アーサー・C・クラーク(訳:伊藤 典夫)『2001年宇宙の旅』
数年前に映画を見て、この本読んで、また映画見てみました。
なるほど。
映画と小説が同時進行という変わった作り方をされたこの作品。
ディテールが少しずつ違うのですが、映画で不可解だった部分が、小説で納得する、という意見にみおも賛成です。
クラーク博士、ばん万歳。
みおが読んだのは完全版ってやつだもんで、序章にてクラーク博士の解説、あとがきで訳者の解説が入ってるのですが、
本の順序通り読むと、この作品の哲学性云々よりも、キューブリック&クラークのSF映画に対する挑発・挑戦的な部分がより楽しめました。
「このHALの思考は、アシモフの意見を採用したな」とニヤリとしてしまったり。
1968年映画公開当時、日本のある劇場では、冒頭のヒトザル部分がばっさりカットされて公開されたそう。今となっちゃ「それじゃ意味繋がんないじゃん!!」と思われますが、当時からすると“猿の惑星”然り、刺激が強すぎる作品だったそうな。それくらいしないと、観客がパニックになっちゃう不安があったんだって。
学生の頃初めてこの映画を見たとき、一緒に見た友達と「スターチャイルドが、わたしを見てた!!」「ボーマンの思考と完全にリンクした!!」「そういや、小さい頃にモノリスを見つけた気がする!!!」等々、クールな議論を交わしたものですが、
10年以上も経った今でも、やはり新鮮な作品です。
キューブリックが表現重視(惑星のありえない直列とかね)なのに対して、クラーク博士の少々潔癖症な世界観が、またリアリティーあるんだな。
哲学的な部分を追求しようとすると、「モノリスってなんなんだろう」「ボーマンは何に進化したのだろう」「人間を観察している宇宙人は、いったいどこから来たの??」など、多々疑問が出てくるのですが、
そういうことを考えるきっかけを与えたというだけで、キューブリックもクラーク博士も、特に結論を出そうとしたわけではないように思います。だから、おもろい。
「続編でもう少しこの疑問たちに答えを出してみようとした」というクラーク博士本人の言葉通り、本人たちも作品を書きながら作りながら、事の経過を見守って色々気づこうとしてたみたい。素敵だ!!早く続編も読まなくては・・・!!!
いやぁ、SFは良いです。スケールがでかくて。

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