星新一『ブランコのむこうで』
ショートショートの神として有名な星さん。
短編だけではなく長編にも興味があり、読んでみた。
SFというよりファンタジーなこの作品。
長編、というより『旅のラゴス』みたいに、短編を繋ぎ合わせた一つの物語みたいな感じだった。
小説、というよりも絵本のような感覚かな。
期待してたものとはちょっと違ったけれど、やっぱり星さん、発想が面白い。
あらすじは、少年が色んな人の夢の中を旅(?)していくというものなのだけど、
安部公房みたいにシュールなものではなく、ほとんどが現実との因果関係により生まれた夢であり、それもまたうーん…と思ってしまったけれど、まぁ、退屈はせずに読めた。
やっぱり星さんの作品には、“オチ”を期待してしまうからね。その期待に添ってくれたとは言えないけれど、最初から最後まで読み手をワクワクさせ続けるのは上手だ。
この中の、『道』という夢は、好きだ。
『道』の後に来る『赤ちゃんたち』と、順番は逆にした方がいいのではないか?と思ったけど、まぁ、何か意図があるのでしょう。みおにはわからんけど。
『道』は、これだけ2回読み返した。
おじいちゃん彫刻家の、人生に対する結論、とでも言うのかな。人生相談に対する答えみたいな感覚で読んでいた。
できるなら、この話だけにしぼって、一つの作品をまた書いてほしい。
読み応えという点ではかなり空かされてしまったので、
また別の長編を読んでみたいと思う。

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