“キレイになって、逝ってらっしゃい。…納棺師(のうかんし)…それは悲しいはずのお別れをやさしい愛情で満たしてくれるひと”
今日は月曜日なので早め帰宅目指して品川に向かいました
この作品、昼の回でもかなり観客が集まっているようなので、着いたのが上映前10分をきっていたし、満席だったらどうしようと思いましたが、月曜日のせいか大丈夫でした、いやあ、観られてよかったです
映画って《共感》と《発見》があるから面白いんだなと改めて思いました、いや、面白い映画には《共感》と《発見》があるというべきかも…“そうそうわかるわかる”という思い入れと“へえ〜!そんな世界があるんだ”という驚き…この作品にはその二つがあって、色々な意味で心に染みました。
内容は…“ひょんなことから納棺師となった主人公が、特殊な仕事に戸惑いながらも次第にその儀式に大きな意義を見出していく姿と、故人を見送る際に繰り広げられる様々な人間ドラマ”ですが、下手すると暗く重くなりそうなこの作品なのにそうならなかったのは、笑わせようとしているのではない適度な笑いもあったからだと思いました、笑いも大事なポイントですよね、人は好感を持たないと笑えないものだと思うし…。
“行ってらっしゃい、また会おうの”
これは、笹野高史さん演じる、銭湯の常連のおっちゃんの台詞で、彼もまた、実は“おくる”側の仕事をする人だったことが途中で明らかになりますが、その台詞がどんな場面で言われるかは観てのお楽しみということで、お別れは辛いけど、さよならではなくて、行ってらっしゃい、ありがとう、またねと送りだせばいいんだと思うと気が楽になる思いがしました。
死を扱った映画なのに出てくる食べ物の美味しそうだったのも印象的でした。
“生きるために食べることを描くことで死を意識するように書いた”という脚本がお見事、死を扱った映画なのに美味しそうなんですよ“困ったことに”…。
そうそう、もうひとつ、印象的だったのが、石に思いを託す“石文”というもので、これがまた映画的な題材として素晴らしくて、“いしぶみ”というタイトルで別の映画にしてもよかったかも、もったいない、なんて思ってしまいましたが、作品が初の映画脚本になるという小山薫堂氏としてはどうしても入れたかったのかもですね。
…と思ったら、なんと、この“石文”をテーマに「いしぶみ」という絵本(文:小山薫堂、絵:黒田征太郎、小学館刊)を書き下ろしているんですね、こちらも手にとってみたくなりました。
この映画の感想をきちんと書きたくてあれもこれもと書き足しているうちにまとまりがなくなってしまったので、このあたりでやめますが、遺体を清め化粧を施す主人公役の本木雅弘の所作に、「化粧師 KEWAISHI」を観た時に、椎名桔平では合わないような気がして誰がいいか考えていて思いつかなかったけど、モックンがピッタリだったかもなんて思ったりして…エンディングクレジットでは1カットで彼の納棺師ぶりが披露されていてあまりの手際よさに見とれているうちに、スタッフとして出ているIさんの名前を確認するのを忘れてしまいました、ごめんなさい
ちなみに、モントリオール世界映画祭グランプリだけでなく、中国の金鶏百花映画賞「観客賞」で、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞を受賞し、10月には韓国の第13回釜山映画祭「A window on Asia Cinema」部門での上映も決まり、世界各国で注目されている『おくりびと』ですが、英語のタイトルは“Departures”なんだそうです。
品川プリンスシネマ3 15:40〜観客4割程/219席


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