日曜日の朝。
いつもより早めにおき出したぺたぞうは、前日の夜の続きで、居間の片付けを始めました。
途中で休憩しながら朝ごはんにトーストをつくり、いつものように布団を頭からかぶって、
両足だけ出して幸せそうに眠っているるきさんを起こさないように、静かにそれを平らげると、片付いた居間にプラレールのパーツを出してきます。
出してきます。
出してきます。
さらに出してきます。
まだまだ出してきます。
ぺたぞうが出してきたのは、今フリーでストックされているすべてのレール!!
橋げたも2箱もあります。
ぺたぞうはそれをゆっくりと眺めると、いつもとは明らかに違う、何か決意をもった顔で頷きました。
……こいつ、本気だ!!(笑)
まず、出してきたのはマクドナルド。プラロードのセットで、ドライブインが再現されています。
そして、そのパーツにプラロードとプラレールが合体した橋梁パーツを填め、その上のレールを延長させて中央基本ループを作成。
そしてそのループの外側を回るように複線を設置。レイアウトの敷地を決定します。
ここまで10分。すでにぺたぞうは汗だくになっています。プラレールは格闘技です。
そして中央ループに飛び込むと、その階層化を開始。座り込んだおなかの高さにまでなる、6階層ものループを完成。しかし、何か納得がいかない様子のぺたぞうはしばらく考えると、片腕でレールを抑えつつ、ジョイント部分を片手で交換するという一畳プラレールをやっていなければまったく必要のない、無駄に高度な技でレールの一部を高層駅に変更。
そしてさらに、足でレールを抑えつつ、体をひねって必要なパーツをかき集め、階層の一部を坂レール化。そのレールを飛び越えて外に出ます。
しかし、あと中央を横切るレールが必要。しかしそのレールはもう一度ループの中に入らないと設置できません。
パーツを持ったぺたぞうはループに飛び込むと、つま先立ちして立位体前屈しながらレールを設置。すでにラジオ体操並みに筋肉を酷使しています。
そして次。さらに高層階を設置するため、ループの位置を移動。一番下の段を右手で抑えながら、左手で全体を抑えて移動させるのは、すでに11段に達した今回のプラレールレイアウトでは至難の業ですが、もともと16階の一畳プラレールを推敲しているぺたぞう、11段程度はどうってことありません。無駄にハイレベルです。
そしてお昼を越えるころ、まっさらに片付いていたぺたぞうのおうちの居間に、巨大なレイアウトが出現しました。
疲れ果てたぺたぞうは満足したように頷くと、汗が滝のように流れているのでシャワーを浴びようとお風呂場に消えていきました。
すると、ベッドでむくっと起き上がるるきさん。
るきさん:「えさ?」
ぺたぞうを探しているようです。
るきさん:「めがねめがね、わしのめがね…」
ぶつぶついいながらめがねを探し当てると、それをかけて居間を見てみるるきさん。
るきさん:「おおぅ!?」
居間に突如出現した巨大レイアウトに驚きます。
るきさん:「おのれぺたぞうさんめ…」
るきさんはそうつぶやくとぺたぞうの携帯電話(デジカメ代わり)を持ち出すと、いろいろな角度から写真を撮り出しました。ぺたぞうのおうちでは写真を撮るのはデザイナるきさんの係です。
るきさん:「ぺたぞうさん〜♪ ぺたぞうさん〜♪ えさ〜♪ えさ〜♪」
今日は機嫌がいいようです。
そうして鼻歌を歌いながらるきさんが撮った写真が以下。
一番したを走る複線レイアウト。このレイアウトによって、このプラレールレイアウトの大きさが規定されます。
起点となったマクドナルド。カーブ部分にきちっとはまっています。
そして足がつりそうになりながら設置した高層駅。
両腕で抱え込むようにして移動させた最高地点ループ。
その下のほうには基本となったループを、新入りのつばめくんが走ります。
なぜか南国の雰囲気をかもし出す、なぞのハイウェイ。
そして、再度全景。
るきさんが写真を撮ってくれ、昼ごはんを食べながら満足するまで情景を楽しんだぺたぞう、そして最高11段を誇った新たな二畳プラレールは、日が傾くころには姿を消したのでした。
しかしぺたぞう、ここで十分に何かを得たようです。今回のキーポイントは、2つのループを並列で交差させた構造のテスト。一畳プラレールでは最大横4本分のレールを設置できるので、まさに2つのループを並列で交差させた構造が可能なのです。
特に、今回のように少しずらした交差をさせると、ずらされた部分に空間が生まれ、今回は半分ですが、ナップフォードステーションが設置できました。この部分に高架駅を設置できれば…。
ぺたぞうの繰り返すテストもどんどんと本気度を帯びてきています。
そして、次の日、ぺたぞうは両腕両足の筋肉痛で悶絶しながら会社へ行ったのでした。
プラレールは格闘技です。

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