補助金事業報告と『ファウストの劫罰』  

今組合がやっている補助金事業の報告書に取りかかりました。
「組合がやっている」と書きましたが、
実際は2,3の支部で実施したことを、
組合が窓口なので、
申請書類、報告書類の作成を全て本部でするわけです。

実際に上がって来た領収書には
とても補助金には該当しないものもあり、
宛名なども不備で、
それらは全て本部の負担となります。
不備があるからと現場に押しつけるのはしたくありませんから。
消費税部分も本部の負担。
やればやるほど本部の持ち出しが増えます。

支部の活性化のためなので、それはいいのですが、
根が補助金事業嫌いなもので、
ついつい後回しにしてしまい、今日になりました。
元青年部長はパン粉付けが嫌いだそうですが、
なんとなくその気持が分かります。

夜は病院のカミさんの見舞いもせずに、
東劇へ向かい、
METライブビューイング3作目 (まだ3作目)の
「ファウストの劫罰」へ。

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ベルリオーズのこの作品、
正確には「歌劇」ではなく、「劇的物語」と呼ばれ、
演奏会形式で上演されるのが普通だが、
今回はオペラとして上演。
バッハの「マタイ受難曲」だってオペラとして上演することがあるから、
形式にこだわることはない。
ただ、主要3キャストのファウスト、メフィストフェレス、マルグリット、
それに一場面だけ出て来る学生ブランデル以外は全部合唱。
後は情景描写の演奏。
従って、上手にやらないと退屈極まりないものになくおそれがある。

その点、今回は最新映像技術を駆使しての演出
題材に見事にはまり、
視覚的に楽しい、
驚きのある舞台となった。

実は、ある場面で、
「これは『KA』と同じ技術だな」
と思ってしまったが、
後で確かめると、
演出のロベール・ルパージュ
シルク・ドゥ・ソレイユの『KA』を演出した方だった。納得。

1999年のサイトウ・キネン・フェスティバル松本で
上演したものを観た方によると、
骨格は同じで、最新技術が取り入れられているのだそうだ。

舞台は4層になっており、
その背後にあるスクリーンに映像が投映されて、
大学の図書館や酒場や戦場や館や教会と姿を変えて行く。
歌手の動きによって、
草が揺れたり、
メフィストフェレスの動きに合わせて
木々が枯れていったりする。

演出家がインタビューの中で、
「オペラは瀕死の芸術ではない。
異業種との結合で生まれ変わり得るのだ」

という意味のことを言っているが、
確かに、この題材とうまく融合している。

前にロンドンで観た「ウーマン・イン・ブラック」は、
全編CG映像による舞台だったし、
もう終わってしまったセリーヌ・ディオンのラスベガスのショーは、
巨大発光体スクリーンにリアルな映像が映し出されて進行する。

なんでもかんでもというわけにはいかないが、
今回の作品の幻想性、寓意性にはぴったりの手法だった。
特に大詰め、
ファウストが魂を売る契約書にサインし、
馬で処刑現場に駆けつける「ファウストの騎行」から
地獄落ち、悪魔たちの合唱、
マルグリットの昇天のくだりは息もつかせない。

歌手陣ではメフィストフェレスのジョン・レリエが出色の出来。
深いバリトンがよく響く。
普段進行役をするスーザン・グラハムがマルグリットで実力を見せる。
この人、声がやわらかい上、演技も上手。
冒頭で進行役もこなし、
第2幕が始まる直前にはインタビューも受ける。
水を大量に飲んでいるのが印象的だった。
ファウストのマルチェッロ・ジョルダーニは、
歌はともかく、外見がシネマ・オペラではきつい。
今度のシリーズでやる『蝶々夫人』のピンカートンは適役だろうが、
ファウストみたいな老いと死、恋と昇華みたいな話になると
ロマンが少し足りない。
表情も固いし。

レヴァインの指揮は得意のベルリオーズだから、素敵に鳴り響く。
きれいきれいなオーケストレーションは事務局長の好みでもあり、堪能。
カーテンコールで出て来る合唱指導の方は、
プログラムに名前も載っていないが、功績大。

唯一不満は映像化のカット割。
観たいアップは観せてもらえず、
引いて全体を観たい時にはアップをし、
パンのタイミングも悪く、
人の出入りとリンクしない。
やはりこういう映像との組み合わせは劇場で観ないとダメかな。

事務局長は東劇に行くと、
次回の指定席をゲットしてから入場。
いつも同じ席です。
次はマスネの『タイス』。
METの上演は12月20日で、これから。
期待しています。

劇場を出て、携帯の電源を入れる。
前回(12月2日)は、
この時、カミさんの事故のニュースが飛び込んできました。
今回も恐る恐る確認すると、
何もなかったようで、ほっとしました。
明日はちゃんと病院に行きます。







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