<前回の続き>

再掲 山中にぽっかり口を開ける天辻トンネル
今回のジャックポット・天辻トンネル五条側坑口はあっけなく発見した。谷を挟んだ向かいの山の中腹に、である。ぱっと見ではどう足掻いても坑口に辿りつけなさそうだが、ここでもう一度天辻トンネルについて思い出してほしい。
新宮側坑口のそばの看板によれば(去年のレポ参照)、トンネル延長は
5039.5mとある。5kmを越えるような長大トンネルを片側からだけで掘り抜いたとは考えにくく、両側から掘削したと考えるのが自然であろう。
つまり、一見到達が不可能に見えても、どこかに
工事用道路があるはずである。もし現存していれば、そこからアクセス可能であるかもしれない。
ふと、足元の谷を眺めてみた。何かしらの痕跡があるかも…。

コンクリで固められた谷川 これも五新線工事と関係が?
!!
木々に隠れて見えにくいが、
何かある!
橋台だ!
対岸側に一基現存している。手前側は残念ながら確認できなかった。トンネルのみならず、橋台も残っているとは思わぬ収穫である。
ここで一つ気になったことがある。この橋台の周りの
木が若いのである。それに山の斜面とは異なり、石ころが主体で何となく全体的に乾いている。これは私の推測だが、対岸の地面は
トンネル工事で出たズリで埋め立てたものであると考えられる。
深い谷を左手にR168の旧道を現道方面へ登る。すると山が奥まった所に滝と小さな祠が姿を現した。

滝と祠 幟は見る限りそんなに古くはなさそう
先ほどのバリケードがあんなにもやる気が無かったのは、この祠まで来る人のためなのであろう。確かにここまでは自動車でも容易に到達できる。
滝前の橋を渡るとすぐに二つ目のゲートが登場する。だが…

またもやる気の無い塞ぎ方
何だこの申し訳程度のAバリの置き方は。まあはっきりと「立入禁止」と書かれるよりは、こちらとしてもやり易いのだが。
ところでここまで
進行方向左側は深い谷であった。ガードレールは一応設置されているので、徒歩ならば何ら転落する心配は無い。しかしふと前方を見ると、その左側に何やら
妙な平場が出現している。

ここだけ山側から派手に崩れたのか?
崩れたにしては不自然である。何となく臭うので、その怪しい平場にお邪魔してみる。
!!!
奥に
斜面のようなものが続いている!

斜面から平場を振り返る
足元はこぶし大ほどの岩がゴロゴロしているものの、ほぼ均一にならされている。
わかったぞ、この斜面、
工事用道路だ!
推測通り、やはり工事用道路は存在したのだ。これを下れば坑口に辿りつける!

見よ、この斜度を
つーかさぁ、あんまり見たくないモノ、写ってるんですけど…。何ですか、このひっでぇ
藪は。仕方なく、とりあえず、無理やり突っ込んでみる。季節柄、草はほとんど生えていないがこの背丈の低い木が鬱陶しい。恐らく工事終了後、路面に植樹し
廃道化工事を行ったと考えられる。
あっそうだ、(唐突)
お前さ、
意気込みに比べて装備が貧弱すぎるだろ…。
…よくよく考えれば、今のワタシ、ポケットにカメラを突っ込んだ以外、何一つ持ってきてないんだわ。トンネル目の前にしてどうすんの? 懐中電灯は? せめて車の中から軍手ぐらい持ってきたらどうなのよ? 藪ん中で手切っても知らんよ?
…

行けども行けども急斜面&藪
藪の急斜面でしばし立ち止まる。あっちゃー、いつもの無計画さが裏目に出たか。この藪ってさー、屈まないと通れないんよねぇ。あーもうっ!!
結局のところ私は
坑口に辿りつくことなく引き返してしまった。それは装備がプアすぎることに加え、先ほど行き止まりの旧道入口で地元のオッチャンらに見られてしまった、ということが大きい。私、
根っからのヘタレなので、ひょっとして自殺者に見えたのかも、といった不安が斜面で立ち止まった際一気に私の中を駆け巡ったのである。我ながら情けねぇなぁ…。尤も自殺者でなくとも不法投棄者だと思われる可能性も十分ある。そんな輩の対策として、都市に近い山道では最近道路脇にフェンスを設置する所も多い。
撤収!(震え声)
帰路の途中、改めて工事用道路を谷の向かい側より確認する。

電柱の立つ場所が例の平場 画像中央より左下に斜面が

くっきり見える工事用道路
当初はこの旧道を経由しR168を南へ向かうはずであった。しかし申し訳程度であれ、バリケードが置かれているので素直に宗川橋梁の下をくぐり西野トンネル経由で天辻の峠を越えた。

天辻トンネル新宮側坑口

その内部
写真では分からないが小屋に監視カメラらしき物が設置してある
ここが通れたらなぁ。
そのうち再訪します。
〜天辻トンネル編おわり〜
★以下、オマケ

猿谷ダム その名の通り、近くで猿数匹と遭遇した

お約束(笑)

十津川BCにて
この車両、以前にも撮った覚えがある(笑)
次回は机上調査編です。