休日出勤と『漂砂のうたう』  

今日は休日出勤
アンケート結果がようやく常務会で出るといった状態で、
記事化が遅れたからです。
14日が締め切りなので、
土日の出勤は覚悟していました。

誰もいない静かな職場で
音楽を聞きながらの仕事は、
大変順調に進みます。

この作業はグラフも作らなければならないので、
なかなか大変です。
半分を過ぎたところで、
後は明日にして、帰宅。


〔書籍紹介〕

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いやはや、これは素晴らしい。
この半年くらいに読んだ中で一番

明治に入って間もない根津遊廓を舞台に、
そこでうごめく人々の交わりを描く。

主人公は美仙楼で番頭をつとめる定九郎。
もちろん変名で、元々御家人の次男坊。
明治維新で身分を奪われた士族たちが
生きていく術を失って右往左往しているその一人だ。
物語の背景に、
明治維新という大きな変化に付いていけない人々の
哀愁と怨嗟があり、
時代の変化の中で失われていった
廓という一つの文化の崩壊がある。
そのやるせない思いを
定九郎の鬱々たる気持ちを抱えた毎日に託して描く。

時間を忘れた
特に終盤、人気花魁・小野菊の足抜きに関わって、
暗い計画に巻き込まれていく過程、
最後の小野菊の花魁道中のシーンは、
緊迫感と美しさがつながった、わくわくするようなシーンだ。
円朝まで出て来て、
落語の世界と現実が交錯する。

妓との遊び方には、客の人生がそのまま映る。
この男はきっと、ろくでもないものを自ら進んで取り込んでは、
犠牲者面して泣き言を重ね、生きてきたのだ。


などという苦い描写は、並のものではない。

みじめな境遇にいる兄と再会してしまい、
その兄が価値のないプライドにしがみついている様に落胆したりする。
町人に身をやつしながら、
自分の体と下駄の足跡に
武士であった時の痕跡を見つけてしまうあたり、
実に哀切。
永遠に続くかと思った武士の社会が
簡単に瓦解していった後の時代設定は、実に見事だ。

読み終えて驚嘆した。

実は、事務局長、すっかり勘違いしていた。
この木内昇(きうち・のぼり)という人、
男だとばかり思っていた。
それほど男の世界が見事に描かれていたからだ。

そして、その勘違いがもう一つの勘違いを生んだ。
今年の芥川賞と直木賞はどちらも2人受賞で、
4人で写した写真には、
知っている男性が二人いた。
で、木内昇を男性と思い込んだ事務局長は、
直木賞に落選したと思い込んでしまったのだ。
こんな見事な小説に直木賞を与えないとは、
選考委員の目は節穴か、
と思ったら、
調べてみると、ちゃんと受賞していて、しかも女性だ。
さすが選考委員、
良い作品は見逃さない。

是非映画にしてもらいたいと思う作品。
お勧めします。
是非、読んで下さい。






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