2021/8/16

小説 「白光」  

 というタイトルの新刊を読みました。新聞の書籍案内で見つけて入手しました。

 明治初期に、茨城県笠間市の出身で、“山下りん”という女性が画家を志して、東京に出て、様々な師や工部美術学校などで修業を重ね、後クリスチャンとなり、ロシアに留学してイコンの画家といわれるまでになった実話をもとにした小説でした。作者は 朝井まかて という人でした。

   
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 山下りんとイコン(聖画)ということは、これまでも知ってはいましたが、この小説の作家はどうやって調べたんだろうと本当に感心するくらい、様々詳しく、また主人公の心の動きなども含め、当時の画壇の状況や社会の変動期を細かく表現していました。

 何より女性がその時代、多くの差別やハンデを抱えながらも、志による情熱のもと、いろいろな困難と闘いながら、生きてゆく様は大変なありかただなぁと感動しました。

 話の筋を詳しくは述べきれませんが、江戸から明治へと文明開化の時代、さまざまな社会変化の波をモロにくらい、そんな中で特に西洋画という表現方法にめざめ、それに邁進する山下りんの姿は、小説家の筆力のせいか、映画でも見ているような迫力をもって迫ってきました。

 僕はイコンという聖画にも興味があったので、手にした本でしたが、絵を学ぶ人が等しく突き当たる命題や、芸術と宗教の問題など様々が、その山下りんを通していちどきに具現化されてくるのです。

 りんはロシアから帰国後、イコン画師として、神田駿河台のニコライ堂で宗教生活を続けるのでした。

 ・・・僕にとっては久々に読み応えのあるワクワクする本に出会えた気がしました。

 そして、明治の人も、令和の人も同じような問題を、課題を持っているなとも。また個人の情熱の意味とかも・・・。

 かつて東京に居た折には僕は一度も入ったことのないニコライ堂にも、コロナが収束して東京に行かれるようになったらぜひ行ってみたいですね。

 こんな引きこもらずを得ない時期だからこそ余計に感動した小説でした。・・山下りん・・・・

 ・・・・りん、りん、りんという女性の名前が、2021年上半期に生まれた女の子の名前で一番多かったのだとか(凛という漢字で)。
 
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