上海と「ラ・チェネレントラ」  

明日の常務会の準備をしながら、
上海での暑気払いの説明は、
やはり映像でやった方がいいと思い、
いつものパワーポイントに取り組んだら、
やはり凝り始めて・・・
へたすると今夜は徹夜になるかもしれません。
明日の夜は「ターミネーター4」の先行のチケットを取ってあるのに・・・

夕方からは東劇に行って、
METライブビューイング最終回、
ロッシーニの「ラ・チェネレントラ」を鑑賞。

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「シンデレラ」の話です。
Cenerentola チェネレントラはイタリア語読み。
フランス語ではCendrillon サンドリヨン、
英語ではCinderella シンデレラ。
いずれも意味は同じで「灰かぶり」。

原作はペローの童話で、グリムの方はもっと怖い話。
現代で標準になっているのはディズニーの「シンデレラ」。
しかし、ロッシーニ版は、
魔法使いのお婆さんもカボチャの馬車も出て来ない。
魔法使いの役回りをするのは、
王子の先生で哲学者のアリドーロという人。
アンジェリーナ(チェネレントラ)の前向きな姿勢を受けて、
舞踏会に送り込む。
アンジェリーナをいじめるのは、継母でなく、継父の男爵。
連れ子だったアンジェリーナの財産を食いつぶしているという設定。
ガラスの靴さえ出て来ず、
王子は舞踏会から去った女性が残した腕輪を材料に人探しをする。

という具合に「おとぎ話」ではなく、
現実的な話にしているのがミソ。

今シーズン最終日の5月9日昼にMETで上演されたもので、
その夜はワーグナーの「神々の黄昏」でシーズンを閉じた。
母の日の前日のため、
出演歌手がインタビューで母親に感謝しているのが面白い。

今回のMETライブビューイング10作(大晦日のガラを入れると11作)の
最後を飾るにふさわしい楽しい舞台。
音楽が明るい上に
ストーリーも分かり易くて、しかもコミカル。
休憩を入れて3時間19分があっという間の楽しさ。

それを支えたのは、何と言っても
タイトル・ロールを歌うエリーナ・ガランチャの魅力だ。

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上の写真のような妖艶な美女ではなく、
もっと感じのいい美人。
↓のコンサートで、チェネレントラの最後のアリア
「私は憎しみと悲しみと涙のうちに生まれた」を歌っているので、
時間のある方はどうぞ。
ローシーニの超絶技巧を難なくこなしているのが分かる。



この役にはうってつけで、
ひたむきに自分で運命を切り開こうとする姿勢を持った主人公を演じた。
演技力もあり、動きの一つ一つに無駄がない。
アリドーロが天使の格好で出て来た時(笑える)、
その羽根にそっと触ろうとしたり、
上から降りて来た着替室を見上げる姿など、魅力一杯。
ボロを着ていたのがドレスに着替えて舞踏会に出て来る場面の美しさ。
冒頭、「昔あるところで、一人の王様が」と歌い始めるところなど、
元々メゾソプラノが好きな事務局長は鳥肌が立った。

METデビューが「セヴィリアの理髪師」のロジーナだったので、
ロッシーニ歌いみたいに見られているが、
幕間のインタビューで、
もっとゆっくりした曲を歌いたい、
遠くない将来、ロッシーニとはさよならする
と言っていた。
これほど魅力的に演じたら、周囲がそうはさせないだろう。

継父ドン・マニフィコ役のアレッサンドロ・コルベッリはいいねえ。
前に「ジャッニ・スキッキ」をやった時もすごいと思ったが、
今度も大いに笑いを取る。
幕間のインタビューで
「笑わせようと演技をしては駄目。
本人は大真面目で、
それが結果として笑いを誘う。
それを間違えるといけないんだ」
と言っていた。

家来ダンディーニのシモーネ・アルベルギーニ
哲学者アリドーロのジョン・ロリエ(「ファウストの劫罰」のメフィストフェレス、よかったね)、
二人の姉も面白く、
METは実に粒が揃っている。

ただ、王子ドン・ラミーロのローレンス・ブラウンリーは、
どうやっても王子には見えず、ちょっと辛い。
役にはやはり「柄」というものがある。

チェーザレ・リエーヴィの演出は余計なことをせず、
人物の配置その他、細かく配慮されており、
分かり易い。

今期のMETライブビューイング最後の楽しい時を過ごした。
明日(6月5日)まで。

今期も事務局長は皆勤賞を獲得。
「賞」と言っても、
誰も誉めてくれるわけではなく、
自分が満足するだけだ。
個々の作品の感想は、本日の最後の部分を参照。

前に紹介した来期のラインナップがチラシになっていた。↓

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日付は日本の上映日ではなく、ニューヨークの上演日。
全て土曜日の昼の部。
欧米では生放送だが、
日本では時差の関係から無理で、
3週間くらい後になる。

「トスカ」「ホフマン物語」「アルミーダ」が新演出。
ドミンゴがバリトンを歌う「シモン・ボッカネグラ」が楽しみ。
しかし、何と言っても
フランコ・ゼフィレッリ演出の「トゥーランドット」
が一番の期待で、
もし歌手の出来が良かったら、
一週間通うかもしれない。

今年は10作品で5枚綴りの回数券が出たが、
9作品ではどうするのだろうか。
5枚と4枚を出すのか、3枚にするのか。
9枚綴りというのは、
「全部観るぞ」という決心が必要で、
それほど沢山はいないはず。
プログラム1冊進呈などという特典が付くと買うかもしれないが。

ところで、佐々木忠次さんには悪いが、
事務局長は新国立劇場の会員になった。
というのは、オペラの通年セット券というのがあり、
10パーセント割引の上に、
座席のエリアをあらかじめ指定できる↓のが魅力だったからだ。

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その結果、今年9月から来年6月までの
「オテロ」「魔笛」「ヴォツェック」「トスカ」
「ジークフリート」「神々の黄昏 」「愛の妙薬 」
「影のない女 」「カルメン」

の9枚のチケットが送られて来た。
「い」のエリアを指定した事務局長の
取れた座席は↓下の赤い部分。

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いいね、この制度。

METライブビューイング、今期の作品の感想は、それぞれ↓をクリック。

サロメ↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20081104/archive

ドクター・アトミック↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20081202/archive

ファウストの劫罰↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20081218/archive

タイス↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20090115/archive

つばめ↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20090203/archive

オルフェオとエウリディーチェ
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20090219/archive

ランメルモールのルチア↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20090303/archive

蝶々夫人↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20090330/archive

夢遊病の娘↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20090413/archive

オープニング・ガラ↓
http://star.ap.teacup.com/applet/shokuniku/20081231/archive







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