土曜出勤と『再会の食卓』  

今日は土曜出勤
昨日の財務局で打ち合わせした内容で、
修正しなければならないところが発生したためです。
また、来週の一日おき3回の会議でバタバタしたくなかったので。
それにしても、
休日の職場の能率のいいこと。
心置きなく音楽をかけて、集中して仕事ができます。


で、帰りは映画。
何だか久しぶりですね。
3週間ぶりですか。
映画のサークルCCSから「○×採点表」の用紙が来たので、
集中して見ることにします。
その最初が、↓。


〔映画紹介〕

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レビューを読むと、「予告編が気になって」という方が沢山いるのですが、
事務局長もその口で、随分効果的な予告編だったようです。
で、予告編での期待を裏切らない、なかなかの秀作でした。

上海に住むユィアーのところに、
台湾に住む元夫・イェンションから、40年ぶりに手紙が来た。
夫は元国民党の軍人で、
1949年、
共産軍との戦いに敗れて台湾へ向かう港で妻とはぐれてしまい、
それから40年も音信普通だった。
このようにして生き別れになった家族が何十万もいたという。
中台接近の中、
「台湾老兵帰郷団」が組織され、
その一員としてイェンションが参加して上海に来るので、
会いたい、というのだ。

しかし、ユィアーは既に結婚して子供を生み、家庭を持っている。
夫のシャンミンは恩人で、
文化大革命の中、
乳飲み子を抱えて困っているユィアーを助けて妻に迎えてくれた。

やって来たイェンションを複雑な気持ちで迎えながら、
シャンミンは家に泊まらせる。
イェンションはユィアーに、
「台湾に一緒に行って、老後を共に暮らしてほしい」と誘う。
決してシャンミンを愛してはおらず、
前の夫への愛情が残っていたユィアーは承諾する。
「この数十年は、ただ生きていただけ」というユィアーの中には、
たった1年の結婚生活で
若い時に去った夫を待ち続けた気持ちが残り火のように存在していたのだ。

しかし、今の夫には恩義がある。

倹約家でありながら、イェンションを歓迎するためには
いそいそと高価な上海蟹を買って来てふるまうような善人のシャンミンは、
「ユィアーさえよければ」と、それを承諾する。
しかし、家族たちは大反対で言い争う。

戦争と政治の嵐に巻き込まれた庶民に起こった人生のさざ波。
誰も悪くないのに、みんなが不幸になっている。
元夫と前夫と共通の妻が一緒に食事をする場面が2度出て来るが、
三人それぞれの気持ちがやるせなく、
涙をそそる。
三人の老優の演技が胸を打つが、
特に、2度目の食事の場面で、
望郷の歌を歌うイェンションの歌は圧巻。
(この役者、本職は歌手だそうで、道理で歌がうまい)
また、別の食事の場で、
酔ったシャンミンが、
徐々に本心を表してしまい、
国民党の軍人の元妻を娶ることで出世の道が閉ざされ、
一生造船所の溶接工として生きてきた過去を語るシーンも切ない。

二人で役所に出かけて離婚の届けを出そうとしたら、
実は結婚証明がなく、
そのためにわざわざ写真館に行って結婚写真を撮る場面は、
皮肉が効いている。
離婚するための結婚写真なのに、
カメラマンの指導で二人は寄り添って幸福そうな顔を作る。
イェンションの訪問は、
事実婚でしかなかった結婚を
法的に有効にしてしまったのだ。

時代的には30年位前の話なのだが、
監督は現代の上海を舞台とした。
従って、年齢もおかしくなるが、
近代化激しい上海の高層ビルの狭間に
取り残されたように残る古い民家の中での出来事として描くことで、
今の中国の抱えている問題をあぶり出そうとしたのだろう。

狭い家の時には家族が集まって食事をしていたのに、
広いマンションに引っ越したとたんに
集まらなくなった姿など、
世界共通の近代化の悲劇だ。

三人の老優は見事にリアリズム。
固定カメラの引きの映像の長回しという、
事務局長の嫌いな手法だが、
それがうまく機能している。

過去の青春と老年の今。
失った歳月は帰らない。
残酷な時間も提示され、
人生の奥深い悲しみを描く秀作
心に深く染み込んで映画館を後にした。

監督はワン・チュエンアン

5段階評価の「4.5」


ところで、昨晩の日本アカデミー賞の中継見ましたか?
あの作り方は何とかならんか、
と毎年のように言っていますが、
何とかならんようです。
「プレゼンターは昨年〜〜〜で受賞した〜〜〜さんです」
などと言わなくたって、
出てくれば画面で分かる。
「映像で分かることを言葉で説明するな」
というのは映画作りの基本。
そして、受賞者へのインタビューもスピーチも陳腐そのもの。
気の効いたことの一つも言えない。

作品賞は「告白」ですと。
「告白」の方が「悪人」より上?
事務局長にとって「告白」は×の作品。
映画を評価する重要な尺度の一つである
「人間が描けているか」を取っても、
二つの作品の鑑賞後の感銘の度合いを見ても、
その優劣は自明の理だろうに。
これが日本アカデミーの会員4200名の総意ですか。
日本映画人のセンスがこれでは、
良い映画が生まれるはずがない。

「悪人」の感想は、↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20101105/archive

「告白」の感想は、↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20100607/archive






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