土曜出勤と『千思万考』  

今日は午後から出勤。
来週の常務会の前の資料作りで、
月曜日、あまりバタバタしたくありませんので。

実は先週ずっと、
すさまじい睡魔の支配下にあり、
まるで時差ボケかと思うほど眠かったのです。
原因は不規則な睡眠時間で、
夜中に起きてあれこれやっているうちに、
朝を迎えるということがしばしばでした。

今日は
午前中眠ったせいか、頭は少しすっきり。
音楽を聴きながら、
仕事が結構進みました。

夕方からは映画。
まあ、面白かったですが、
紹介するほどのものではありません。
観た映画も読んだ小説も、
何でもかんでもこのブログで紹介しているわけではなく、
大半は不掲載のうきめにあいます。
その中で、↓の本などは、
紹介したいな、
みんなに知ってほしいな、
と思った次第。


〔書籍紹介〕

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「千思万考」(せんしばんこう)

黒鉄ヒロシは時々テレビに出て、
マンガ家にしては(失礼)
鋭いコメントをしているが、
この本は、黒鉄ヒロシの造詣の深さを知るにふさわしいもの。

織田信長から宮本武蔵に至る、
戦国時代と幕末までの
歴史上の人物に対する短評集のようなものだが、
この人物分析が鋭く、ユニーク。
文化的経済的要素の中で
それぞれの人物が
どのような要因で歴史に名を刻んだかがよく分かる。

たとえば、

戦国武将のほとんどが領土拡大に目標を置く中で、
織田信長だけが天下統一を謳った。


などという一文は、
群雄割拠の中で、
どうして信長が
天下を取ったかの秘密だ。

信長の改革について

「楽市楽座の創設」
「関所の廃止」
「南蛮貿易の推奨」
「キリスト教布教の許可」
「兵農分離」


をあげ、

パイオニアとしての信長の改革の根幹は
「既得権益」の破壊にあった。
次の「規制緩和」は創造に当る。
すべからく、改革とは旧体制の既得権の破壊のあとの
新制度の創造であり、
ヒトの文明はこれを繰り返す。


と書く。

では信長はパイオニアたる視座をいかにして獲得できたか。
幼い頃から津島湊という伊勢湾の中継地に立ち、
出船入船を眺めながら
外国の文物と情報に触れたことは、
大いに信長の固定観念を打ち崩した。
外を見て、内を見直し、
内から外へと視座を返せば、
時代の正体が見えてくる。
                            

武田信玄については、
「武田二十四将」の上に自分を置かず、
その中に数え、
国内法施行については、
「違反すればこの信玄をも罰せよ」
自らを特別扱いしない、
民主主義、法治国家の先鞭をつけた
「哲学と科学の人」であることを明らかにし、

これほどに優れた信玄が、
何故に天下に遅れたか。
学問をし過ぎたのではなかろうか。
例外はあろうが、
知識の獲得は
予測性を高め
人を謙虚にするから、
調和をはかろうと
周囲の意見を聴き過ぎて慎重になり、
万事に於いて行動が鈍重になる嫌いがある。

更に、信長、秀吉、家康達、成り上がりとは違い、
源氏よりの名門意識ゆえに、
ついに発想が保守的に傾き易く、
結果、先祖伝来の甲斐という土地に縛られた。


と分析する。

他に「人が死に対して恐怖する理由」として、

@痛覚への不安
A近親者との別れ
B財産権の放棄
C不条理感


をあげているのは「なるほど」と思わせる。
特にCについては、

不条理感とは、
言語によってかけられた魔法を
言語によって解こうとする行為だから、
いつまでたっても堂々巡りなのは明白で、
これにいい加減ウンザリしたタイプが
ストッパーとして発明したのが
「神」や「仏」


だという分析も、
「なるほど」と思わせる。

文章は一行で短く書かれ、
その背後に
膨大な読書と教養のあることが伺わせられる。
黒鉄ヒロシ、おそるべし。
マンガ家にしておくのは、惜しい。(再三、失礼)








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