先日、私の職場の方でこんな話を聞きました。
仙台市の若林区に波分神社というのがあり、貞観11年5月26日(西暦869年7月13日)貞観(じょうがん)地震により津波がここまで来たという意味を込めて建立されたそうです。
そうなのか…と思い色々と調べてみると興味深い論文を発見しました。
これです→
『特集 津波災害は繰り返す』【箕浦 幸治】
それによると1,100年前に起きたこの貞観地震、
『この津波災害に関わる伝承・記録は、東北地方から房総半島にかけての太平洋沿岸の広い範囲に及んでおり、知られ得る限り最大級であったと考えられます。東北日本で近代的観測が始まって以来、最大級の津波の場合で、海岸より2qに満たない海水の陸上溯上距離です。歴史資料が示す平野の水没は、貞観津波が常識を越えてはるか内陸部まで溯上したことを示唆します。貞観の津波は、説明の及ばない自然現象なのでしょうか。』
と言っています。
更に注目すべきは、東北大学の今村文彦災害制御研究センターと共同で貞観津波の数値的復元に成功したそうで、仙台平野の海岸で最大9mに達する津波が7〜8分間隔で繰り返し襲来したと推定されたそうです。相馬市の海岸では更に大きな津波だったようです。
そして私が一番驚いたのはここ3,000年の間に3度大きな津波が襲来したそうで、その根拠に仙台平野の表層堆積物の中に厚さ数cmの砂層が3層確認され1番上のが貞観の津波の堆積物と特定されたそうです。
津波堆積物の周期性と堆積物年代測定結果から、津波による海水の溯上が800年から1,100年に1度発生していると推定され、貞観津波の襲来から既に1,100年余の時が経て、いつ仙台湾で巨大な津波が発生してもおかしくないとハッキリ書いてありました。
そして最期に
歴史上の事件と同様、津波の災害も繰り返すとも書いてありました。
さて、愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶとドイツの宰相ビスマルクは言ったそうですが、昨年の2月に起きた出来事を覚えているでしょうか?
チリ地震津波です。
あの時には大津波警報が出ていたのですが、来た津波は約10cmほど。
あの経験から『まさか…こんな大きな津波が…』なんて逃げ遅れた方がいたのかも知れません。
今回の東日本大震災の波分神社の代わりはその手前、東部道路(宮城県を南北に走る高速道路)でした。奇しくもこの東部道路が津波被害のこれ以上を喰い止めました。
明日はちょうど今回の東日本大震災から49日。
今回の震災で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。


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