久しぶりに伊藤病院へ行ってきた。
忙しかったのもあるけど、調子は悪くなかったんで、つい、診察をサボり、薬の服用をほぼ1ヶ月怠ったのだ。
そのツケは…
例によって患者さんは大盛況、まるで、ピノキオの客席みたい。
治療コースは血液検査に始まる。
診察室には常時10人ほどの看護師が、まるで工場の流れ作業のように採血していく。
「269番でお待ちの方」
私だ。午前九時に入ったのにこの整理番号。
今回の看護士、今ひとつ思い切りにかけていた。
以前担当してもらった驚愕の看護師さん、まだ二十代前半の女性、聞けば、一日百人は注射しているらしい。
匠は有無をいわさずぶすりと針を刺す。だから痛くない。
しかし、今回の人は血管を探すのにも手間取ってる…
あぁ、こりゃ痛いぞ…
そう思ったら、案の定。
痛点は皮膚の表面にあるから、瞬時に通過させなくてはならん。
こと注射に関しては躊躇、慎重、丁寧は御法度なのだ。
前述の匠など「ちょっとちくりとしますよ」と言った時にはもう針は入っている。
「ワン、ツー、ブスリ!」
これが鉄則なのだ。
病院の待合室って、台本読むには理想の場所。
去年の「助太刀屋助六外伝」も殆どここで台詞を覚えた。
今日から埼玉芸術劇場だから、ひとつひとつ確認していく。
あれ…
向かいのおばさんが変な目でこっちを見てる…
おっと、おいら、知らぬ間にキツネの顔になっていた…
1ヶ月サボリのツケ…
甲状腺ホルモンの数値は治療当初ぐらいに上がっていた。
また初めからやり直し。
去年の今ごろ、今より10キロ痩せてたものねぇ・・・
薬さえ飲んでれば、どうってことないのだが、この病気は時間がかかる。
次の舞台のこともあるからなぁ、地道に治療していかんと…
健康あっての役者だものね!
甲状腺の殿堂、伊藤病院。
お洒落の街、原宿に燦然と輝く白亜のビル。
見よ、その威容!


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