セシウムの夏  

本日、帰宅時の
芝浦の食肉市場のエレベーターでの、
見知らぬ人同士の会話。

「どうしてます」
「どうもこうもないよ。目茶苦茶だよ」
「誰も買わないですもんね」
「ひでえもんだよ」
「なんだか長引きそうですね」
「半年か、1年かかるかな」
「BSEの時より長くなるかもしれませんね」
「見えないからな」


「見えない」のが「先が見えない」のか
「放射能が見えない」のか分かりませんし、
全体的に意味不明なところもありますが、
食肉業界の雰囲気をよく表した会話です。

1頭から始まって、
それが11頭になり、
更に6頭が加わり、
42頭になったかと思ったら、
休みの間に84頭に増え、
411頭を含み、
現在合計648頭。

株なら大喜びになるような数字ですが、
全く喜べない。
42頭はすぐ追跡しましたが、
追跡対象411頭となると、
立ち尽くすような数です。
リストはいただきましたが、
10ページに及ぶ数字の羅列は
戦意を喪失させます。
しかも、
それは単に「問題の稲藁を食べた」と思われる牛のリストで、
既に消費されている可能性が高い。
その上、食べたところで
健康に影響があるような
ものではないという。

それを追跡し、
ある日、電話がかかってきて、
「お宅に納品した牛肉は、
汚染されていました。
今、どこにありますか」
「えっ、もう一週間前に売ってしまいました」
「それは大変だ。誰に売ったか分かりますか」
「そんなの分かりませんよ」
そして、
テレビカメラの前で
「大変申し訳ありませんでした」
などという羽目になる。

どこかへんだと思いませんか?
お店の人には何一つ責任がないのに、
あやまらなければならない。
それは日本人の美徳であり、
わが組合員の律儀さですが、
でも、やはり不条理です。


今日も午後に、
市場の実務者クラスの会議と、
トップクラスの会議が二つ続き、
国に対していろいろ要望していくことになりました。
もう福島の牛は入ってきませんし、
宮城や山形へは出荷自粛で対応するといいます。

しかし、先程の会話に「見えないからね」
とあったように、
これからどこまで広がるのが見えないのが不安を増しています。

ここの市場はそれでもいいですが、
生産地は出荷先がなくなれば、
生活がかかります。
食べられなくなります。

稲藁という盲点をちゃんと処理できなかった行政の責任ですが、
あの人たちは、
税金で食べているので、平気です。
                        
言いたいことは沢山ありますが、
このへんでやめておきましょう。

いずれにせよ、
この問題の根底には福島第一原発の問題があるのですから、
それが片づかなければ、終わりません。

昨日、発表された工程表によれば、
「第2ステップ」の「冷温停止の状態」には半年かかるといいます。
半年先といえば、
もう年は明けています。
それまで、この暑い夏と寂しい秋と寒い冬を過ごすのかと思うと
うんざりしますが、
とりあえず、半年先に光はあるということだけは
見えて来たのかもしれません。








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