馬頭星雲とは、オリオン座の三ツ星の東端にあるζ星アルニタクの0.5度ほど南にある暗黒星雲の愛称です。
暗黒星雲そのものは光を遮るため通常は見えないのですが、馬頭星雲の場合は背景にある散光星雲が淡く輝いているため、馬の首のような形をした暗黒星雲がシルエットとして浮かび上がり、その存在がわかります。
英名では、Horsehead Nebula といいます。
この馬頭星雲、背景にある散光星雲がそれほど明るくないため、撮影するためには暗い空とたっぷりの露出が必要です。
2010年9月に宮古島天体観測所の50cm反射で馬頭星雲を撮影した当時、所有していたデジカメLX3の最長露出時間は僅か60秒だったので、馬頭星雲を満足に写すことができませんでした。
その後、最長露出時間が250秒のデジカメLX5を入手したので、再度この馬頭星雲の撮影にチャレンジしてみました。
4枚の画像の共通データは次のとおりです。
2013年3月、宮古島天体観測所50cmF11反射、42mm接眼、デジカメLX5によるコリメート撮影。露出250秒、感度ISO1600。
51020581R
やや透明度が悪く250秒露出でかなりカブッてしまいました。注意深く見ないと馬頭星雲がどこなのかよくわかりませんね。
3月5日20時59分に撮影。カメラの絞りF2.8、合成焦点距離7200mm(35mm判換算値)による元画像です。
51020581RMC
1枚目の画像のコントラストと明度を変えたもの。少しわかりやすくなったかも。
宮古島の人口は約5万5千人。撮影地の宮古島天体観測所は繁華街から6kmほど離れた住宅地にあり、2年前よりも夜空が明るくなったようです。
光害の影響が出ているようなので、光害カットフィルターを使用して別の日に再度撮影を試みました。
51020740
光害カットフィルターLPS-P2を装着し、3月8日21時45分に撮影。カメラの絞りF2.6、合成焦点距離5240mm(35mm判換算値)による元画像です。
51020740C
3枚目の画像のコントラストを変えたもの。
周辺減光が目立ち綺麗な画像とはいえませんが、馬頭星雲を写せたといっていいと思います。
なお、馬頭星雲を眼視で確認するのは至難の技ですが、私は北海道日高の山奥で25倍150mmの双眼鏡を使いしっかりと見たことがあります。フィルターなしでも条件さえ良ければ馬頭星雲は眼視で見えるのです。
ところで、相互リンクさせていただいている Nikon 8cm telescope さんは、この馬頭星雲をニコン8cmF15という長焦点屈折を使用し完全手動ガイドでコリメート撮影されています。
Nikon 8cm telescope さんが馬頭星雲を撮影された画像が2012年1月のブログ記事にありました。リンク先はこちらです。
http://nikon8cm.exblog.jp/17553796/
私の場合は、モータードライブ任せのお手軽撮影ですが、微動ハンドルを常に握りしめてじっくりと回す Nikon 8cm telescope さんの入魂の撮影には頭が下がります。