劇場にお運びくださいました沢山のお客様、本当にありがとうございました!「エリザベート」博多座公演、無事、千秋楽を迎えることができました。
これもひとえに皆様方のご声援のおかげです。
怒涛の後片付けが終わり、一風呂浴びて劇場を後にしました。
博多をさるときはいつも後ろ髪引かれます。
でも、また、戻って来られるよう、一生懸命精進します

ありがとうございました!
一昨日、キャナルシティで観劇を終えた私は、終演後、一緒に観たキーヨと赤坂のモツ鍋屋に行きました。
キーヨ行きつけの店らしく、洒落たレストランって感じです。
鍋をつつきながら私たちは昔話に花が咲かせました。
劇場は本当に懐かしかった。
ロビーから見えるキャナルの風景…
ここで博多のお客様を呼び、パーティーをやったものです。
そんときも司会やったっけ…
芝居の話もしました。
モツをくちゃくちゃ、豆腐をハフハフ、それをビールで流しながら、結構真剣に語りあったんです。
「人ってさぁ、なんで喋るのかねえ…?
え?突然、どうしたのかって?ま、聞いてよ。
なんで人が喋るか?
そりゃ、心が動くからだよね。
例えばさ、モツが美味いから、『うまいっ!』って言うわけよ。
でも、それは、モツが美味いって知ってるひとの言い方じゃない?
もし、モツはまずいって思ってたひとが、食べてみたらうまかった…なんてときは、同じ『うまい』でも、意外性とか驚きが含まれるわな。
『!?・・・うまい…!』みたいな。
一瞬目を見開くみたいな、発見が要るのよ。
すいませーん、ワイン、このカベルネソービニョンってやつ、ボトルでください。え、グラス、いくつかって?キーヨ、飲む?あ、そう。
いらないって。じゃあひとつ。
そうか、明日、二回公演だもんね…
で、何の話だっけ?
あ、モツ鍋…
じゃあさ、もし、そのモツ鍋がまずかったら?
でも、『うまい』ってセリフには書いてあるわけよ。
つまり、作った相手が恋人とかで、『夜なべして作ったの…』なんて言われたわけ。
そりゃ、まずいなんて言えねえ。
惚れてるから、傷つけないように、精一杯笑顔作って、でも、ちょっと引きつって、『う・・・うまい…』なんて言っちゃう。
これってさ、笑えるけど、ちょっと泣けたりもするよね。
だって、『うまい』の中に優しさがあるから・・・
♪きーみーのもつなべ、ふたり取りもつなべ〜♪
お姉ちゃん、何笑ってんの?いいから、ワイン、そこ置いて。
あああ…ケラケラ笑いながら行きやがった。
えーと、だから、何の話だっけ?
そうそう、同じ『うまい』でも、全然心の動きが違うわけ、相手とか状況が変われば。
だから『うまい』の音色が変わってくるのよ。
この音色聞きたさにお客さん、木戸銭払うんじゃない?
同じ♪ドでもいっぱいある。
強いド、か弱いド、張ったド、かすれたド・・・
それが芝居ってもんじゃねえのかい?
おれ思うに、お客さんは『うまい!』を聞きに来るんじゃなくて、そんときの心の動きを見に来てるんだよ。
シシィだってどんどん変わっていく。一幕の頭とオーラスじゃ全くの別人。だから、面白いんだよ!
音色を変えるには発見が要る。
例えば『愛してる』の後に『わたしも』ってセリフがあるとしたら、『愛してる』と『わたしも』の間に心が動かないとダメなんだよ。
例えばさ、私を嫌ってると思ってたひとにそんなことを言われたとするじゃない?
そしたら、すぐには返事できないだろ?
事件を咀嚼(そしゃく)する「間」が絶対いるんだよ。
ひょっとしたら気まずい間かもしれない。
驚いて、その言葉を反芻(はんすう)して、噛み締めて、突然、喜びがこみ上げて、言葉にならない言葉で返事するんだよ。
『・・・わたしも・・・』
いいねぇ・・・!
え?酔ってる?
いいから、キーヨも飲めよ。え!?明日、二回公演?じゃ、しょうがな…おれも二回じゃ!」
かくして、博多赤坂の街に明るいおじさんたちの笑い声が響き渡るのでした。
「プーもモツ鍋食べてえと」


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