シャーロットのおくりもの と 日本沈没  

今日と明日は久しぶりの休日。
来週は出張なので、ちゃんと休むことにしました。
といっても、のどが痛くて調子が悪いので、あまり良い休日とはいえません。

一昨日は試写会で「シャーロットのおくりもの」を観ました。

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E.B.ホワイトの児童文学の映画化。
未熟児で生まれた仔豚はやさしい少女に救われるが、
やがてハムにされる運命であることを知っておそれおののく。
仔豚の嘆きを聞いた友人のクモは、
その命を救うためにある奇跡を起こすが・・・。
どんな奇跡かは、観てのお楽しみ。
さすがに予告編でもそこまでは出していない。
命拾いをした仔豚だが、
その後には悲しい別れが待っていた・・・。

素敵な話で、やはり、泣かされた
こういう映画を観て涙を流しているおっさんというのは
キモチ悪いのか、童心を忘れていないと言えるのか、自分でもちょっと複雑。

この原作は児童文学の中で初めて「生と死」を取り扱ったものとして話題になった。
季節の巡りの中での生命の連鎖。
誰にも訪れる生命の終わりの後に新たな生命が再生する。
大きな時の流れの中での小さな生命の営み。
児童文学といいながら、大変奥深い話だ。

アメリカの片田舎を舞台に展開する生と死、愛と希望の物語は
この冬のファミリー・ムービーとして最適
アメリカでも日本と同じクリスマスの公開となる。

実は、この原作、映画化は初めてではない
1972年にハンナ=バーバラがアニメ化。
今度は最新の技術で実写映画に。
実写と言っても動物の演技はCG。

↓はその旧作のレーザーディスクのジャケット。

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チェックするつもりで、ついついもう一度観てしまった。
なにしろ34年も前の作品だから、素朴この上ない。
当時のアニメの常道で、ミュージカル仕立て
曲は「メリー・ポピンズ」のシャーマン兄弟。
クモが糸をつむぐシーンでごくごくきれいな曲が流れる
一度聞いたら忘れられないコーラス。
昔は映画の中の曲はそういうものが沢山あった。

時代が違うから比較はできないが、
アニメ作品の方がテーマはよく現れていた。

どうしてこのアニメ作品のレーザーディスクを
事務局長が持っているかというと、
昔、この作品の映画批評を新聞に書いたことがあって、
思い入れがあったからです。

なにしろまだ学生で、思春期の尻尾を付けた純粋な時代だから、
大泣きし、
「ディズニー以降、最良のアニメ作品」なんて書いてしまいました。
「ディズニー以降」だなんて、恐れ多いことを書けたのは、
まだ世間知らずで怖いもの知らずのガキだったからでしょう。
また、その頃、童話を書いていて、
醜いクモが美しくあろうとして宿命に裏切られる話など書いていましたのでね。

という想い出話はともかく、
「シャーロットおのくりもの」は、
児童文学の枠を越えた素晴らしい作品なので、
是非ご覧下さい。

ついでに小説を一つ。

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題名どおり、「日本沈没」33年ぶりの続編。
もともと小松左京は
国を失った日本人が流浪の民として世界を漂流する様を描きたかった
ので、
そのためには日本の国土を失わせしめる必要があり、
日本列島が地殻変動で沈没するまでを描いたのが
「日本沈没」第1部。
従って、第2部が本編。
古稀を迎えた小松氏にはもはや余裕がないため、
プロジェクトチームを作って議論し、
最終的には谷甲州氏が執筆した。

二段組みで470ページの超大作
前作は確かノベルスで2冊だったと思うから、
分量的には前作を上回る。
そして、すさまじい密度。
日本沈没後25年の慰霊祭から始まって、
パプアニューギニアでの入植生活の有様、
カザフスタンでの日本人の難民化と殺戮、
日本海に百万人級のメガフロートを浮かべて国土を復活させる計画、
日本国家復活を巡る国際的な駆け引き、
地球環境の過去・現在・未来を見とおす地球シミュレータの登場、
と描き、
ついには、地球規模での氷期の到来による宇宙的漂流へと向かっていく。

そのスケールはすさまじく大きいと共に、
一点、一画もゆるがせずに濃密に描写をしていく。
この大作を1年で書いたというから、
谷甲州氏には、小松氏でさえ感心している。

というわけで、
完結編(?もしかして第3部も?)にふさわしい壮大な物語だが、
その密度と話の広がりと専門性によって、
読むにはいささか体力が必要。
活字を読み慣れている事務局長でさえ、
鞄に重い本を入れて、通勤電車の中で読むのは過酷だった。

ノベルスで気軽に読めた前作より
文学的価値は上がった分、一般性は失せた。
それは決して瑕疵ではないが、
やはり重大な題材だから、
もう少し沢山の読者を獲得する工夫は必要だったのではないか。

篇中、外相の口を通じて語られる
ユダヤ人と比較しての日本人論など、
注目すべきものがある。
時間と体力のある方は是非、お読み下さい。




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