ユダヤ教の本

2006/2/8 | 投稿者: マルセタロー

これはユダヤ教の概略を知るために参考になった。「ユダヤ教」の名前はよく知られているが、その内容はよく知られているとはいいがたい。学研のこのシリーズは他の宗派の本に関しても比較的偏りなく、よくまとまっていると思う。

前半は主に聖書に基づいて、ユダヤ民族がどのような歴史を辿ってきたかがまとめられている。また古代から現代にかけての歴史についてもまとめられているが、その道程は困難を極めており、そのような状況のなかで深化していった信仰の歴史が伺える。

私は元々クリスチャンであったので、聖書にもある程度なじみがあったが、聖書にあまりなじみのない方はどのような印象を持たれるだろうか?遠い神話の世界のように感じられるかも知れないが、ユダヤ民族にとっては紛れもない事実なのである。

また、タロットともよく関連づけられるカバラ(ユダヤ神秘主義)の歴史についても纏められている。ここで一旦話は横道にそれるが、タロットとカバラの関係について触れておきたい。

現在まるで周知のごとく、タロットとカバラは関連づけて語られるが、実は両者が結びつけられた歴史は比較的新しく、19世紀中葉のエリファス・レヴィ「高等魔術の教理と祭儀」が発端となっている。レヴィ自身は複雑な経歴を辿った人物であるが、ユダヤ教の正統なカバラを学んだわけではなく、おそらく17世紀ドイツのアタナシス・キルヒャー「エジプトのオイディプス」からヒントを得て、タロットとカバラを結びつけたと考えられているようである(伊泉龍一「タロット大全」P.175より)。

しかし、ここでいうカバラとは、もともとの聖書の解釈学としてのものではなく、3〜6世紀頃に成立した「セフェール・イェツィラー(形成の書)」等に基づく世界共通の解釈学を指し、ユダヤ教のカバラとは厳密には区別されている。

話がそれてしまったが、ユダヤ教には様々な戒律が存在し、またそれが現在でも守られているが、これは非常に苦難の歴史を辿ってきたユダヤ人が、自分達の民族としてのアイデンティティを守るためにも必要であったことを思わせる。また、現在のイスラエル、パレスチナ問題の根の深さについても考えさせられる一冊である。





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