新聞編集と『ハムレット』  

朝、国際フォーラムの地階から地上に上がる途中、
にぎやかなブラスの響きが聞こえてきました。
中の広場で、↓若者たちが演奏しています。

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どうやら、↓の宣伝らしく、

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↓しかし、何なのか、よくは分かりません。

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朝から生の音楽を聞いて、何だか得したような気分になって出勤です。


今日はずっと新聞の編集ですが、
中途の来客や電話が多くて、
時間がつぶされました。


夕方は、東劇へ。
METライブビューイング「ハムレット」を観るためです。
昨日は「シェイクスピア・シークレット」の紹介をしたばかりですね。

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アンブロワーズ・トマ作曲のこのフランスオペラ、
大変上演機会が少ない。
事務局長の持っているオペラ解説本上下2巻には、
計230本のオペラが紹介されているが、
トマのところは、「ミニョン」しか掲載されておらず、
その上、「ミニョン」の解説には、
「当時の人気歌劇作曲家トーマの作品中、
現在も世界で上演される唯一の歌劇」

などとはっきり書いてある。
Hを発音しないフランス語で「アムレット(Hamlet)」などというので、
英語圏では受け入れられないらしく、
イギリスでの最近の上演でも不評だったという。

METでも上演は113年ぶり

2003年にバルセロナのリセウ大歌劇場で上演して大好評だったため、
同じ演出(パトリース・コリエとモーシュ・ライザー)
と主演(サイモン・キーンリーサイドとナタリー・デセイ)を
そのままMETに持ち込んだのが今度の舞台。
最近、人気急上昇のナタリー・デセイを当て込んだ企画のようだ。

そのデセイが病気のため降板、
1ステージだけ歌う予定だったマルリース・ペテルセンが、
ウィーンから呼び寄せられて、
彼女のためだけの特別リハーサルをやって初日を迎えた
というのも話題。
ただ、デセイが出ないというので、
チケットのキャンセルもあったらしい。

原作を相当改変してあり、
音楽的にも低調、
というのがトマの「ハムレット」に対する一般的な評価で、
シェイクスピア作品中では、
「リア王」の次に「ハムレット」が好きな事務局長としては、
(蜷川幸雄演出・平幹二郎主演の帝劇版「ハムレット」は、
長い間、事務局長の演劇体験のベスト3に入っていた)
少々心配しつつ観たわけだが、
とんでもない。
実に面白かった。
原作の改変もオペラ的にうまく行われている。

改変というのは、
たとえば、
ローゼンクランツとギルデンスターンも
ノルウェー王国の王子フォーティンブラスも出て来ない。
オフィーリアの父・ボローニアスは殺されないし、
最後の剣術試合もない。
毒入り酒もない。
だからガートルードも死なない。
従って、最後は死体累々というわけではない。
どころか、ハムレットは死なず、王になる。
というのは、トマの初演版で、
今日のは、ハムレットが自害する版。

幕間インタビューで、指揮のルイ・ラングレ
「トマは最初、ハムレットが死なないラストで書いたが、
英国で上演する際、
自害するのに変えた。
ハムレットが死なないと、英国では侮辱されたと思うから」

などという話をしていたのが興味深い。

後半、オフィーリアの狂乱の場から
墓堀りの場になり、
そのまま葬儀でクローディアスの殺害という展開になったのは、
「ほう」と思った。
確かにこの方が話が早い。
その上先王の亡霊まで再度出て来たのには驚いた。

前半最後の、役者を使って王の犯罪を暴き、
ハムレットが気のふれたふりをしてワインを浴びるあたり、
実にドラマチック。

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合唱とのかけあいもいい。
要するにセリフで言うのを音楽に乗せて
感情吐露するわけだから、盛り上がる。

(前半が終わった後、
ワインまみれになったキーンリーサイドをカメラが追うのは
おいしい映像。)

なによりハムレット役のサイモン・キーンリーサイドがはまり役で、
しかも演技力抜群
抜群などという表現が足りないくらい、すごい。
本当はシェイクスピア役者が歌も歌っているのではないかと思えるくらい。

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オフィーリアのマルリース・ペテルセンもいい。
特に狂乱の場は、「ルチア」より切ない。
こういう人がサブの配役だとは、METの層の厚さが分かる。

演出は不要な装置を排し、
壁だけの表現。
それで役者(歌手)への集中度が高まった。
この演出はいい。

音楽はところどころ安っぽくなったが
でも、高揚感はあった。
シェイスクピアとオペラと二つ同時に楽しんで、
得した気分で家路に着いた。

ピーター・ゲルブ総裁が
来期のMETライブビューイングの紹介をした際、
「ニューヨークから銀座まで」
と言っていたが、
その「銀座」とは、まさに東劇のこと。

来期紹介の↓チラシが劇場に置いてあった。

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なお、ニューヨーク在住のオペラファンで、
収録日当日と初日の様子をレポートしている方がいるので、
それを読みたい方は、↓をクリック。

収録日
http://blog.goo.ne.jp/madokakip/e/6b5132d3229d7b5bc09fde641dacdd67

初日
http://blog.goo.ne.jp/madokakip/e/5b7d2cc3f5358b6483d0e7320cf20dc5

他に、
以前、「ハムレット」の舞台となった
デンマークの城を
事務局長が訪れた時の写真や記事を見たい方は、↓をクリック。

http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20070820/archive






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