オフの時についつい見ちゃう海外ドラマ、今、はまっているのが「デスパレートな妻たち」
(デスパレート;崖ぷちの、切羽詰まった)
「アメリカ版渡る世間サスペンス劇場」って感じで、4人のおばさんに起こる結構ミステリアスで、えぐい愛憎劇だ。
一話一話、「不実の影」とか「ハローウィンの魔物」だとか、タイトルが付くのだが、昨日見たのが「竜巻襲来」、何気に原題を見て驚いた。
“Welcome to Kanagawa”
そう、ソンドハイムのミュージカル「太平洋序曲」で女将が歌うナンバーだ。
このドラマ、決して、神奈川が出てくるわけではないのに、何で?と思って調べてみたら、どうやらプロデューサーがソンドハイムの大ファンらしく、他にもいくつか彼のナンバーをタイトルに使ってるらしいのだ。
へぇ・・・ついつい顔がほころんでしまった。
ちなみにこの神奈川、わたしにも馴染み深いナンバーなのだ。
さて、この“Welcome to Kanagawa”の回、物語は4人の主婦たちが住む住宅街を竜巻が襲って、ひとりのおばあさんが犠牲になる。
彼女はかつて女子プロ野球の選手で、遺灰を球場のグランドに巻こうということになった。
彼女を送る詩が読み上げられる。
「私の墓前に立って、泣かないで」
・・・?
「私は死んでなどいない」
え・・・!?
「千の風になって・・・」
ええっ・・・!
そう、有名なあの歌だ。
パクリ!?
と、一瞬思ったが、そう言えばあの歌詞、確かアメリカの誰かさんが書いた詩の翻訳だった。
これか・・・
画面を見ながら、ちょっぴり目頭が熱くなった。
この歌も私にはとても馴染み深かったからだ。
父の葬式で、喪主挨拶としてこの歌を歌ったのだ。
父の遺言だった。
父は自分がすい臓がんだと知ったとき、遺体は宮崎医大に献体を望んだ。
そこは脳梗塞で体が不自由な母が暮らすホームのすぐそばだったのだ。
父は母のことをすごく愛していて、死んだ後も空から母を見守りたいと思ったのだ。
その母も翌年、父の命日数日前で旅立った。
一つのドラマで二つの馴染み深い歌。
「太平洋序曲」を両親に見せたとき、父は喜んだが、母は「うちゃ、『美女と野獣』ん方が好きやっちゃが!」って、あっさり言ったっけ・・・
最近、義理の両親の旅行を計画してあげていて、ふと、自分の親のことも思っていた。
おれはちゃんと親孝行できたんだろうか・・・
二人とも最後は傍で見送れたが・・・
あれこれ考えれば、ついつい、デスパレートな自分になるのだった。

9