

放射性セシウムが暫定規制値以上検出された牛肉を
買上げ処分する当初の方針が、
汚染稲わらを食べた牛全部に拡大。
セシウムが検出されなかったり、
算定規制値のはるか下であったとしても、関係なし。
食品衛生上から見ても問題ない、
つまり、食べても大丈夫な牛肉まで
燃やしてしまう
汚染稲わらを全く与えていない牛も、
出荷規制のかかった4県の牛肉は
保管や冷凍に補助金が出ます。
どんどん隔離しなさい、と言わんばかり。

「消費者の不安を取り除くため」
「在庫を抱えて困っている業界を救済するため」

デ・ジャブ、デ・ジャブ、デ・ジャブ・・・
10年前とそっくりです。

前と違うのは、
最終的に東電に損害賠償させる、
という点ですが、
それだって、結局は電気代に反映させたり、
最後はいずれ税金の投入という形で
国民が負担することになる。

風評による牛肉離れが
こうした形で巡り巡って来ることを
消費者自身は知っているのでしょうか。

そして、命を捨ててくれた牛たちの貴重な体が、
危険でも何でもないのに、
燃やされ、捨てられる。
世界には今だ飢えた人々が沢山いるのに。
ソマリアの難民キャンプでは、
子供たちが栄養失調で死んでいるというのに。

この飽食の国は、やはり何かが狂っている。
いつか天罰が与えられることでしょう。


〔映画紹介〕

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これは素晴らしい
珍しいデンマークの映画だが、
水準は高い。

二つの家庭の少年が描かれる。

一人は、母親をガンで亡くし、
父を憎んでいる利発な少年・クリスチャン。               
もう一人は、
両親の離婚の危機にあい、
学校ではいじめにあっている孤独な少年・エリアス。

この二人が転校先で隣同士になり、
いじめに対する報復事件で関わりを持つ。
「殴られた、だから殴った」
それがクリスチャンの主張だが、
父親は、
「戦争は、そうやって始まるんだ」
と諭す。

町で粗暴な自動車修理工の暴行を受けたエリアスの父・アントンは、
子供たちを連れて修理工を訪ね、
再び暴行を受け、
身をもって暴力の虚しさを教えようとする。

しかし、クリスチャンは納得せず、
ある行動に出る。

こうした大人の暴力、子供の暴力を描くと同時に、
アフリカの難民キャンプで働く医師であるアントンの姿を通じて、
もっと大きな社会の暴力も描く。
内戦そのものが暴力なところに来て、
キャンプは、狂ったボスの暴力にもさらされていた。
そのボスの治療を受け入れることで、
アントン自身が復讐の危機に葛藤させられる。

個人から世界に至る
人間の憎悪と復讐、
罪と救済の物語

人類の永遠の課題であり、
時代を超えて存在する問題を
三重構造の中で描こうとする高い志の映画だ。

なにより脚本がしっかりしており、
演出も微動だにせずに世界の有様を見つめる。
そして二人の子供の演技の素晴らしさ。
その背景として存在する難民キャンプの
リアリティ一杯の描写。
監督は名作を連発するスサンネ・ビア
女性監督というから驚く。

特にエリアスの父親である医師を演ずる
ミカエル・ペルスブラントの演技が素晴らしい。

子供たちの友情と悩み、
父母たちの抱える苦悩も
しっかり、じっくり描かれており、
2時間の間、
ぎっしり詰まった画面に展開する人間ドラマに
激しく撃たれた。
そして、最後に訪れる癒しの瞬間。
新たな友情の絆、
新たな親子のつながり、
新たな夫婦の赦し合い、
難民キャンプへの新たな出発、
迎える子供たちの無邪気なほほえみ・・・

映画館を出ると、
誰とも話したくなくなるような
しばらくは黙っていたいような
峻厳な気持ちにさせられる。

原題は「復讐」。
世界向けの英題は「IN A BETTER WORLD」
日本題は「未来を生きる君たちへ」で、
どんどん甘くなるが、
ラストシーンで観客に与える示唆としては
分かりやすいかもしれない。

デンマークの映画など久しぶりだが、
魂を揺さぶられる映画体験。
オスカー外国語映画賞受賞もダテではない。
昨年の「瞳の奥の秘密」といい、
外国語映画賞にはハズレがない。
アカデミー会員の目は確かだ。

5段階評価の「5」。

東京では日比谷シャンテ他2館で上映中。
あとは札幌・千葉・福岡で。
必見。






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