「トーマス」ゆうぽおと、楽屋に嬉しい仲間がやってきた。
直人だ!
前回見舞ったときは、ベッドから起き上がるのもやっと、声もスカスカだったのに、今やしっかり歩くは、はっきり喋るは、恐るべき回復力!
『一か月死んでいた男』、だとはとうてい思えない。
よもやここまで・・・!
「今だから言えるけどよぉ、おれ、おまえの弔辞読むんじゃねえかって、真剣に思ってたんだぞ!」
「みんなのおかげです!」
二百人以上の仲間が友達の輪を作り、支援金の額もかなりのものになった。
金銭的な心配って、自分も経験あるけど、相当なストレスになるもんねぇ。
「おかげで今、リハビリだけに集中できる、本当にありがたいっす」
直人は心からみんなに感謝していた。
あの時の輪の広がり、それはちょっとした事件だった。
友だちが友だちに、その友だちがそのまた友だちに・・・
支援の輪はどんどん広がり、まるで中東で起きたあのジャスミン革命のよう。
俺なんか、言い出しっぺだったから、パソコンの前で、もう、泣きそうだったもの。
「友情と絆、確かにそれこそがほんとにほんとのぼくらの宝物だね」
一歩間違えれば歯が浮くようなトーマスの台詞。
だが、今やこんなリアルな台詞もない。
聞けば、直人も「ぽんきっき」時代、トーマスに携わっていたらしい。
縁って不思議だね。
あ、関係ないけど、あいつ、おれの差し入れに何、持ってきたと思う?
栄養ドリンク?
とんでもない。
ホルモンだよ、ホルモン!
楽屋にシマ腸持ってくるやつなんて、あいつぐらいしかいねえよ。煙上げて焼けってか!?
でもねぇ・・・
堂島ロール二百個より嬉しかったよ。
みんな、ありがとう!
あいつ、こんなに元気になったよ。
後は・・・
そう、
舞台復帰だけだ!!!


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