「スキャンダル」っていう海外ドラマに前から目をつけてて、キャストが粒揃いなものだから、毎回録画しては盗んでいる。
そのうちのひとりの女優が前々回、めちゃくちゃ濃厚な間を取った。
「紫式部ダイアリー」で斉藤夕貴さんが取った間に匹敵する、政治家たちの駆け引きが入り乱れる濃厚な間。
もちろん、DVDに落とした。
すると前回、今度は息子を白人警官に撃たれた黒人の父親がまたまた長い間を取った。
だが、この「間」に関しては「濃厚」ではなく「長い」だけだったのだ。
どうして、こんなに差が出るんだろう・・・
天カスうどんを食べながらも、ずっとその訳を考えていた。
(早よ、食えや・・・)
昨日、ある映画を見た。
二人の惹かれあう男と女の話で、女優の方には目が釘付けなのに、男優にはぬか漬けなのだ。(意味分からん・・・)
彼はすごくシリアスに演じてるんだけど、なんか・・・鈍いっていうか、散漫っていうか、薄っぺらいのだ。
二時間以上の映画だったから、とりあえず、ストーリーそっちのけで二人を観察した。
女優は美しい上に思いが千路に折れ、乱れ、交錯するが、男優はただハンサムなだけで、表情がほとんど変わらない。
彼女は顔の筋肉が万華鏡のように次々移り変わるが、彼はまるで水木しげる先生の「いったんもめん」みたいだった。
目力(めぢから)も女優は市川海老蔵のように強いが、男優はライオンキングのザズーみたい。半開きで、ぼへーっと見てるだけ。
悲しいシーンで彼はただ悲しんで、泣くだけ。だから、涙を流しても届いてこない。
彼女は必死で「泣くまい」とし、こみ上げる怒りを抑え、無理して笑みすら浮かべようとする。だから、とても切ない・・・
うーん、喜怒哀楽って、ただストレートに出すだけじゃダメ・・・単色じゃだめなんだ。
同じ赤でも、ペンキの赤じゃなくて、黄色だの、朱色だの、白、黒も入り混じった油絵の具の赤じゃないと。
そうだよねぇ、人間って、何考えてるか分からないから、驚くし、目を見張るし、そして、惹かれるんだよね。
そうか・・・大事なのは結果じゃない、紆余曲折の「途中経過」なんだ・・・
それって・・・「千の思い」かな・・・!
「顔毛が長いと。表情が分からんと…」

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