フィリップ・K・ディック(訳:浅倉 久志 他)『ゴールデン・マン』
あぁ、SF作家では、やっぱりディックがダントツで好きだ。
初めて読んだSFが『ユービック』だったのだが、みおにとってその選択は大正解で、SFというジャンルに抵抗なくハマることができたのは、ディックのお陰であろう。
ちなみに、『トータル・リコール』や『マイノリティ・リポート』の原作がディックだったというのを、かなり最近になって知ったのだが、知る前からも、やっぱりこれらの映画は好きだった。
『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』を、生前のジョン・レノンが映画化に対し意欲的に動いていたというのを知って、これまた更に好きになった。ディックのお陰でジョンと共感できたよ!!
『ゴールデン・マン』はディックの短編集で、全部で7編の物語が収録されている。
まず、20ページに渡るまえがきで、ガツンとやられる。短期で頑固で不器用なディック、なんて愛おしい!!!こんなにおもろいまえがきは初めてや。
そして1作目で短編集の表題にもなっている(映画『NEXT』の原作でもある)『ゴールデン・マン』から、既に多大な影響をもらう。
『ゴールデン・マン』を読んでから今現在でも、酔っ払うと舟橋に電話して、
「人間は、先を知ることができないから推測する必要があり、脳がここまで発達したのだよ。では新人類に求められる能力とは何だと思うかい??未来を“知る”能力だよ!!そんな新人類が誕生するとして、旧人類である我々が彼らに抗う術は何か、何もない??いや、芸術があるじゃないか!!!はっちゃん!!バンドって楽しいねぇ!!!!!」
という話を何度も何度も繰り返すのは、単に『ゴールデン・マン』の受け売りです。はい。
他にどれが印象に残ったかと言われたら、
全部おもしろすぎて、選べない。
2作目の『リターン・マッチ』だけは、訳者さんとの相性が悪かったのか、結局何の話なのかわからず仕舞いだったのだけど、他は全部『ゴールデン・マン』並の影響を受けてしまい、全ての感想を書こうと思ったら長くなりすぎるので、やめとく。
ちょろちょろとメモ書き程度に述べるならば、
『妖精の王』は、読み終えて顔がほころんでしまうくらい、心が温まった。
(ヘミングウェイの『老人と海』、星新一の『道』と言い、みおはハードボイルドな老人の話に弱いみたいす)
『ヤンシーにならえ』は、発想が面白すぎる。これも訳者さんとの相性が良ければ、もっと楽しめただろうな…
『ふとした表紙に』は、みおの大好物の“哲学と宗教”についてのお話。
『小さな黒い箱』も前に然り。
最後の『融通のきかない機械』は、最後だったってのもあって、読んだ後の衝撃は一番長く残ったな。SFというより、サスペンス。
ディックの作品のどれを読んでもハズレなく思えるのは、みおとディックの、作品を作る時の動機が似ているからかもしれない。
詳しくはこの短編集のまえがきを読んでくれればわかると思うけど、
とにかく、不器用。そして、まんべんなく世間に不満を抱いているという点。
安部公房の短編集(エッセイだけど)を読んだ時と同じように、「これ1つ1つを、長編の作品として書き直してほしい!!」と思った。
もう叶わない夢なのか…
じゃぁ、
みおがやるしかないね!!!
なんて!!!!!

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