昨日、5月16日(月)の午後、母と東区役所まで行き、介護認定の更新手続きをしてきました。網走では桜がようやく開花したそうです。
16日22時にはスペースシャトルのエンデバーの最終打ち上げがありました。あとは7月打ち上げのアトランティスを残すだけとなり、一抹の寂しさが湧いてきます。
24時前には月齢13の月が南西の空低く輝いていました。
天文指導員研修に出席したことを14日と15日の記事に書いたところ、天文普及事業のベテランであることを伝えたほうがいいのでは、というメールを頂戴しました。
そのとおりですね。嘘をつくつもりは微塵もありませんが、最初に経歴を言ってしまうと周囲を萎縮させてしまうので、暫くは黙っていようと考えたのです。
でも、よく考えると、そのまま黙っていることは相手に失礼となることも明白ですので、少しずつ話すことにします。ご忠告に感謝します。
さて、札幌市青少年科学館で売っている星座早見盤の思い出を書くことにします。
1980年当時、市販されている星座早見盤のうち、北海道用はありませんでした。
そこで、科学館の開館(1981年)に合わせ、札幌の経緯度にあった星座早見盤を作ることになり、その役を私が任されました。

左:1981年に完成させた大きな旧盤。スケールは1度=0.7mm。
右:2011年現在市販されているスケールが1度=0.5mmの新盤。

旧盤の表の面。左が窓枠盤。右が恒星盤。窓枠盤と恒星盤は分離式です。恒星盤の表の面は天文知識があるかた向けに作成。
パソコンに4.0等級より明るい恒星472個のうち札幌から見ることができる388個の位置データを入力し、札幌の地平線枠や薄明線のカーブを計算してプロッター出力し、製版業者に持ち込みました。
綺麗な曲線が描けないとギブアップされたので、私が製版会社に赴き、製版機械に位置データを直接打ち込んで原版を作成しました。
その際、私の名前をこっそり原版に残しておきました。もちろん、新盤にその痕跡はありません。もう時効ということで・・・。

旧盤の裏の面。右の恒星盤の裏の面は初心者向けです。
画像を見てわかるとおり、恒星盤はひっくり返して両面どちらでも使えるようになっています。
誕生日の星座一覧を恒星盤の周囲に入れたのは、営業部門から強い要望があったためです。非科学的だと私は猛反対しましたが、抗い続けることはできませんでした。
原版を大きくし、大量生産時における盤の相互位置が極力ずれないよう留意した結果、日の入り、日の出、薄明時刻の精度は±5分ほどになりました。
この星座早見盤には1ヶ所間違いがあります。
それは、うお座γ(ガンマ)星の位置です。γ星の赤緯は1980年分点で+3度11分が正しいのですが、−3度11分で入力してしまいました。星座線も「うお座」が正しいのですが「みずがめ座」に間違えています。ゴメンナサイ。

位置ずれが極小になるよう、中心穴を正確に開けハトメ処理した自主改良の星座早見盤です。日の入り、日の出、薄明時刻が±5分の精度で求められます。
北海道内で星見をする際は、この改良早見盤をいつも持っていきます。
なお、恒星データは1980年分点の値を使いましたが、長期間の使用を考慮し2000年分点の値を使用すればよかったと悔やんでいます。歳差の影響によって、2011年時点では時刻誤差が更に1〜2分増えてしまいました。
今回の研修では、作った本人が星座早見盤の使い方を他人から教わるという妙な感覚に戸惑った反面、苦労して作ったものが活用されているという大きな喜びも得ました。