幕が開き、三日目です。
今回、色々あって、共演者との相談はありながらも、結構ひとりで役作りを続けていました。
あれこれと試行錯誤しているうち、「美女と野獣」で共演した今回振付師の壇ひとみちゃんから、あるヒントをもらい、かなりの方向転換をしました。
一度は光明が差したような気がしましたが、太陽はまたもや雲の中に隠れてしまいました。もがきあがきながらも、なかなか腑に落ちず、自分の力不足を痛感しています。
初日前にゲネプロがあり、そこで長年自分の芝居を見に来てくださった二人を招待し、終演後、意見を聞きました。
すると・・・
重要なヒントをいただいたのです。
「ダメ出し」のどれもが、いちいち身に覚えがあり、納得いくことばかりなのです。
悔やしいのは、その指摘を本来は目指していたはずだったのに、ということです。
数年前「五体不満足」という本を読みました。
序章にオトタケ君のお母様のエピソードが書かれてあります。
生まれつき四肢のない赤ん坊を、出産後、はじめて見た彼女が吐いた言葉が、
「まあ、かわいい!」
でした。
オトタケ君があんな前向きな子に育った訳が、この彼女の一言で納得できました。
自分が目指していた父親像というのは、このお母様だった・・・はずなのに、いつの間にか、違う方向へ行っていたのです。
二人の指摘は、
「治田さんの父親は、娘の悲劇を一緒に悲しんでいる。もっと受け入れてあげないとだめじゃない?」
だったのです。
目から鱗でした。
前向きな父親を目指していたはずなのに・・・
落ち込んでばかりもいられません。
早速、劇場へ行く前、入念にリハーサルし、修正を施し、本番二日目に望みました。
納得できた所もありましたが、まだまだ腑に落ちない所もあります。
これから10日間、試行錯誤してみます。
今回、「歌」に逃げる事もできません。
あるのは相手役との芝居だけです。
原点に戻ります。
父親は娘の悲劇から決して逃げず、温かく包み込むはずですものね・・・

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