太陽の黒点を詳しく観察すると、黒点を取り囲むように黒点よりもやや明るい半暗部という模様が見えるときがあります。
半暗部を持つ黒点が太陽の自転で周辺部に移動すると、太陽の中心側の半暗部が縁側よりも狭くなったり、ほとんど見えなくなる現象が起こります。
この現象のことを
「ウィルソン効果」 といいます。
スコットランドの天文学者アレキサンダー ウィルソン (1714-1786) が1769年に発見した現象なので彼の名前を冠しているわけですね。
ウィルソン効果の原因は、黒点がその周囲よりも低くくぼんでいるためで、現在の測定ではこのくぼみは500〜1000km程度とされているそうです。
2016年4月上旬、太陽面にかなり大きな黒点が出現しました。

太陽専用の減光フィルター使うと、裸眼で黒点の存在がわかるほど大きな黒点でした。
この画像は、星仲間の藤森さんが4月16日に撮影した太陽です。

大きな黒点の周囲を半暗部が取り囲んでいます。
この頃は、私がアルバイト期間中だったため昼間の太陽撮影ができず、藤森さんに画像提供をお願いし快諾していただきました。ありがとうございます。
この巨大な黒点を利用してウィルソン効果が撮影できるかもしれないと考え、太陽の自転周期から計算し、西縁に隠れそうな4月19日(火)が狙い目と判断しました。
幸いにもアルバイトは18日(月)に終了。19日は終日ヒマです。
残念ながら19日の札幌は天候が悪く、青空が広がった翌20日(水)の午前中にようやく撮影できました。
V0044WU2RTC 2016年4月20日9時11分に撮影した約2000フレームのうち、写りのいい6割のフレームをモノクロにしてスタック処理。
シンチレーションが酷い割には拡大し過ぎたうえ、あまりに周辺部に近かったことから半暗部が綺麗に写せませんでした。
また、4月16日には1個の大きな黒点だったものが、私が撮影した4月20日には3個に分裂したようで、前述の影響もあり、ウィルソン効果が明瞭に写せませんでした。
撮影風景です。
81000614
口径15cmF7.3屈折、太陽用ハーシェルプリズム、LE10mm接眼鏡、イメージングソースDFK21AU04ASを使用。
もう少し焦点距離が長めの接眼鏡を使い拡大率を下げて撮影するべきでした。次回に期待します。