今日、唄レッスンに行ってくる。
録音したMDの日付を見ると、最後に行ったのが2015年の8月10日・・・そう、「ピノキオ」の休演日だ。
この日、私は軟口蓋の秘密を更に紐解き、キツネの高音は俄然伸びた。
声楽は本当に楽しい。喉の奥の魔宮の洞窟を、探検すればするほど、財宝が姿を現す。
ミュージカル「インディージョーンズ」だ!
こないだ鍋ちゃん(石鍋多加史さん)からメールが来た。
「今日、レッスンを受けました。とても丁寧に教えてくれました。指摘箇所ばかりでした。しばらく通うつもりです。鍋拝」
「今日は横浜でレッスン二回目でした。発声の基礎からやり直しで筋肉痛です。六十五の手習いです。 なべ」
以前、鍋ちゃんが私に高音の出し方を聞いてきて、例の軟口蓋おっぴろげ発声を伝授したら、とてもうまくいったみたい。突然、こんなことを言いだした。
「正月、治ちゃんちに行くからさ、レッスンしてよ」
決してふざけているのではない、大まじめなのだ。
そんな大それたこと出来るはずもないから、私の先生を紹介したというわけ。そしたら、メールが来た。それも間を置かず二回も。
先生は私たちより20ぐらい年下。
しかし、教わるのに上も下もない。生徒として授業には真摯に臨んでいる。「鉄は熱いうちに打て」と言うが、勉強するのに年齢は関係ない。「鉄は冷めてもガンガン打て!」だ。
鍋ちゃんと私には共通点がある。
「年寄りの冷や水」?、いやいや、それもそうだが、実は、私たちにはそれぞれ「秘密基地」がある。
発声部屋だ。
鍋ちゃんは半地下を改造したようだが、私は奥の小部屋を二重サッシにした。
それなりに金はかかったが、若いときのようにカラオケスタジオで稽古するより、時間もお金も節約できる。第一、思い立ったら、即稽古できるのがいい。改造前は、昼間しかできなかったが(それでも苦情は来た)今は夜中でも平気。もう充分元は取った。
朝、ストレッチをしてからバーレッスン。レッグマジックサークル・エクササイズでたっぷり汗をかき、最後に基地で発声練習、これが私の「日課」だ。
仕事なんていつでもあるわけじゃない。
ましてや役者なんて、何の保証もない。
一本しか舞台のない年もあった。
そんな時の心の支えが「日課」なのだ。
これさえきちんとやっていれば、少なくとも役者のアイデンティティーは保てる。
熊本の地震を思うにつけ、私は胸が痛む。
市民の皆さんはそれぞれの「日課」をお持ちだったはず。
学校へ行く、畑仕事をする、犬と一緒に散歩する・・・それを全部奪われてしまった。
もし、今の私から日課を奪われたら、私は発狂してしまうだろう。
ちゃらちゃらしてるようで、意外とちゃらちゃらしている。
(してるんかい!)
いやいや、実は、ちょっぴりデリケート、あれこれ考え込むタイプなのだ。
こんな今だからこそ「日課」はとても重要。
金のないときにこそ、投資も大事。唄レッスンに行って、いっぱい学んで、基地で身体に叩き込む。
生きるって大変だ。
でも、生きてりゃこそ学べる、鉄を打てる!
あれこれくだらないこと考えて、鬱になる暇があったら、動け!
私、どんな仕事でも全力で取り組みます。お気軽にお声掛けを!
では、ミュージカル・インディー・ジョーンズ、行ってきまーす!!
おいらの秘密基地。
お宝は「息の細道」解説図。
秘密兵器は、今や「絶滅“器具”種」のMDプレイヤー。
鍋ちゃん基地には「世界遺産」のカセットテープレコーダーが!


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