風評被害を呼ぶもの  

昨日、
組合のホームページに書き込みがあった、
ということを書きましたが、
それは↓のような内容でした。

--------------------------------------------
福島産の牛肉が恐いです
投稿者:父兄 投稿日:2011年 6月11日(土)08時02分42秒

子供達が学校で、危険な福島産の牛肉を食べさせられているなんて許せません。
福島県の何町産か隠さないと、売れない肉って本当ですか。
横浜市議会の太田正孝先生のブログを見てください。
本当なら、横浜市民のためにそんな肉を売らないでください。子供が癌になるんですよ。
間違っているなら、違うとしっかり抗議してPRしてください。
このままでは放射能が恐くて牛肉も、豚肉も鶏肉も食べません。

--------------------------------------------

同様の書き込みは、
全国団体にもあったようです。

横浜の太田市議のブログには、
いろいろな投稿があって、
↓のようなものもありました。

--------------------------------------------
横浜市の小学生が口にしたのは、放射能汚染地区の牛肉か!

●M機関が発表した、
 小学生が給食で食べさせられた福島産の牛肉に関する調査が進んでいる。

福島産の複数の牛肉のうち、固体認識番号で追っていくと、
福島県の町村名が記載されている牛肉がたった一頭あった。

驚く無かれ! その町村は放射能汚染危険区域外の町村であったのである。

それ以外は
わざわざ「福島産」と有るのみで、生産町村の名前が秘匿されている事実がわかっている。

生産地を故意に隠しているのは、
生産地が「放射能汚染危険区域の牛」であるからではないか?

M機関によって、更なる調査が進められている。

<関連記事>

●恐ろしい事実を申し上げなければならない

給食用に使われる牛肉は、スーパーにも出ない、ほとんどは加工用にされている
福島産の牛肉である

このところ給食用に使われた福島産の牛の個体識別番号を下記に書く・
原産地はすべて福島である。

0384407334 ・  0599804270  ・  0456606016
0507702445 ・  0396306687  ・  0263310397
0254714050 ・  0243371851

いずれも、一般消費者が敬遠するために、スーパーや牛肉店ではほとんど売られていない

大部分は、産地を表示しないハムなどの加工品になる。価格は暴落して安いのである。

--------------------------------------------

そこで、この番号を家畜改良センターで調べると、
↓のような生産履歴が明らかになりました。

クリックすると元のサイズで表示します

確かに、福島県の飼養者の部分だけ空白になっています。

家畜改良センターに電話すると、
その部分は飼養者の合意で掲載するものであって、
合意するのは8割で、
2割の方は情報を開示しない、
それは法律違反ではない、といいます。

しかし、こうして隠すから不信感を呼ぶのではないかというと、
それは自分たちの職責の範囲ではない、
農林水産省に言ってくれ、
といいます。
農林水産省にかけると、
同様な説明でした。

たらいまわしにあって、
結局どこに言ってもムダと分かったので、
それ以上は断念しました。


横浜市が給食に福島県産の食材を使っているのは、
福島県産というだけで野菜や肉が売れなくなったのを、
助ける意味で始めたこと。
女ながら立派な市長だと思っていましたが、
それについても、
「子供たちを使って実験するのか」
「福島県が故郷なのか」
などと揶揄する方がいるようです。

太田市議も、
市長に対して勧告文を送り、
そこには、

「放射能汚染危険区域産の食材を「優先」して、給食食材として使用」

などと書き、

「給食食材に対する放射能検査の体制が整うまで、
絶対に、
放射能危険区域産の食材を子供に食べさせないこと。
その体制が整った後も、
放射能汚染危険区域産の食材を子供に提供しないこと」


と勧告しています。

こんな言いがかりをつけられたら、
いかに義侠心のある市長もうんざりするでしょう。
面倒だから、
福島県産の食材を使うのはやめよう、
と思うかもしれません。
その結果、困るのは、
何の罪もない農家の皆さんです。

市議は「放射能危険区域」などと言っていますが、
議員にしては言葉が雑。
「危険区域」と認定された所など、
日本には存在していません。
福島第1原発周辺の住民が避難しているのは、
万一の事故にそなえてのことです。
「危険区域」とは、勝手に一部の人が言っているだけで、
その地域の住人が聞いたらさぞ気持を傷つけられるでしょう。

まして、
「福島産の牛肉が恐いです」などという投稿の表題は、
福島県の生産農家を傷付け、
それ自体が風評被害を生む元凶になっていることを気づかないのでしょうか。

福島から来たというだけで、
旅館が宿泊を拒んだり、
転校が拒否されたり、
丸川サンではありませんが、
「この愚か者めが」
と言いたくなります。

被害者の顔をしながら、
実は加害者になり、
正義の味方のふりをしながら、
差別の権化になり、
子供を人質にしながら、
「恐怖」という精神的汚染を子供の心にまきちらしている。


こういう人が、非常時には出てきます。
たいていは安全圏にいる人です。

かつてBSEの時も、
沢山の人々が
「万一のことがあったらどうする」
という論理のもとに
給食での牛肉の使用停止を栄養士に迫りました。

特定部位を除去するという
世界的に認められた安全対策をしているにもかかわらず、
沢山の牛肉が焼却され、
捨てられました。

世界には飢えている人が沢山いるというのに。

言いたいことは山ほどあります。
このブログは個人の責任を明確にして書いていますが、
しかし、組合の掲示板にはそれなりの責任が伴います。
投稿者と争ったところで、
何も生み出しません。

ただし、掲示板を放置するわけにはいきません。
投稿者自身が
「間違っているなら、違うとしっかり抗議してPRしてください。」
と書いています。

そこで、
回答は次のようなものになりました。

--------------------------------------------
6月11日投稿の「父兄」様へ

ご投稿、ありがとうございました。
太田正孝横浜市会議員のブログも拝見し、
そこにありました個体識別番号を使って
家畜改良センターで公表されている
飼養履歴も調べました。

福島県の飼養施設の所在地と名称が空欄になっていることについては、
隠すから不信感が生ずるので、
開示した方がいいと思い、
家畜改良センターに電話したところ、
「この部分は生産者の同意があって始めて開示できるもので、
 開示するよう説得することは、本センターの職務ではない」
とのことでした。
農林水産省の消費・安全局に問い合わせても同様の回答で、
開示は義務ではなく、
生産者が同意しないのは法律違反ではありません、
と説明を受けました。

それ以上の追及は断念しました。

ただ、推察できるのは、
風評被害があるため、
生産者が萎縮して、公表しないのだろうと思います。
太田議員のブログにある
書いてないから「放射能危険区域」のものだとの推理は
乱暴だと私は思います。

なお、牛肉の安全性については、
放射能汚染はないと考えます。
何故なら、
牛たちは屋根のある牛舎で飼育されており、
空から降下する放射性物質にさらされてはいません。
食べているものは、飼料メーカーで製造された配合飼料で、
牧草を食べているわけではありません。
飲んでいる水は水道水で、雨水を飲んではいません。
つまり、家の中で生活している人間と同様です。
屋内で基準以上の放射線量は発見されていません。

今まで生きた牛や牛肉について
どんな検査を受けても
危険な放射線量のあるものが出ていないのは、
以上の理由によるものです。
豚も鶏も同様ですから、
放射能の心配は無用です。

危険でもない野菜や食肉が
福島県産というだけで
疑いの目を向けられていますが、
農家の皆さんのお気持を考えると
気の毒でなりません。

風評被害は、不十分な知識によって広がります。
今日本人がすべきことは、
正しい知識を身につけて、
いわれなき差別を払拭することだと思います。

よろしくお願いします。

--------------------------------------------

本来、言いにくいことをはっきり言う事務局長が、
いかに気を使いながら書いているか、
ご推察下さい。





AutoPage最新お知らせ