3月12日(金)の札幌は春が一足先に来たかのような穏やかな天候でした。
この日の夜は星の瞬きが少ないことが予想され、以前からシリウスの伴星(Sirius B)を見たいと言っていた天文指導員のKさんが拙宅に来てくれました。
18時50分に2人で屋上へ。外気温はプラス2度です。
日中の天候が快晴だったせいで、望遠鏡を設置している観測室内と外の気温差がなんと8度もありました。
口径40cm反射鏡が外気温に馴染むまで、1時間ぐらいかかりそうです。
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口径40cm反射望遠鏡にシリウスを導入。主星のシリウスAと伴星のシリウスBの光度差が1万倍ほど異なるので、シリウスAを視野のすぐ外に置き観察します。
画像は北を上にしています。シリウスAを右下に隠していますが、とても明るいので光芒が視野内に派手に滲み出してしまいました。反射望遠鏡の副鏡を支えるスパイダーの影響で、上方向(北)と左方向(東)に虹のような光の筋が派手に出ています。
なお、fixed star @と表示したのは、10〜11等級の恒星で、シリウスBの位置を探す目安になります。
なお、画像は露出を多目にしたため、シリウスBは主星のシリウスAの光芒に埋もれてしまい写っていません。
10分ほどじっくりと800倍で観察した結果、19時半ごろに視野の端に淡く光るシリウスBが見えました。
このとき、シリウスは南中から30分を経過し、地平高度は30度ほどです。
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Kさんも口径40cm反射を覗きこんで観察した結果、シリウスBを眼視で確認できました。やった〜!!!
自宅屋上で私がシリウスBを見たのは1年ぶり。KさんはシリウスBの初体験だそうです。2人で喜びを分かち合いました。
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眼視確認の直前に撮影した静止画1枚画像です。北を上にして掲載。
左上のfixed star@と表示したとても淡く写っている恒星は離角が157秒ほど、PAと表示した位置角は57度ほどです。シリウスBの2021年時点の離角は11秒ほど、位置角は66度ほどです。
口径40cmF10反射、XW5mm接眼鏡、コンデジLX7、露出1/2秒、感度ISO1600、合成焦点距離19,300mm相当、19時22分にコリメート撮影。
大気の揺らぎも少なく、札幌の市街地としては比較的に透明度がいいことから、口径15cm屈折望遠鏡でもシリウスBが見えるかもしれません。今度は口径15cmでチャレンジ。
様々な接眼鏡を替えて試したところ、口径15cm410倍でシリウスBが見えました。Kさんも一緒に眼視確認。
なお、Kさんは数年前から望遠鏡で淡い天体を見る訓練を続けていて、注意深く見る観察眼が養われていたことからシリウスBを見ることができたのではないかと私は思います。
シリウスBだけではもったいないので、Kさんの希望で望遠鏡をリゲルに向けました。
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口径15cm210倍でリゲルの伴星が楽々見えると、ピースサインをするKさんです。
口径15cm屈折をカストルに向けて見ました。
地平高度が72度ほどで天頂に近いことから大気の揺らぎが少なめです。ジフラクションリングが何重にも見え、大気の揺れが少ない夜の星見を堪能しました。
その後、オリオン大星雲、M35などを見て、達成感に浸りながら21時40分に屋上から撤収。
シリウスの伴星や火星の衛星などのように、光度差が大きい近接した天体を見る際は、眩しいほうの天体を接眼鏡の視野環で隠すと、淡い天体が確認しやすくなります。
しかし、視野環周辺は収差が多く、ときには淡い天体を確認しにくい場合もあるので、極小の遮蔽物を接眼鏡の視野環中央に取り付けられないか検討中です。