昨日はあのメチャ暑い最中、冷房のきいた都内某稽古場にて「エリザベート」初の通し稽古が行なわれました。
この作品に携わって、実は今回ほど稽古をしたという記憶が少ないのです。
多分にヒロインWキャストというキャスティングのせいもあると思います。
それに合わせて、トート、フランツまでもWですから、
<エ2×ト2×フ2=稽古8回>
という図式が現れるのです。
更に、ルドルフWで、子供ルドルフがトリプルですから・・・
もう数えるのは止めましょうね。
出番のない場面は片隅から芝居を観ておりました。
8年もやっていて、こんなこと言うのもなんですが、この「エリザベート」・・・
実に面白いです!
シーンのひとつひとつが実に良くできています。
演出の小池先生も、今までにもまして力を入れているのが肌で感じられます。
随所に、変更、改良が加えられていきます。
リノさん、トオルさんの振付もすごく面白いです!
ナチスドイツの恐怖を描いた「ハス」は見ていて背筋がぞくぞくし、プロローグ、エピローグはやってて、妖しい世界にぐんぐん引き込まれていきます。
観てても演じてても本当に面白いです!
皆さん、是非ご期待くださいませ!!
先日、稽古の合間にトオルさんと話をしておりました。
「ぼくねセンテイが大好きなんですよ!」
日本は言うにおよばず、カナダでも作品を発表している世界の島崎トオル氏が突然みょうなことを言い始めました。
「センテイ!?」
私は聞き返しました。すると・・・
「木の剪定」
「・・・!」
私はその瞬間、トオルさんに同じ匂いを嗅ぎとったのです。
聞けば彼、自宅の庭にいくつも木を植えていて、それを大型、中型、小型用の三つの植木鋏でどんどん剪定しているのだそうです。
「木の声が聞こえるんだ。ありがとう、美しくしてくれて!って」
時にははしごに登り、腰に鋏をさしたその姿を見て、ご近所の人たちはとても彼が世界的な芸術家だとは信じてくれないようです。
なんだか嬉しくなって、私は言いました。
「おれはね、木も大好きだけど、花も大好きなんですよ!」
「え?」
「小さな蕾とか新芽が出てきただけで、もう、わくわくしちゃう!」
トオルさんは、ちょっとだけ間を置いて、こう言いました。
「いい趣味だよね・・・僕の先生がそうだった・・・」
「え?」
「ルック・アット、トオル、イッツ・ビューティフル!ってね」
トオルさんのダンスの先生も美しい花をうっとりと眺めていたそうです。
「世界中の人がそんなひとばっかりだったら、戦争とか、親を殺したりとかしないのに」
「・・・」
昨日の稽古場で外からふたりの人物がやってきました。
ふたりはかつて同じところで働いていたのに、今や目も合わさず、口もききません。
理由は間接的に知っています。
でも・・・
どうして、ひとはいがみあうのでしょうか。
どうして誰かを目の敵にするのでしょう。
自分もかつてそうだったかもしれません。
私は好かれる人には好かれますが、嫌われるひとには徹底的に嫌われます。
でも、五十過ぎた今になって思うのです。
それは(自分の落ち度もあるでしょうが)自分がその誰かを嫌ったから、あるいはないがしろにしたからだと思うのです。
あるとき、波長が合わないとずっと思ってきた人に、こちらから意を決して積極的に話しかけてみました。
すると、けっこう面白くて、やさしいひとだったのです。
意外でした。
以来、そのひとは向こうから声をかけてきます・・・
「♪僕はママの鏡だから・・・」
ルドルフが歌う一節です。
相手は自分の鏡かもしれません。
相手が醜いと思ったら、本当は自分が醜いのかもしれませんね。
みんなを好きにはなれないし、好きになる必要もないと思います。
でも、「嫌う」のは止めてみようかと・・・
くそ暑い稽古休みの今日、思いたったはるパパでした。
「イッツ・ビューティフル!」
トオルさんの先生も、トオルさん自身もきっと言うだろうバラ;
「ラ・カンパネラ」。
ホームセンターのバーゲンで買っちゃった!


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