代官山写仏会メモ
< 椅子席で描く >
写仏会の道具立ては中之坊さんから持参した同じものですが、畳座から
椅子席となりました。持病(腰痛膝痛)のある方には楽にできて良いと
思います。
長い線を描くためには上半身を柔らかく動かせることが大切です!
(1)女性の方の「きれいに足を揃えお行儀よく」はお勧めしません。
座ったまま広めに両膝を開き(机で見えませんから)両足底でしっかり
床を踏ん張って描いてほしいと思います。上半身が柔らかくなり線が
安定します。
私自身が腰痛に悩まされる身で小品の画は椅子で仕上げるようにな
っています。その経験から感じた事です。畳座の時でもモモを少し開
く感じで座って描いています。
(2)机の上は必要ないものは整理してできるだけ広くし、体を動かせる
ようにしてください。狭いと自然と脇を閉めて描いてしまいがちです。
線が延びません。
初めての方は描き始める前に、紙面の上を(空で)筆を持ちながら
「上下左右、斜めへと腕が動くかどうかを確かめてみる」のもいいか
と思います。その上で筆洗と筆・筆拭き・墨皿の位置を決めたらいい
と思います。
< 墨汁で描く >
お寺さんでは実際に墨を摺りますが、今回は市販の墨汁を使用しました。
(1)濃厚で乾燥すると筆先が効きづらいので、マメに筆先を整えるよう
にします。
筆を洗い新しい墨を採り、筆先が整うように「小皿の縁で筆をしご
き」ながら墨の量と先端部を整えます。
(2)その濃さに頼らずに水を加えて、墨の濃さを調節します。
薄墨を使っての頭部への墨入れや目の開眼の時は濃くなりすぎないよ
うに十分に気をつけます。
(3)筆洗の水も汚れやすいので、許される状況であれば水の交換を適宜
します。
< 運筆時間が短い >
時間の都合で運筆用紙を使った試しの時間があまり取れませんでしたが、
それでもかなり筆慣れしています。とにかく、
(1)太かろうが切れ切れだろうが、しっかり描いてみる事が大事です。
失敗をしてみる事が一番の理解への早道です。
ドキッとする程元気にハミダシタ線、それが運筆練習から本番写仏
へ切り替わると、何故でしょう? 驚く程の整った線がどんどん出始
めるのは・・・七不思議の一つです。
はじめ緊張の震えで線の蛇行が見られる人も、120点のいい線が
出はじめるのは、失敗しながら筆使いのコツがわかってくるのだと思
います。時間がなくても運筆練習は上達の決めてです!
場所は違っても一度よりは二度、三度・・・となれば、自然と美しい線を
描けるようになります。仏さんを描く喜びも増しますが、緊張感はなかな
か取れないものです。
導入部の筆慣らしは写仏直前の気持ちをリラックッさせ美しい線を描く事に繋がります。
「筆のまわし」と「長い線」、「線の継ぎ足し」はポイントになります。