“イラクで起きた日本人人質事件をヒントにテーマにした社会派ドラマ”
私にしては珍しく、題材的に気になって観てみましたが…まずは、こんなことを書くのはおこがましいかもですが演出の見事さに唸りました、生活感を出しながら登場人物のキャラクターを描いていて無駄がないのです。
これが簡単なようでなかなか難しいのでは?
例えば昨日観た「ジャスミンの花開く」ですが、その場に必要な人物だけが登場してく必要なことだけ話していてもこちらには何も伝わらないというか…少なくても私はそんな気かするだけかもですが…ナレーションもなく説明セリフもなく、人物の仕草や癖や働いている様子などをじっくり見せることによって、観る側にその人物の判断を任せる…こんな演出が私は好きです。
撮影期間はなんと6日間ということですが監督の頭の中で人物たちが動いていた期間は長いと思うのです。
小林監督によれば「社会性のある映画は一生作らないだろうと思っていた」そうですが…これからもこういった映画をどんどん作って欲しいものです、私みたいな人間でも入っていけそうだし。
というか、確かにこの題材なら普通に“社会性のある映画”だと、まず、あのイラクの日本人人質事件のニュースフィルムを流してテロップでその時の状況を説明したり、日本内外の反応などを描いたりすると思いますが、そのあたりは一切省いているので、なんの前知識もなく観る人には最初はわかりづらいところもありそうですが、逆に、一過性の題材ではなく“疎外”された者についての普遍的な題材を扱ったことになるのかもと思いました。
主人公に共感できるかどうか、その行動の是か非かはともかくとして、ドラマの立ち上げ方に引き込まれてしまったということで、小林政広他の作品も観たくなりましたが、そういえば、去年のいつ頃だったかに「フリック」を渋谷のどこだったかは忘れましたが上映していたような…確かレイトのみで見逃してしまったのが残念…デビュー作の「CLOSNG TIME」はゆうばり国際ファンタスティック映画祭で1997グランプリ受賞したとのこと、どこかでこの監督さんの特集上映して欲しいところです。
ちなみに小林監督は70年代初めの頃には林ヒロシという名前でフォーク歌手として活動、今回の映画でも最後に流れる歌はご本人の歌だったんだと後でパンフを読んで知りました(^-^)b
シアター・イメージフォーラム1 15:15〜観客15人程/64席


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