ヒトラーの贋札とシルクとアース  

昨夜はダウン。
アクセスして下さった方、失礼いたしました。

3つの部会の資料作りは順調に進み、
どんどん次年度の様子が見えて来ています。
バラバラなジグゾーパズルのコマが
寄せ集まって一つの絵が見えて来る、
その過程が事務局長は大好きです。
映画や本の編集とかに進めばよかったのかもしれませんが、
組織運営も似たものがありますね。

そうしたさ中、
帰宅途中、「ちょっと一杯」の感じで、
「ちょっと一本」
せっせと映画を観ています。

[映画紹介]

一本目は↓「ヒトラーの贋札」

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ドイツとオーストリアの合作。

第2次大戦のさ中、
イギリスとアメリカの経済混乱を狙って
ナチスはポンドとドルの贋札作りを計画。
強制収容所内に作られた印刷工場に
技術を持ったユダヤ人たちが集められる。
生き延びるためにナチスの犯罪行為に加担させられ、
それが同胞への裏切りになること、
自分たちの優遇待遇の外で
仲間たちが過酷な生活をさせられていることに
強い罪悪感を覚えながら、
彼らはわざとその作戦の遅延を企む・・・。

強制収容所内の情景、
彼らの恐怖、
リチス将校の残虐性、
その中で人間としてあろうとするユダヤ人たちが
すさまじいリアリズムで描かれると、
人間の二つの本性を見せられた気がして慄然とする。

ドイツ軍が逃げ出した後の収容所の中の
悪鬼のようなユダヤ人の姿は、
まさに悪夢。

「ヒトラー最期の12日間」もそうだが、
ドイツ国民はナチスのあの悪夢の時代を
文化として昇華する成熟まで到達したようだ。

こういうナチスの悪業を描かせたら、
ドイツ人の右に出る者はいない。
それが安易な過去の批判ではなく、
確かな人間描写になっているところが見事。

中心人物である稀代の贋札作りを演ずる
カール・マルコヴィクスの演技は素晴らしい。
周りの役者たちもみんないい。
映画の9割が狭い印刷工場の中。
そこでの群像ドラマを
作り上げたステファン・ルツォヴィッキー監督に拍手。

「ヒトラー最期の12日間」や「善き人のためのソナタ」などが
お好きな方は、間違いなく感動するだろう。
発表されたばかりのアカデミー賞の外国語映画賞にノミネート。
当然。

5段階評価の「5」

次は↓「シルク」

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こちらは、日本・カナダ・イタリアの合作。

19世紀のフランス。
絹工場で成り立つ村が
蚕の疫病で存亡の危機に陥ったため、
健康な蚕の卵を求めて、
一人の青年が極東の地・日本に旅立つ。
そこで美しい娘に魅せられてしまい、
帰国後もその面影を追い続け、
再三、日本を訪れる。
しかし、日本は幕末の変化の時代を迎えており・・・

というわけで、
東西の文化の相剋の中に落ち込んだ青年とその妻の苦悩が描かれるのだが、
原作や監督の意図したものが
うまく織りなされたかというと、
そうは言い難い。
原因は道具立ての割に俳優の力が弱すぎるからだ。

青年を演ずるマイケル・ピットがまず弱い。
異文化の落とし穴に落ちていく感性など感じられない。
妻を演ずるキーラ・ナイトレイは、
夫の心の中に植えられてしまった
東の国の少女の面影に
苦しんでいる様など全く分からない。
終わりの方で、ある秘密が明らかにされるのだが、
えっ、そういう話だったのか、
と驚いてしまった。
そうならそうで、
ちゃんと描写しておいてくれないと。


肝心要の少女を演ずる芦名星は、
外人にはどう見えるのか知らないが、
一人の西洋人が魂を奪われるほどの魅力が感じられない。
露天風呂でカメラが迫った時の背中が
ごく健康そうな肌の色で困った。
あそこはやはり「絹のような」きめ細かい
白い肌でないと
話そのものが成り立たないだろう。

中谷美紀はなかなかの貫祿。

映像は大変きれいでていねいに撮っており、
それは見所があるが、
日本の描写は結局「神秘の国・ニッポン」だし、
工場経営者や町長、少年との関係の描写もおざなり。
せっかくの奥深くなる題材を
棒に振って、残念。

5段階評価の「3」

最古は↓「アース」

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とにかく、
「どうやって撮ったんだ」
の驚愕の連続。
一体何台のカメラなんだ。
この時、カメラはどこにいたんだ。
微速度撮影でカメラが移動するって、どうやるんだ。
どんな幸運が働いて、こんな現場に遭遇したんだ。
等々。

まさか、CGなどということはあるまいね、
と疑いが起きるほどだ。

北極から南下、赤道を経て、南極へ向かうという
旅のコンセプトもわかりやすくていい。
何度も息を飲んで、声をあげた。
「見たこともないものを見せてもらう」
というのは、まさに映画の喜び。
子供の頃、「砂漠は生きている」をはじめとする
ディズニーの「大自然の驚異」シリーズで育った人間としては、
今もこういう映画が作られ続けていることは嬉しい。
やはり劇場の大画面で観るべき作品。

「WATARIDORI」も「皇帝ペンギン」もそうだが、
とにかく作り手たちの気の遠くなるような粘りに感動。

地球は広く、
大宇宙の中で奇跡の星なのがよく分かる。
半村良が「妖星伝」を書いたくらいだ。
無理して地球温暖化の話につなげなくても
よかったのではないか。
ベルリン・フィルの音楽もいい。

5段階評価の「4」





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