(重要)放射能と原発問題―あなたが信じている放射能の常識はウソだ。
南木が懇意にしていただいている「史実を世界に発信する会」事務局長の茂木弘道様の玉稿を、ご本人の了解のもと、ここに掲載いたします。南木はここに述べられている内容に全面的に賛成です。
放射能と原発問題―常識のウソが国を滅ぼす
「史実を世界に発信する会」事務局長 茂木弘道
太陽=核エネルギーを国旗としている日本
原発は日本の国柄、国体に合わないという一見もっともらしいことを主張する伝統主義者がいる。竹田恒泰氏もその一人であるが、極めて皮相な考えであり、非科学的な愚論というより、どうもあるイデオロギー(反核イデオロギー)に基づいたデマゴギーのようである。古事記・日本書紀に放射線など出てこないのだから、放射線という人工物は日本の伝統に合わないという人もいる。古事記に出てこないからということになると、その人は自動車を使わないのかというと、言動は全く一貫していないようだ。そもそも、古事記をこういう問題に持ち出すことは、古事記を汚すものというべきである。
札幌医科大学の放射線防護学の教授である高田純博士は、太陽エネルギーは核即ち放射線エネルギーであり、その太陽の象徴である日の丸を国旗としている日本の国柄が核、放射線と相いれないどころか全くその逆であるという。むしろこの方が正解というべきだろう。確かに太陽エネルギーの元が核であり、放射線であるということは、昔はわかっていなかったが、日本はこの太陽を敬い、国旗にもしてきた。国旗日の丸が世界唯一である、ということは日本人の先人の知恵を誇りたくなることではないだろうか。
放射線は生命に必要なもの
なぜならそもそも太陽からの核放射線なしに地球の生命は存在できないのだ。勿論エネルギーである放射線は、生命にとっての適量がある。多すぎても少なすぎてもいけない。太陽系の惑星のうち、水星と金星は、太陽に近すぎてエネルギーが生命誕生には多すぎる。地球より太陽から遠い惑星では、エネルギーが足りないので生命が存在できない。地球は、生命存在に丁度適量な範囲のエネルギーを受けているがゆえに生命が存在している訳である。
そして人間は放射性物質カリウム40を体内に取り入れて、大体成人では4000ベクレルの放射線を有し、また放射している。赤ん坊は母の放射線を「被曝」しながらお乳を飲んでいるのである。このカリウム40の放射線は、生命に絶対的に必要なものであり、これを除くと生命は死滅する。放射線のおかげで生きているにもかかわらず、少しの放射線も悪と嫌う放射線アレルギーは、未開人並みの知識がもたらす非科学的迷信の極みである。
実は、地球上の生命誕生の過程では、今より多すぎる放射線と闘いながら、生命は進化を遂げてきたようである。従って、現在の自然放射線量よりも、かなり高いレベルの放射線にも基本的に適応できる仕組みをそなえていることが分かってきた。ここ30年くらいの間に急速に発展したDNA修復機構の研究からそれが解明されつつある。ラッキー博士の、年間2.4ミリシーベルトほどの自然放射線量の50倍ほどの100ミリシーベルトくらいの放射線量が、人間の体に最も良い、との主張はこうした研究から確証されてきているのである。
ICRP(国際放射線防護機構)基準の非科学性
福島の事故でどのくらいの放射線量が放出されたのかというと、人体が受ける放射線量でいうと、年間で5ミリシーベルトから、高いところでも50ミリシ−ベルトにはならない程度のレベルである。つまり今でも帰還が制限されている地区でも全く「避難する必要なし」なのだ。『放射能と理性』(徳間書店)の著者オックスフォード大学のウェード・アリソン博士は、事故から半年後に来日し、福島も調べ、10月に外国人特派員協会で講演したが、全員帰還して差し支えないと断言した。
ところがICRP基準を盲信し、さらに緊急時100〜20ミリシーベルト、緊急事故後20〜1ミリシーベルトというのを厳しく解釈する論者に引きずられたために、30キロ圏避難という非人道的な対応をしたのが政府である。
ICRP基準についてアリソン博士は、人体にどのくらいの影響があるか、ということで決められた基準なのでは全くなく、単に低ければ低いほどよい、どこまで低くすることが可能か、という目標値に過ぎないと断言している。
ところが、反核派の人々によってICRPは原発推進派の人々によってつくられた、原発産業寄りの組織である、というデマが強く主張され、竹田氏をはじめそれが当たり前のことであるかのように言う人が多い。実際には、1997年にセビリアで開かれた国際学会(500人参加)でDNA修復研究者によってICRP側は完敗したにもかかわらず、基準見直しは行われなかった。
しかし、現実は、左翼、緑の党など反核派はどんなウソでも平気で繰り返すという厚かましさによって、このウソがマスコミを支配してしまっている。NHKがこうした連中のウソをそのまま載せたのが、2011年末放送の「追跡!真相ファイル<低線量被曝 揺らぐ国際基準>」である。まるでICRPが低線量被曝のリスクを半分に評価しているなどと述べている。しかし、実際は前よりも厳しくしているとICRP委員を務めたことのある中村仁信大阪大学名誉教授は述べている。(『原発ゼロで日本は滅ぶ』(中川八洋・高田純共編/オークラ出版)
3月16日「永田町都市伝説」にやられた人々
事故後間もない3月16日ころから永田町界隈では「数日のうちにとんでもないことが起こる・・・みな逃げよ」という都市伝説のようなオバケが跋扈していたようだ。(『誰も書かなかった福島原発の真実』(澤田哲生/WAC)
「福島原発事故で、使用済み核燃料プールが爆発を起こさなかったのは全くの偶然。『神風が吹いた』とアメリカの専門家は言った。全電源喪失で水素爆発を予想し、首都圏3千万人の退避を覚悟した。」などと左翼の高野孟も言っているが、似たような風評がネット上でも流れたようである。
しかし、こんなことは科学的原理的にあり得ないことである。服部禎男博士(元電力中研理事で2005年には以前から発案していた超安全小型炉(スーパー・セーフ・スモール・シンプル)のUS Patentを取った)から詳しくその説明を聞いた。またそのころプルトニウム角砂糖5個分で日本全滅とかいう風評が流れたが、博士はプルトニウム被曝で死んだ人はいないし、プルトニウムが猛毒だなんていうのも全くのウソ、と教えている。(『「放射能は怖い」のウソ』(服部禎男/ランダムハウスジャパン)
要するに全く科学的根拠のない「デマ」であったのだが、このデマにやられた人がかなりいるらしいのは困ったことである。保守派の著名な言論人でこれをまともに信じて、孫を疎開させたという例もあるらしい。また高野の言っている非科学的デマをまともに受け取っている民族派がいるらしいのは信じられないことである。
こういう問題を科学的に考えるのではなく、「放射能は怖い」の思い込み、又「アメリカ様」が言っているから、ということでデマを信じてしまうなどということは、情けない限りである。自主的主体的思考力を欠いた民族派とはいったい何なのだと言いたい。
コントロール不能は自然であり、原発ではない
核、原子力発電は人間のコントロールの効かない怪物であるかのような前提で、福島原発事故を議論する傾向があるが、これはよく考えると全く間違っている。
マグニチュウド9という地震学会想定の16倍(関東大震災のほぼ50倍)の地震にもかかわらず、原発本体は即時に核分裂反応を停止させた。しかし、この想定外の規模の地震は、それまで来たことのなかった規模の津波を福島にもたらした。昭和8年三陸大津波の時、女川では15メートルの津波がきた。従って、それに備えた立地、堤防となっていたため住民避難所にまでなった。ところが、福島に来た津波は1.5メートルだったのだ。その10倍の津波が来ると予想できなかったのは致し方ない。要するに自然のコントロールが利かなかったというべきなのだ。
そして電源喪失という事態になり、簡単にいえば水がかけられなくなった。火事で、水がかけられなかったら、大災害になるのは当然である。原発でもこれにより炉心溶融が起こり、ジルコニウムと反応して水素が発生し、これを放散するのが遅れたため、爆発が起こった、というのが事故の実態である。
こうした事故にも拘らず、一人の死者も、一人の放射線障害者もなかったという事実をよくよく考えるべきである。思い込みによってとんでもない見当違いをしているのではないですか、ということだ。
最も安全なのが原子力発電であるという厳然たる事実
京セラの稲盛和男会長は、昨年外国人特派員協会での記者会見で、
「なんとか原発なしで高度な文明を維持していければいいのですが、現在の科学技術ではそれは不可能だと思っています。必要悪として、どうそれをコントロールして使っていくかということに力を入れなければならないと思っています。」と述べた。
脱原発一色であるかのような風潮の中で、勇気ある発言と言うべきだろう。しかし、本当に原発は必要悪なのかというとそれは論理的おかしい。何故なら
火力その他の発電と比べて、単位発電量当たりの死者を見ると、図にみるように、原発が最低なのである。
この数字は、WHO、IEA、IAEAその他研究者のデータをもとに作られた、かなり信憑性の高いものである。原子力発電50年の歴史で、死者数は多めの推計で4000人ほどなので、TWh(兆Wh)当たりの死者は0.03人。これに対して、火力発電の場合、21人なので、700倍である。ソーラーも死者が出ないわけではない。屋根の転落事故、又膨大な敷地に設置する作業過程での事故等々ある。原発の15倍ほど危険なのである。
最も環境にやさしい原発
さらにもう一つ付け加えておくと、廃棄物という点でも原発は、火力に比べて1万分の1しか出ないという意外な事実である。下表のとおりである。しかも放射性廃棄物のうち、高レベル廃棄物はその0.6%である。中低レベルの廃棄物は有効活用の道すらある。高レベルについてもガラス固定化による廃棄方法はできているのであるが、過度に放射線を恐れる風潮のため、進行が妨げられ、又高コストになっている。しかし、ガイア理論で有名な地球物理学者ジェームズ・ラブロックは、全世界の高レベル放射性廃棄物を自分の私有地に引き受けてもよいと宣言している。(『ガイアの復讐』(中央公論新社)本質的には実はその程度の問題なのである。今後エネルギー消費拡大に伴い、CO2その他で地球環境が汚染されるのを防ぐ救世主の役割が原発には期待されているのである。
このように、相対的最も安全であり、また廃棄物が圧倒的に少ない原発は、必要悪どころではない。今後最も力を入れて活用すべきものなのである。世の中の常識とされることが往々にして間違っていることがある。放射能、原発に対する世の常識となっているものは、完全な間違いである。
常識の間違いにいつまでも惑わされ、またそれを特定のイデオロギーに利用され、脱原発などと叫ぶひとには、仙谷由人の言った後世に残る名言を贈りたい。 「
脱原発など集団自殺である。」 (以上、茂木弘道氏の論文紹介)
以上の茂木氏の論文はPDF形式で以下のアドレスにアップされており、印刷にはこちらを使われた方が便利かと存じます。(南木)
http://luckey-okurimono.up.seesaa.net/image/E694BEE5B084E883BDE381A8E58E9FE799BAE5958FE9A18CE28095E5B8B8E8AD98E381AEE382A6E382BDE3818CEFBC88E88C82E69CA8E5BC98E98193EFBC89-0bcd3.pdf
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