・・・昨日は何の日でしたっけ?
勿論ただの
振替休日でしたね。
さて、今回の道中三日目に初乗車した、日本屈指のローカル線・岩泉線のレポをお送りします。
岩泉線とは、岩手県にある全長38.4キロの地方交通線。時刻表の路線図を広げると
青線で表されていますね。
地図で見るとお分かりかと思いますが、全線に渡って深い山中にあります。同じくローカル線の山田線との分岐点・茂市駅が起点、終点は岩泉駅ですが、全線を通しで走る列車は一日たったの三本。中国地方にある芸備線や木次線と同じく(尤もこれら二線は近年減便された結果である)、日本一列車本数の少ない路線です。いわゆる秘境路線です。
始まりは太平洋に面した、山田線の宮古駅から。区間運転を含めると岩泉線は四往復ありますが、そのうち二往復は宮古駅始発です。
今回私が乗車したのは、三本ある全線通し運転の列車のうち二本目、宮古駅を14時57分に発車する便です。
さて、肝心の車両は・・・
JR化後、東日本で登場した気動車・キハ110形です。つい最近まで全国的に数少ない国鉄型のキハ52形だったのですが、先月に同形式は盛岡エリアから引退、替わりにやってきたのがこのキハ110。同じく国鉄型気動車を用いていた山田線とセットで置き換わりました。元々は水郡線所属でしたが、同線に新型車が投入され、玉突きでこの線へやって来たって訳です。
本形式は当然ワンマン運転対応なのですが・・・単行なのに何と車掌が乗っている! 西日本エリアで何度も単行気動車に乗った私にとって、「単行=ワンマン列車」という等式が(脳内で)成り立っていたゆえ、カルチャーショックものです(笑 そういえば前任のキハ52も非ワンマンだったそうで・・・。
八区画あるボックスシートはいずれも先客がおり、テキトーにロング部に座るとしましょう。同業者の姿もチラホラ。
宮古駅を出発し、15キロほど山田線を走ります。ちなみにこの路線もかなり濃いローカル線です(
多分後述)。
分岐点の茂市駅では二十分弱停車。二面三線という典型的な国鉄型配線です。もう既に両側には山が迫ってきています。いよいよか・・・とは言え茂市到着直前にはコンビニを発見したりで、秘境路線にしてはやや拍子抜けな感が(失礼
面白いことに、宮古側から見ると、岩泉線は駅からまっすぐ線路が伸び、一方の盛岡へ向かう山田線は駅直後ぐいっとカーブしていたりと、何だか岩泉線がメインルートに見えます。
ほとんど乗客の増減のないまま、茂市駅を発車しました。
山が迫っているとは言え、区間列車のある岩手和井内までは曲がりなりにも民家が点在するので、あまり秘境といった感じは薄いところ。「
秘境駅」として名高い押角駅も、民家こそ周囲に無いものの、駅近辺に建物があるのでチト期待外れな気が(笑 それよりも延々と続く上り勾配のほうが見ものです。33.3‰あり、これが車齢の高いキハ52が最近まで残っていた理由だったりします。すぐ後にくぐった長いトンネルが分水嶺だったようで、一転して下りになり、再び民家も現れ、茂市から五十分あまりで終点の岩泉に滑り込みました。
元々は太平洋側へと伸びる(三陸鉄道の小本駅まで)予定だったそうで・・・
そこそこ混んでいた車内でしたが、峠を越えた岩手大川駅あたりから徐々に乗客の数が減少していきました。わずか三本の列車ですが、意外にもまとまった利用客の数があるようで。
どんづまりの駅・岩泉。一面一線とコンパクトな配線ですが、駅舎は意外と大きくてビックリ。一階部分に待合室と窓口があり、一応有人駅ですが出入札業務は行っていない、簡易委託駅のようです。乗車券は岩泉到着直前に車掌が回収していました。
時刻は午後四時半をまわったあたりなのですが、四方を山に囲まれているせいか、あるいは冬至が近いせいか、写真のように辺りはかなり暗いです。
折り返しの列車まで五十分ほどあるので、岩泉の町を歩いてみました。
たった三本の列車のイメージとは違い、よくある地方の町でした。商店街のお店は明かりが灯り、中ではせっせと人の営みが。ここの特産物はリンゴのようで、ぶらりと商店街を歩いただけでも箱詰めに忙しそうなリンゴ屋さんが二軒ありました。
リンゴといえば長野あるいは青森と思い込んでいただけに、こういう新たな発見が出来たりするので、列車の待ち時間にぶらりと歩くのは面白いものです。
さて、駅舎に戻ると先ほどの列車で見た面々が揃っています。ここにもあった「駅ノート」に記念カキコをし、ひとり延々とアイドリングを続ける列車に乗り込みました。折り返し茂市行きの列車は乗客数が十人足らずで岩泉を発車。復路こそ、押角駅の駅名板でも撮ってやろう・・・と思いつつ、結局スルーに終わったのはガラガラの車内で開けたワンカップのせいなんでしょうか。(笑
いやぁ旅先で呑む地酒はウマイっ!
同業者ばかりを乗せ、夜の帳が降りた茂市駅に到着。この後私は盛岡行きの列車で滞泊先の盛岡へと向かうのでした。