※自動車免許の教習などの都合上、続編の投下がものすごく遅れました。
〜二日目〜
8/6
本日は鹿児島中央駅からのスタート。一本目の列車は、肥薩線の吉松駅までを結ぶ、特急?「はやとの風」二号。2004年春、九州新幹線開業と同時に運転を開始した、純然たる観光特急である。

さて、まずは写真を見てほしい。やや汚れが気になるが、車体は一面真っ黒である。
・・・いや、突っ込みどころはそれだけに留まらない。判る人には判るだろうが、「特急」を名乗るには顔が随分と貧相だ。それもそのはず、勿論改造車なのだが、タネ車は主に普通列車として用いられるキハ47形! デッキなし、両開き二扉というスタイルは改造後も変化がない。
参考 姫新線のキハ47
無論、タネ車のロングやボックスシートは消え、代わりにリクライニングシートが並べられているが・・・。車内は全面的に木が使用されている。
九時半ごろに鹿児島中央駅を出発。一旦走り出せば、その乗り心地は何の変哲も無いキハ47である。エンジンこそ交換されパワーアップが図られたが、台車は交換されていないので、実によく揺れる。

錦江湾沿いを走ってゆく。対岸の桜島が手を伸ばせば届きそうな距離にあったのが意外であった。
隼人からは肥薩線を走る。観光列車の名にふさわしく、築100年を越える駅舎が残存する嘉例川駅では写真タイム?で数分止まる。鹿児島中央を出て約90分で吉松着。
怖いもの見たさで乗ってみた「はやとの風」だが、そのアイデアは高く評価しておきたいところ。
ちなみに車内販売では、美味い地ビールが楽しめる。他にもグッズなどが盛りだくさんである。
#この写真を撮った直後、悲劇が・・・(泣
吉松では40分ほどのインターバルを置き、人吉行き普通列車に乗り換える。こちらも観光列車で、「しんぺい」という名を持っている。その昔、同区間が開通した当時の鉄道院の偉いさん・後藤新平氏の名前に由来する。逆に人吉→吉松の列車には、同じく逓信大臣であった山県伊三郎氏の名を取って「いさぶろう」号が運転されている。両列車とも一日二本ずつの運転である。

こちらも40系気動車の改造車である。ただ、特急と差別化を図ったためか、こちらはボックスシートである。一部指定席扱いであるが、自由席は車内に七席しかない?らしいため、吉松駅で指定席を押さえてみた。
運転開始時は一両ワンマンカーだったそうだが、現在では二両編成となり、客室乗務員付きとなった。

純和風な車内。何だか飲み屋っぽいなぁ
・・・と言いつつ焼酎を開けた私(笑
吉松〜人吉は厳しい山岳路線で、今なおスイッチバックやループ線が生きている。最初の停車駅・真幸駅ではスイッチバック一発目である。ちなみに駅ホームには「幸せの鐘」なるモノがあり、これを少し幸せなら一回、より幸せなら二回、もっと幸せなら三回鳴らすと良いらしい。多くの客がカンカンカンと三回鳴らすが、今の私は一回でも十分すぎる。
長野県の篠ノ井線・姨捨駅(善光寺平)、北海道の根室本線・狩勝峠(但し現在は別ルート)と並ぶ日本三大車窓の一つが、ここ肥薩線にある。真幸〜矢岳間が該当する。向こうに見えるは韓国岳、麓はえびの盆地だそうだ。遥か遠くには桜島がちらりと見えたが、こんなことは滅多に無い、と客室乗務員氏。件の芋ジュースの酔いが程よく回り、嬉々として眺める。
矢岳あたりで一転し下りとなり、そのまま大畑のループ、スイッチバックのコンビを越え、人吉盆地へと転がり込む。ループ線の途中にスイッチバックがある路線はここ肥薩線しか存在しないらしい。
35キロの道のりを、ゆっくり70分ほど掛ける。こんなスローな列車旅も、たまには良いではなかろうか。
人吉では90分の乗り換え時間があり、折角なので風呂屋でも探してみる。人吉温泉と名乗る以上、フツーな風呂屋にも温泉が湧いている。実はそれ目当てだったりする。
まずは二軒回るも両方とも定休日、三度目の正直といわんばかりに立ち寄った三軒目でやっとこさ温泉に浸かる。中途半端な時刻だったせいか、終始 た の し い か し き り だった。
名物の球磨焼酎を抱え、人吉駅より八代行き普通列車に乗り込む。こちらはエンジン以外ほぼ原型のキハ40であった。
・・・人吉郊外に、私の「田舎」がある。顔も見せず素通りとは如何なものか(笑い
これまた名物の球磨川下りじゃないが、球磨川沿いを列車で下る。先日は雨が降ったのか、川面は禍々しい色をしている。絶景区間をもウトウトしつつ、およそ一時間半で八代到着。新幹線開業で長編成の特急が去り、無用の長物と化したホームが妙に寂しい。
これから鹿児島本線で北上する。ロングシート815系の二両で、高規格な本線を目一杯ぶっ飛ばす。ロングシートで短編成の列車が飛ばすその光景、何だか東北本線の盛岡近郊を思い出す。そういえば、新幹線の開業のウラで日本有数の幹線が分断されたのも、東北本線と同じではないか。
途中で夕立に遭い、物凄い雨が車両を叩きつける。815系は半自動扱いが出来ないので、駅につくたび開いたドアから雨が侵入してくる。
熊本で乗り換えるも、接続先は同じく815系であった。その先の荒尾でやっと転換クロスの813系が登場、何だかホッとする。しかしながら、依然として雨は止まず、後続の特急に遅れが生じ、こちらもとばっちりを食らい、荒木で快速に乗り換えたが、博多に着くころには遅れが拡大していた。
今夜も往路と同じくML九州のお世話になる。本来ならば発車までの間、ゆっくりとラーメンを味わいたいところなのだが、かねてからの遅れで時間が削られている。やや焦って流し込むような感覚だったが、それでもスープのまろやかさだけはガチであった(笑
あわててホームへ駆け上がるも、無論ML九州も入線が遅れている。大荷物を持った旅行客と帰宅途中の通勤客がホームで交錯しカオスと化している。せめてML九州だけでも特急用ホームに回せないものか、とも考えてみたり。
20時45分ごろ、遅れながら上りML九州は博多を後にした。
大阪着は翌朝6時半である。今夜はゆっくり眠っておきたいものだ・・・。
−完−