ケネス・ブラナーの「魔笛」  

次々と雑用が発生し、
記念誌作りが進みません。
しかし、午後になって突然スピードアップ。
『東京食肉新報』の編集者が変わったようで、
急に読みやすくなりました。
と同時に農林省の動向を伝える記事が多くなりましたが、
昭和40年代後半、
農林省が小売・流通事業に力を入れ始めた、
と解釈することもできます。
順調に乗って来たため、
ちょっと安心感が広がって、帰りは映画を。2日連続ですね。
作品は「魔笛」です。

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モーツァルトのオペラのケネス・ブラナーによる映画化。
「アマデウス」がああいう描き方をしたので、
モーツァルトの最後のオペラ、と思っている人がいますが、
実はこの後に「皇帝ティートの慈悲」という作品があります。
ただ、初演は「魔笛」の方が後です。

1974年にイングマル・ベルイマンも映画化していますが、
今度のは鬼才ケネス・ブラナーが監督なので、
一筋縄であるはずはなく、
第一次世界大戦頃の戦場に話が置き換えられています
今までもシェイクスピアを第二次大戦に持ってきたものなどあり、
それほど新味があるわけではありません。

序曲では、
塹壕の中の兵隊から始まって、
カメラが宙に舞い、
血なまぐさい戦闘をじっくりと追います。
この間、ワンカット
戦場でのモーツァルトは、効果が出て、
この部分はなかなかいい。

しかし、後がいけません。
まだ歴史的には浅い第1次大戦に無理やり当てはめて、
墓碑を沢山出したり、
平和への願望を織り込んだりするから、
何とも生臭い。

やりつくされた魔笛なので、
演出家が新機軸を出したがるのは分かりますが、
判断基準は音楽の邪魔になっているかどうかで、
結果は明らかに音楽の邪魔になっています。

二人の騎士のユニゾンなど、
岩肌にできた人面の合唱とは、
何の意味もありません。
火の試練の描写は、音楽的にも舞台演出で苦労するところですが、
なるほど、これは今までなかった。
だが、風と水の試練は、そのまんまとは。
いずれにせよ、笛は吹いてくれないと・・・。
鈴(チャイムですって)も叩いてくれないと・・・。
など、不満も沢山。

歌詞が英語なのは仕方ありませんが、
音楽をいじらず、全曲まともにやったのは評価できる一方、
映画なんだから、多少の削除があってもよかったのではないかと思います。
明らかに中だるみがありました。

音楽と歌手は申し分ありません。
ルネ・パーペは歌はいいですが、
ザラストロの風格がなく、いわば間抜け面なのは難。
真の主役はザラストロですからね。
パミーナのエイミー・カーソンはもう少し可憐じゃないと、
愛に悩んで自殺する人には見えません。
しかし、愛を失った絶望を歌う
「愛の喜びは露と消え」はさすがで聞かせました。
事務局長はいつもここで泣きます。
特に、この曲の数小節の後奏の素晴らしさ。
わき上がる哀切のメロディーをお聞き逃しなく。

夜の女王の登場シーンは演出家の工夫どころで、
今回は戦車に乗って登場。
すっかり嬉しくなってしまいました。

CGが多用されていますが、
ちょっとチャチなところもあり、興ざめ。

全体的には「変なもん作ったなあ」
というのが率直な感想で、
この作品で「魔笛」に初めて触れた人が、
こういう話か、と思ってしまうのではないかと、
少々心配。

ただ、
モーツァルトの音楽はひたすら美しく、
終わった後、
天国の響きに2時間以上ひたった幸福感を得ることは出来ます。

5段階評価の「3」

追記
「魔笛」は事務局長が2番目に好きなオペラ。
(1番はもちろん「トゥーランドット」です。)
なにしろ、昔、舞台の演出をしたこともあります。(ただし、短縮版)
「夜の女王」という小説も書いたくらい。
思い入れが激しいですから、
期待しすぎてしまったようです。





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