予告通り、ちょっくら九州を周遊してきました。8/4〜8/7の四日間ですが、往復夜行列車のため実質一泊二日です。
〜初日〜
先日、シーズンに新大阪〜博多を走る夜行快速「ムーンライト九州」の指定席が奇跡的に?入手できた。当初は復路のみの利用予定ではあったが、復路のチケットを発券してもらった後、ダメもとで往路の分を尋ねてみた。日程的に土曜日の晩出発にせざるを得ず、一週間で最も混みそうな列車なのだが、こちらもあっさりと窓側をゲットでき、何だか拍子抜けであった。
乗車券は勿論、青春18きっぷである。今季は20周年記念で安価だった春季とは違い、通常通り5回セットで\11,500也。

ムーンライト九州 @小倉
都合上、始発駅の新大阪からの乗車が無理なので、とある途中停車駅より乗車する。この日(8/4)は大阪で※淀花が開催され、ちょうど花火終了とML九州の発車時刻が重なるため、ひょっとしたら既に私の席に強行馬鹿が居座ってるかも・・・と不安がよぎる。尤もそんな場合は車掌に一報申せば済むが、初っ端からトラブル遭遇は避けたいところ。件の花火の影響か、JR神戸線下りはやや遅延気味であった。勿論ML九州も例外なく五分ほど遅れての入線だった。乗車後そそくさと自席を目指すが、かの不安は杞憂に終わる。空いている自席の隣には若いオネェチャンがちょこんと座っていた。
日付が変わり、最初に停車する駅は岡山である。ここまで普通乗車券で乗り、ここからが18きっぷの出番となる。岡山発車後、車内は減光され夜行列車のもつ良いムードが漂う。昨夜は近所のアンポンタンのおかげで一睡も出来ず、一日中体が重かった。ところが今や眠気が完全に飛んでしまっている。久々の夜行乗車だからだろうか。おまけに乗車前にアルコールを買いそびれ、寝酒すらできない。この先も延々と起きていたが、八本松を過ぎたあたりから、防府直前までの記憶が無い。
朝を迎え、最初の停車駅は厚狭である。朝に厚狭とはややこしいのか、岡山発車後にご丁寧にも「山口県の」厚狭というアナウンスがなされた。
ML九州は今やめっきり数を減らした客車列車である。下関では機関車を付け替えるため、やや長めに停車する。その間に物資の調達を行った。ホームでは駅弁が売られており、私もその一つを購入した。売店にはML九州からの客が群がっている。
関門トンネルを抜け、三年ぶりに九州へ上陸する。列車は博多行きだが、小倉で下車する。
小倉から日豊本線で南下を開始する。下関で仕入れた弁当は、これから乗車する柳ヶ浦行きの車内で食べよう。・・・と思っていたら、やって来たのはオールロングシートの415系1500番台。流石にロングシートでの食事は気が引ける。朝食はしばらくお預けだ。
中津やら今津やら、聞きなれた駅が続く。終点の柳ヶ浦まで車内はガラガラだった。これなら食っても構わんかったんちゃうんかい。
柳ヶ浦から先の列車もロングシートであった。しかも、今度は車両数が減らされ四両から二両編成ワンマンカーとなる。通学する学生の数も増え、とてもじゃないが弁当を開ける雰囲気ではない。
ローマ字で表記するとUSAになる宇佐から杵築までは列車本数が減少、言わば日豊本線第一の関所である。関所を越えると俄かに乗客の数も増える。シートは満席で立ち客も目立ち、ウトウトすると隣の客に何度も接触しそうになる。眠気が尋常でないので、別府で下車してみる。
下車した理由は勿論、朝風呂である。眠気覚ましにもひとっ風呂浴びたいところである。駅前から300mほど歩くと風呂屋が一軒あった。「駅前高等温泉」という名称、高等湯(\300)と並湯(\100)に分かれている。料金差はタオル等の備品の有無や浴槽数の違いだそうだ。タオルなら持っているので、敢えて並湯に入浴する。どうやら高等湯は観光客向け、大して並湯は地元客向けのようだ。上がる間際にじい様が一人入ってくるまでは貸切状態だった。湧出量が多いのだろう、お湯は掛け流しである。
もう一軒立ち寄る予定だったが、真夏の温泉ハシゴは流石に無理と判断、汗が引かないので散策をとりやめ駅に戻り、大分行きの列車に乗り込む。こちらはボックスシートのある415系100番台であった。車内は混んでいるし、かつ乗車時間も短いので、まだ弁当にはありつけない。
大分で久大本線に乗り換える。向かう先は由布院だ。単行ワンマンカーは大分出発時点で立ち客多数。今度は空腹感というよりむしろ眠気が酷く、数駅先で呆気なくダウンしてしまった。
まだ新しい由布院駅の駅舎は団体客で大混雑。周遊マップでも取ろうかと案内所を覘けど、大勢の団体客で切らしたのか目に入らず。仕方なく、テキトーに駅前をぶらつく。
駅前通りをしばらく行くと、公衆浴場「乙丸温泉館」を発見し、吸い寄せられるように扉をくぐる。
番台もフロントも見当たらないが、代わりに玄関にはお地蔵様が祀られている。その下に料金箱があり、入浴料はそこに入れるようだ。こちらも\100とべらぼうに安い。
こちらのお湯も無色無臭で掛け流しである。湯加減はややぬるめで、長時間でも入っていられそうだ。
土産物屋を冷やかしながら駅に戻る。久留米方面へは抜けず、大分までトンボ返りする。もう時刻は正午を回っている。大分行きの列車は空いており、やっとこさここで弁当を開けることができた。本日は朝食昼食兼用となった。
しかし、大分に戻れどこの先の列車の関係上、二時間ほどのブランクが生じた。待合室でじっとするのもアレなので、大分の街をブラついてみる。天候は快晴で、夏のきつい日差しがジリジリと照りつける。街は七夕ムード一色であった。はて、七夕は先月ではないか・・・。よく考えれば、旧暦の七月七日は今頃だっただろう。納得した気になり、商店街をのぞくと人だかりができている。何かと思えば、ここでストリートダンスの大会が行われていた。あちこちに本日七夕祭り開催の旨が掲げられており、これもその一つなのだろうか。
大分からは南延岡行きで南下を再開する。臼杵を過ぎたあたりだろうか、時折海が見え隠れするようになる。佐伯から延岡へ抜ける普通列車は一日わずか三本しかなく、そのために私は由布院へ寄り道するなど、時間調整をしたって訳だ。二両編成の車内には合わせて二十人にも満たない。しかもその多くが同業者だったとは痛快である。
第二の関所区間は相当山深く、右へ左へカーブの繰り返しである。「秘境駅」として名高い宗太郎駅では、線路交換のため数分の停車。散策こそ厳しいものの、これはマニア向けサービスの一つだと思っておこう(笑
終点一つ手前の延岡で、始発の南宮崎行きに乗り換える。宮崎空港アクセス用に改造された713系で、普通列車専用とは言え扉間はリクライニングシートが並んでいる。随分乗り得な車両だ。嬉々とする傍ら、廃止となった(まだかも)高千穂鉄道の気動車が駅のかたすみにてひっそりと佇んでいた。
日もとっぷり暮れ、辺りは目を凝らさないと何も見えない。その中、東都農駅の前後で、進行方向左側に何やら怪しい高架橋を目にした。これぞ1977年から96年まで使われた、宮崎リニア試験線の跡だ。現在では実験は山梨に移されこちらは廃線となった模様。帰宅後ググってみると、現在は放置プレイ中だったりあるいは大学が実験に使用していたり、と情報が錯綜しているようだ。果たしてその真相やいかに?
宮崎で列車を捨てる。午後八時半ごろだが、駅は閑散としている。腹が減ったので、駅内にあるうどん屋に立ち寄ってみる。次の列車までの間、適当に土産物を物色してみる。流石、と言うべきだろうか、かの時の人、東国原知事のパッケージが至るところに陳列されており面白い。面白さに釣られ、ついつい購入してしまう。
午後九時ごろの鹿児島中央行きで宮崎を後にする。本革を使ったシートを採用し有名な817系であった(但し「革張りシート」ではない)。ただ、クッションが固めで長時間乗車はチト辛いような・・・。鹿児島行きの最終列車のためか、終点までの二時間半を乗り通す客は(相対的に)少なくなかったように思う。
本日は丸一日列車の中だった。今夜はホテル滞泊となる。
−初日おわり−
※花火大会