利率確定日迫る、と『ヴォツェック』  

最近、証券会社の方の来訪が増えているのは、
仕組債の利払日が近くなり、
場合によっては解約→新たな設定
というストーリーを期待しているらしい。

残念ながら、その気配はありません。
まず米ドルは、今の為替水準では、まず無理。
豪ドルは、これ以上円安になると、
ひょっとして、と思いましたが、
利上げのスピードが鈍ったことから、
今日は売られています。

第1回目の利率の確定日は20日の金曜日。
午後3時の為替で利率が決まります。
その後2つ控えており、
暫くは神経がすり減りそうです。

そんな中、今日は新国立劇場へ。
作品はベルクの「ヴォツェック」

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「20世紀オペラの最重要な作品」だそうで、
無調で作曲されています。

実は、音楽について幅広く受け入れる事務局長も、
ド演歌とヘビメタ、それにクラシックの現代音楽は苦手。
というか、普通の人は、現代音楽は受け入れにくいでしょう。

無調というのは、ハ長調とかロ短調とか、
そういうものではなく、
ピアノでいうと、
白鍵も黒鍵も全部、
ドレミファの7音ではなく、
12音を使う。
楽譜はシャープとフラットのオンパレード。
さぞ演奏するのは大変でしょう。
歌うのも、しゃべるような、怒鳴るような。
あんなメロディーのないものを
よく覚えられるもんです。

調がないから、
和音もコード進行もなく、
つまり、響かない
不協和音ばかり。
従って、心地よくなく、
早い話がエンタテインメントではない

しかし、音楽技法としては
伝統的なものを壊したとして、
専門家たちは高く評価しています。
素人目には、単なる音楽家の自己満足、
と見えるのですが、
まあ、純文学みたいなものです。

シェーンベルクが有名ですが、
(数年前、「モーゼとアロン」観ましたよ。)
ベルクはその弟子。
「ルル」と「ヴォツェック」が上演される機会が多い。

そういうわけで、覚悟して行ったのですが、
音楽の方は
事務局長の中に現代音楽を受け入れる回路が
知らないうちに出来ていたらしく、
それほど抵抗はありませんでした。

問題は演出の方で、
↓のような巨大な部屋が宙づりになっていて、
上下したり、前に迫り出して来たりします。
邪魔。

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床は一面水が覆っており、
その上を禿げ頭でせむしのような
異様な風体の人々がうろうろとうごめきます。

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事務局長が最も嫌うタイプの演出
バイエルン州立歌劇場との共同制作で、
あちらでは大絶賛だったとか。
いかにもドイツ人が喜びそうな演出です。

話は、貧困にあえぐ兵卒のヴォツェックが
副業に床屋をしたり、
医者の人体実験に応じたりしていると、
薬の副作用で幻覚を見るようになる。
一方、内縁の妻のマリーは体格のいい鼓手長と浮気をして
罪の意識にさいなまれている。
妻の浮気に気付いたヴォツェックは嫉妬に苦しみ、
鼓手長から辱めを受け、
錯乱の中でマリーを殺してしまう。
凶器のナイフを捨てるために池に入ったヴォツェックは溺れてしまう。
マリーの息子に子供たちが
「お前のお母さんは死んだぞ」と告げる・・・

という、暗い暗いお話。
元々実話で、ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナーの戯曲を観て
ベルクはオペラ化を思い立ったといいます。
1925年初演ですが、
内容は今にも通じる話。
前衛的な無調音楽でも、十分描ききっていました。

しかし、音楽が前衛的で、演出も前衛的だと、
難解に感ずるだけで、訴えるものがない。
まともにリアリズムでやった方が
音楽が生きるような気がしました。
両方前衛では、どちらも生きず、
まるで、砂糖の上にハチミツをかけたよう。
とうがらしの上にコショウをかけたよう。
しょうゆの上からソースをかけたよう。
アイスクリームの上に・・・もうやめます。

昔は母子の関係にしぼって、
センチな話にした演じ方が主流だったようですが、
どうしても演出家は新機軸を出したがります。

舞台を石油プラントの工場にして、
資本家と労働者の対決にした演出もあったらしい。↓

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今度の舞台は、床面に水が張られていて、
人物が長靴で音をたてて歩きますが、
これについて、演出家のアンドレアス・クリーゲンブルクは、
こう言っています。

「水のぴちゃぴちゃという音。
至高の芸術である音楽に対して、
それとは違う音を対抗させたかったのです」


演出家には、本当に愚かな人がいます。

そういうわけで、
音楽が無調でも
しっかりと音楽的に描かれたドラマを
演出が一つの見解を押しつけて来るという舞台。
こういうのを持ち上げる人がいるから困る。

3幕15場ですが、休憩なしの1時間30分で早く終わって、救われました。

自分でなら決して観ないオペラですが、
年間会員で切符が自動的に来るので、観て、いい経験。
ワーグナーの時より
もっと頑固そうなお年寄りが沢山来ていました。






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