阿久悠さんが、生前のインタビューで言ってた。
「最近の人たちは、みんな『わたしは わたしは』って。
『あなたがいて良かった』
伝わればいいなあ。」
衝撃だった。やっぱり、あの人は素敵すぎる。
そして阿久悠さんが亡くなられて数日後、居酒屋で聞いた会話。
「あのさー、あくゆうって人知ってる?死んだらしいよ」
「誰?ってか、生きてたことすら知らないし」
いつか、「ビートルズ?何それ?芸人?」とか言われる時が来るのだろうか。
流行るものは、廃るもの。
せめて関わり続けた人がこの世に残っているうちは、存在し続けたいものですな。
最近、『お陰様』って言葉について考えるのがお気に入りです。
『お陰様』『御蔭様』とか、色んな表記の仕方があるけれど、
いずれも“陰”というものに“様”を付けているのです。
最初、みおは勘違いをしていた。
『お陰さま』とは「あなたが陰になってくれたために、わたしは輝くことができました」って意味だと思ってた。
色々調べてみたら、どうも、逆らしい。
「あなたが輝いてくれたから、わたしは陰になることができました」という意味らしい。
要するに、あなたが照らしてくれなければ、わたしに陰はできなかった、あなたが輝いているから、わたしは輪郭を持つことができたのです、ってことになるのかな。
なんて素敵な言葉なんだ。
『お陰様』って言葉は、何かと神仏と併せて説明されることが多い。ということは、この言葉ができたのは、日本でまだ神や仏が尊ばれていた時代まで遡るということだろう。いつなんでしょう。
この言葉が生まれた頃は、“闇”という存在が、“様”を付けられるほど、重要な意味合いを持っていたということになる。
当たり前だけど、光がなければ闇もない。もちろん闇がなければ光もない。どちらも単独では、虚無と変わらない。虚無ほど、恐ろしいものはない。
お陰を被る。なんて素敵。陰を頂いたなんて発想、ぼやぼやしてたら意識せずに過ごしてしまう。
決して元気ではないのだけれど、今わたしの周りには、お天道様がいっぱいいっぱい。
もっと色濃く、陰を刻まなければ。
そして、光と闇は表裏一体。陰になれるということは、お天道様にもなれるということ。輝いては輝いては、陰を刻む。忙しいじゃないか。暇してる場合なんてないじゃないか。
本当、阿久悠さん、みおも強く思います。
「あなたがいて良かった」
伝わるといいなぁ。
余談。
なんでこんなん考え出したかって、最近やたらと「あたし鬱なのー」とか「それってニートじゃん!うけるー!!」とか、聞くんです。
子供の頃からアホみたいに本を読むのが好きだったし、親が職業柄言葉遣いには厳しかったので、“言葉”っちゅーんを軽々しく使う人がとても苦手だったのですが(とはいうものの、みおも口は汚いですが)、
いや、そろそろ、待て待てと。
鬱は、立派な病気だ。ヘタしたら、死を選んでしまう人だっている。
そして、自分ひとりで乗り越えるには、かなり辛い。性格だの悩み事だのとは、根本的に異なっている。軽度の鬱病というものもあるらしいが、病気だと言われて、安心するのも難しい話だ。
軽度だろうが重度だろうが、何よりも乗り越える力になってくれるのは、他者の存在だ。重度の場合、支え続けることは、相当の決意と忍耐がなければ、誰でもおいそれと出来ることではない。
そして、ニートは、病気ではない。甘えと怠惰の最終形態だろう。(この場合のニートとは、“無職であり、就職の意欲もない人”という意で使っております)
「昔ニートだったけど、今は乗り越えました」も、違う。過去にもその状態に身を置いたということを、恥じろ、と言いたいのです。乗り越えるも何も、そこに壁なんてないじゃないか。
陰に陰を投げつけて、どうする。なんて不器用なの、って訳でもないでしょう?
他人と自分は違う違うと言いながら、元から輪郭すらないじゃないですか。
「あたしなんて○○」ってのも流行っているように見受けられますが、
流行るものは、廃るもの。
あなたの個性らしきものを模ってる境界線も、あっという間に消えてしまうよ。それでもあなたは「自分」という存在を信じていられるの?
そして、そんな言葉をいくら例えと言えど、軽々しく使うことが、どれだけ卑しいことかと、わたしは思うわけです。
なんだかがっかりしたのです。「まだ足りないまだ足りない」と必死こいてもがいていたら「あたしはダメだあたしはダメだ」と蹲ってる人たちに、笑われている気がしたのです。
嫌だ。嫌だ。あたしは、確固たる輪郭が欲しい。気を抜くと、すぐに周囲に取り込まれてしまいそうになるのです。
わたしは、わたしの周りにいてくれる、お天道様たちを、全面的に肯定します。
たまにその人たちの後ろに、深く刻まれた陰を見る。
すると、わたしはワクワクするのです。
そんなこんなで、今日もお陰を被りつつ、光になる日を夢見ているのです。秋はおセンチだねぇ。や、みおはまだ夏が終わったとは認めていないよ。
余談長っ!!
あ、そういや、JONNYのホームページをリニューアルしました。疲れた。
ちゃんちゃん。

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