恐ろしい夢を見た。
開演3分前なのに何の準備もできていないのだ、しかも、時代劇。
お恥ずかしい話、着物はひとりで着れない、いつも衣装さんにやってもらっている。なのに夢の中ではひとりで慌てふためいている。袖を通って花道奥へと走る(どうやら新橋演舞場らしい)鬘をかぶってないのに気づき、慌ててかぶれば、羽二重をしてない!
「ギャーッ」っと、半狂乱になったところで目が覚めた。
昔、フロイトをかじったことがあるから、夢分析はお手の物。だが、この夢ばかりは分からない。
12月の舞台なら準備は(自分で言うのもなんだが)着実にやっている。
台詞も八割方入ったし、バーレッスンと発声は日々怠らず、タップに至っては今年の1月から準備し、役創りに町田市役所まで行った。
何が足らんのじゃ!
で、ハタと気づく。12月の準備じゃない・・・
人生の準備が不安なのだ。
齢(よわい)61にして、役者として(自分で言うのもなんだが・・・ほな、言うな!)悪くないコンディションだ。
声は人生で一番いい状態だし、何より芝居が楽しい。
行間がちょいと読めてきたし、間とテンポをそこそこつかめてきた。
不安があるとしたら・・・体力と・・・あ・・・!
・・・「喋り力」だ!
「ピノキオ」やってて、実は薄々気づいていた・・・自分、滑舌が悪い、特に「らりるれろ」と「たちつてと」!
市役所へ行って発見した;『役人は同僚と納税者相手とでは明らかに人格が変わる』。エンターテインメントだから、多少カリカチュアライズ(劇画的大袈裟に)した方が面白い。
それには台詞に平(幹二郎)さん的口跡(滑舌)の良さと、ブルース・ウィルス的まくしたて&爆発力が要求される。
体力と喋り力・・・それがこの先不安なら、12月の準備と兼ねて、人生の準備を今やればいい!
バーレッスン、タップに加えてレッグ・マジック・サークルを再開した。
体力が不安なら走ればいいんだが・・・嫌いなのよねぇ走るのって、辛いから。以前、やってた時も原動力はひたすら義務感だった。
だから、長続きしない。だったら、DVDのキャロラインと一緒に「サークル、サークル、ヤッヘー!!」ってやってた方がうんと楽しい。(あほか・・・)
喋り力・・・シューブ会計監査官の膨大な台詞を全て母音法で洗い直す。
これは劇団四季時代に学んだ台詞訓練法で、度を越しさえしなければ素晴らしい方法論だ。劇団時代よりも根詰めてやる。言葉がどんどんクリアになっていく、とても楽しい・・・
アカデミー主演男優賞を三度も取った唯一の男、ダニエル・デイ=ルイスはボクサーの役創りに3年間スパーリングを続けたそう。
毎回毎回、自分に課す役創りが過酷すぎて、今はもう俳優をやめているんだそうな。
じじいも一生に一度ぐらい、いやんなるぐらい準備してみっかなぁ。
リチャード・ギアの「シャル・ウィ・ダンス?」を観たのよ、昨日。
コンテストより、その準備をしている姿・・・本当に素敵だった・・・!


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