『ワルキューレ』  オペラ関係

今日は日曜日ですが、
8時半出発で新宿へ。
METライブビューイングの
今期最終演目
「ワルキューレ」を観るためです。

いつも東劇で夕方なのに、
何故朝早く新宿へ?
と疑問を持つ方もいるでしょうが、
なにしろ、この作品、
休憩込みで5時間20分かかります。
普通の座席で5時間はきついので、
新宿ピカデリーのプラチナシートを奮発したわけです。

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METライブビューイングは通常3500円で、
回数券なら3000円で観られますが、
長い「ワルキューレ」は5000円で、回数券は使用不可。
普通の映画のプラチナシートは5000円で、
まさか同じ料金に出来ずに、
この日は6500円。
かなりお買い得なので、
前売り初日にセンターの位置をキープ。

サービスのソフトドリンクとマカロンも出て、
フットレストがあるので、足を投げ出すことが出来ますし、
隣が空いていたので、
2人分の席にゆったり座って極楽気分でした。

「ワルキューレ」はMETの今期の目玉で、
四半世紀ぶりの新演出が話題。

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チケットは完売です。

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その完売のチケットを早めに手に入れて、
事務局長は、前から8列目のセンターセクションで観ました。

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今日の中継とは日にちが違いますが、
ナマで観れたというのは、                            
今年最高のラッキーでした。
ドクターストップで当分お休みの
レヴァインの指揮も聴くことが出来ました。

当日買い求めたレヴァインMET40年の写真集。

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その中に、
レヴァインがMETで何を何回指揮したかの一覧表が出ています。
(ツァーとコンサートを含む)
興味のある方のためにトップ10を挙げると、

82回 ヴェルディ「オテロ」
67回 モーツァルト「フィガロの結婚」
67回 ワーグナー「ワルキューレ」
62回 ワーグナー「タンホイザー」
61回 モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」
60回 ヴェルディ「ドン・カルロ」
57回 ヴェルディ「運命の力」
55回 ヴェルディ「ファルスタッフ」
53回 プッチーニ「ラ・ボエーム」
53回 ワーグナー「パルジファル」
                       
                 
と、ヴェルディとワーグナーが圧倒的に多く、
「ワルキューレ」は同点2位。
全部で85のオペラを指揮しており、
一番少ないのは、
「蝶々夫人」の3回。
「ラインの黄金」は44回
「シーグフリート」は「神々の黄昏」は27回ずつ。

さて、この日の感想。
中継の日の出来が一番いい、と言われているが、
この日の出来は、事務局長が観た日よりはるかによかった。

第1幕は、
フンディングの館にたどり着いたジークムントが
フンディングの妻ジークリンデと出会って、
一瞬で惹かれ合う。
実は二人は双子の兄妹。
ヨナス・カウフマンエヴァ=マリア・ヴェストブルックが美男美女なので、
惹かれ合うのも納得。

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特にヴェストブルック、演技うまい。
現場で聴くと、カウフマンは声量が足りなく感じたが、
中継では気にならない。
フンディングのハンス=ペーター・ケーニヒは、
現場で聴くと、うわっ、と思うほどの大音声。

ジークムントの「春と愛の歌」に続く
ジークリンデの「あなたこそ春です」にと続く二重唱は、

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官能的な音楽で、酔いしれた。
もっとも二重唱と言っても、別々に歌うが。

このオペラ、長いわりには登場人物が少なく、
メインは6人。
ワルキューレの8人の乙女の登場シーンは少なく、
ほとんどが2人または3人の場面で、
歌手の喉への負担は大きく、
強靱な声帯を持っていないと、
このオペラには出演することが出来ない。

第2幕の後半は、ぐっとドラマが引き締まる。
神・ヴォータンは、娘のブリュンヒルデに、
ジークムントとフンディングの決闘で
ジークムントを勝たせるよう命じる。
そこへ妻・フリッカが現れ、
兄妹の近親相姦をなじる。

この場面のフリッカ役のステファニー・プライスがすごい。

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椅子に座ったまま、
歌だけで、心の中の葛藤から嫉妬から愛情から
何から何まで表現する。

ヴォータン心ならずもジークムントを倒すことを約束し、
ブリュンヒルデに、ジークムントを死なせるよう命じる。
ブリュンヒルデは当惑しつつ、
ジークムントに決闘で死ぬことを告げ、
死せる勇者はヴァルハラ(神々の住むところ)に迎え入れられることを言うが、
ジークムントは、ジークリンデと離ればなれになることを拒否し、
むしろ二人で死ぬことを望む。
心を打たれたブリュンヒルデは、
ヴォータンの命に背いてジークムントを救うことを決心する。
ジークムントとフンディングの戦いが始まると、
ブリュンヒルデはジークムントに加勢するが、
察知したヴォータンが現れ、
ジークムントの持つ剣ノートゥングを槍で砕く。
ジークムントは、フンディングの槍に刺されて絶命する。
ブリュンヒルデはジークリンデ連れ去る。
ヴォータンは、命に背いたブリュンヒルデへを追っていく。

音楽が濃密な心理を表現し、
本当にすごい展開になる。
様々な宗教的暗喩が満ち、
人間の心の底にあるDNAを掻きむしる。

ちなみに、題名の「ワルキューレ」(発音は「ヴァルキューレ」)とは、
戦いに助力し、英雄たちヴァルハラに導く
ヴォータンの娘たちのことで、
「戦乙女」(いくさおとめ)という素敵な訳語が与えられている。

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原題の「DIE WALKURE」は、定冠詞付きの単数。
つまり、ブリュンヒルデがこのオペラの主人公なのだ。
演ずるのは、
METライブビューイング今年のパンフレットの裏表紙を飾った、
デボラ・ボイト

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第3幕は、
コッポラの映画「地獄の黙示録」で有名になった
「ワルキューレの騎行」で始まる。

どんな曲だったか、思い出せない方は、
↓をクリック。

http://www.youtube.com/watch?v=-NrViNgyEkc

今回の新演出、
50億円もかけた舞台装置は
24枚の大きな板が
コンピューター制御で変幻自在に姿を変えるというもので、
なんだかな〜という感じだが、
(バックステージ・ツァーに参加した人によると、
大道具の人が、
「こんな装置」「前の方がいい」と公然と言うらしい)
この「ワルキューレ」ではなかなか効果を上げていた。

ところが、この「ワルキューレの騎行」の場面はいただけない。
8枚の板のそれぞれに乙女たちがまたがって、
空駆ける馬を表現。
ぎったんばったんして公園のおもちゃのよう。
そして滑り台のように落ちて来る。
全く音楽の邪魔で、
装置が音楽以上にモノを言ってはいけません。

ブリュンヒルデはジークリンデの体に子供が宿っていることを告げ、
生きるよう説得し、
その子には、「ジークフリート」と名付けるように言う。
実は、「リング」の真の主人公は英雄ジークフリートで、
彼がどのようにして生まれてきたかの前段階がここまで。
ワーグナー先生、粘っこい性格ですね。

ヴォータンが怒り狂って登場すると、
ワルキューレの娘たちはかばうが、
父の怒りはすさまじく、
ブリュンヒルデをワルキューレから除名し、父娘の縁を切ることになる。

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本当はブリュンヒルデを一番愛していたヴォータンは、悲しみを隠し、
口づけでブリュンヒルデの神性を奪い、
岩山に横たえ、炎で取り囲み、
「この槍の穂先を恐れるものは、決してこの炎を踏み越えるな!」と叫ぶ。
いつの日にか、炎を恐れぬ勇者が現れた時に
ブリュンヒルデが救出されることを予感させて、
次作「ジークフリート」につながる。
この場面は、音楽も素晴らしい。

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ただ、この岩山のシーンの演出もどうかなあ。
岩山が垂直に立ち上がって
ラスベガスの「KA」のようになり、
(演出が、同じロベール・ルパージュ。)
真上から見ている感じ。
ブリュンヒルデを赤い色が囲んで幕。

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ここも装置が音楽を邪魔した。
それとヴォータンのブリン・ターフェルは演技がいまいちで、
泣かせてくれない。
声量も少なく、声の厚みもなく、
これでいいのか。

最後にオーケストラは素晴らしかった。
レヴァインさんの掌中で踊っていた。
ラストは大喝采。

不満もいろいろ書きましたが、
事務局長、5時間、堪能しました。
何といっても「ワルキューレ」は密度随一のオペラです。
これで6500円は全然高くない。
METライブビューイング、今期の最後を飾る作品でした。


ところで、↓は、娘からの誕生プレゼント。

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METの1989年の「ワルキューレ」のDVD

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前の演出を観たいと言っていたら、買ってくれました。               
何という親孝行
もっとも、
「ワルキューレって何?」と訊いていましたから、
娘の世代にとっては、
「ワルキューレ」とは、
トム・クルーズのヒトラー暗殺の映画のことのようです。
                                        
他に友人が去年のバイロイトの「ワルキューレ」のDVDを送ってくれており、
2本観るだけで、8時間かかります。

(実は、この後、1989年の
オットー・シェンク版のワルキューレの第3幕、
観てしまいました。
冒頭の「ワルキューレの騎行」で大感動。
泣きそうになりました。
熱い。熱い。
レヴァインさんも若いし、
素晴らしく胸を打つものがあります。

↓ヴォータンはジェイムズ・モリス。
ブリュンヒルデはヒルデガルド・ベーレンス。

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最後の火も↓この効果。

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セットもリアリズム。
音楽の邪魔をしない。
泣けます。
つい、大道具さんに一票投じたくなりました。)

                                       
これで今期のMETライブビューイングは終了
感想を読みたい方は、それぞれ↓をクリック。

ラインの黄金:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20101106/archive

ボリス・ゴドゥノフ:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20101113/archive

ドン・パスクワーレ:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20101207/archive

ドン・カルロ:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20110109/archive

西部の娘:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20110129/archive

ニクソン・イン・チャイナ:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20110303/archive

タウリスのイフィゲニア:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20110323/archive

ランメルモールのルチア:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20110411/archive

オリー伯爵:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20110511/archive

カプリッチョ:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20110518/archive

イル・トロヴァトーレ:http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20110528/archive






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