2011/11/19
ジョージ・ハリスンを追ったドキュメンタリー・フィルム、
「Living in the Material World」を見てきました。
監督はマーティン・スコセッシ。
スコセッシのインタビューが劇場前に貼ってあったので
読んで見たら、押しも押されもしない
”あのスコセッシ”でも、自信のなさと闘い続けている、
と意外なことを語っていました。
自分が映画を撮り続けられたのは撮ってくれと言った
俳優がいたからだ、と。(それはロバート・デニーロだそうです)
そんな脆さを内に抱えたスコセッシだからこそ、ポールでも
ジョンでもなくジョージに関心を寄せていたのでしょう。
素晴らしい才能を持っていることと、絶対的自信を確立
していることはイコールになるとは限らないのですね。
というか、自信がないからこそ努力向上し続けるのか。
映画はパート1とパート2に別れていて、パート1の3分の2は
ビートルズ時代なので、このへんはジョージ個人にスポットが
当たっているともいいきれず。
ジョージの人生からビートルズを抜くわけにはいかないから、
しょうがないのだけど、その中でももっとジョージに
フォーカスして欲しかった、というのは個人的感想。
オリビア夫人の言葉。
「彼は自分の業(カルマ)と葛藤した人生でした」
ジョージ本人の言葉、journey inward、内面への旅。
ジョージの人生を象徴している言葉です。
スピリチュアル、つまり霊性に目覚めた人が
「マテリアル・ワールド」で生きていくのは葛藤を避けられない。
修行者でもなく俗物そのものの私ですが感覚的には分かります。
占星術をやってるサガで「ジョージの中の魚座」という
見方をしてしまう私。
魚座のキーワード。
聖と俗
境界を越えていく力
潜在意識へのアクセス
リミットレス
裁きより許し
ポールやその他の友人達が語ったキーワード
−ジョージの二つの顔ー愛情深い顔と内在した怒り
−音楽、映画、モータースポーツ、分け隔てない人との交流。
−ハレ・クリシュナ教とインド哲学への傾倒。
−スピリチュアルな救いを求め続けたこと
師であり友人のラビ・シャンカールの頼みで
バングラデシュコンサートをやったり、同じく友人の
モンティ・パイソン映画の資金難に自分から資金を
提供して映画を製作したり、友人のために力を尽くし
喜んでもらうことがイコール自分の喜びになる人。
そういうジョージの行動は魚座の面目躍如、
ポジティブに自分の太陽を使っているなぁというのが
占星術的感想。
とにかくジョージの人生は人何倍も葛藤の多い人生だったと
想像できます。ビートルズという十字架。
ジョンとポールという
”二人の俺様”にはさまれて
自分の立ち位置に迷ったビートルズ時代。
精神世界と物質世界の狭間で、自分の場所を
定めるための葛藤。
葛藤の多い人生は陰影に富み、それが人を魅了する。
あの「Let It Be」の映画の中でポールとジョージが
口論する場面も出てきました。
ポールがジョージに向かって「なんで複雑に考えるんだよ?
もっとシンプルでいいんだよ」←実にポールらしい
それに対してジョージが切れて「君の好きなように弾けば
いいんだろ。それか弾かなきゃいいんだね。」とジョージ。
ここなのです。
ポールじゃなくってジョージと友達になりたくなるのは。
この映画を観ていても前半のビートルズ時代は
ついついポールのキュートフェイスに目が釘付け
になってるけれど、人間性にスポットを当てると
ジョージに魅かれる。
ビートル4人それぞれが興味深くて魅力的で、
同時代に生まれたことを幸せに思える存在。
映画を観てそれをまたまた再認識しました。
10代でビートルズを知ってほんとによかった。
最後にリンゴが語るエピソードが・・・・
また涙腺決壊いたしました。
ジョージのユーモアと優しさあふれる言葉、
辛いときに笑いを誘う一言が言えるジョージの
人間的キャパシティの大きさ。
ガン宣告と暴漢に襲われて、死への準備を
していった最晩年のジョージ。
看取ったオリビアさんの話にまたもや涙腺ボロボロ。
亡くなった時、病室を包んだ光を見た話。
円満ご夫婦のイメージだったけど、いろいろあった
ことはあったみたいです。
モテるダンナを持つと大変って話、オリビアさんは
笑いながらしてましたけどね。
神様はロックンローラーが
お好きなのか、ジョージのことも早く召還しすぎ。
妄想家の私、天国についたとき、門番にジョージが
なんと言ったか想像してしまいました。
きっとくすっと笑っちゃうようなカッコいいジョークを
かましたに違いないな。
そんな変な想像をしながら帰りましたとさ。

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